暑中お見舞い申し上げます。
今年は梅雨が長引いているようで、入道雲が浮かんだ目の醒めるような夏の青空にはまだお目にかかれていないように思います。近年の猛暑ぶりには参ってしまいますが、かといって長雨も困ったものですね。
この夏は大きなイベントこそ少ないですが、セミの鳴き声を耳にしたり軒先のグリーンカーテンを見かけると、ああ夏が来たんだな、と感じます。
とはいえ夏きものを楽しめるのも残りわずか。
今日は夏きものに描かれる文様に注目してみたいと思います。
着物の世界では"先取り"が基本とされており、描かれる草花などは実際の盛りの季節より少し早く纏うのが粋とされています。ですので、夏の着物には秋草や秋の虫、風景が描かれたものが多くあるのです。
秋の七草として知られるこの草花は夏着物に描かれる定番の文様のひとつです。
秋に思いを馳せながら、夏物を纏う...着物ならではの楽しみですね。
今年の立秋は8月7日。立秋とは夏が極まり秋の気配が立ち始める日のことで、この日から立冬の前日までが暦のうえでは『秋』とされています(ちなみに立秋以降は『暑中見舞い』ではなく『残暑見舞い』となるそうです)。
やっと梅雨が明けると思ったらもう立秋...気候が昔と随分変わった昨今では暦通りに季節を感じにくくなっていますが、着物に描かれる文様は鈍っていた季節感を思い出させてくれそうですね。
青木では、8月3日より店頭に先駆けまして、オンラインショップにて『オータムフェア』と称しまして、秋におすすめの着物や帯をご紹介いたします。
夏の秋文様とはひと味違った、こっくりと色づいた秋色を是非ご覧くださいませ。
皆様のご利用をスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
銀座店スタッフ かつた
七月も終わろうとしているのに、未だ梅雨明けの報が出ない東京です。間もなく立秋が来てしまいますのに、夏の青空はどこへ行ってしまったのでしょうか。厳しい暑さも辛いものですが、さすがに盛夏の陽射しが恋しくなりますね。
【着物2881】単衣 小紋 縮緬地 砥粉色 笹の図 /【帯3503】しょうざん製 櫛織 洒落袋帯
【着物2887】五代 田畑喜八作 単衣 小紋 紫鼠色 波と桐花の図 /【帯3506】西陣 川島織物製 絽袋帯
【着物2884】本場結城縮 単衣 黒色 流水に魚の図 /【帯3509】南風原花織 名古屋帯
次回は来週更新予定です。
日々感染者の数が増え続けていて、何をするにも頭から不安が離れない昨今です。多方面に大きな影響が続いていますが、舞台芸術関係も本当に心配です。中止や延期がこれほど長い期間となりますと一体どのようなことになってしまうのか…今は youtube などの動画配信がありますので、受け手側にはとてもありがたいものですが、やはり実際に劇場に出向いての経験とは比較になりません。ほんの少し前までは、当たり前のように自分の都合と選択でいろいろな楽しみを享受していたことが、どんなに恵まれていたかを思い知らされますね。好きな着物を着て好きな場所へお出かけする、そんな日常が早く戻ってきてくれますように、心から願うばかりです。
個々でできることは、自己免疫力を高められるよう体調管理をするのみですね。
皆さま、どうぞ一層のご自愛をなさってくださいませ。
明日のオンラインショップ公開に先駆けて、あおきセレクション新着の品々を、本日より店頭にてご覧いただけます。 店頭でご覧いただける準備が整い次第、ツイッターにてお知らせいたします。
衣桁にディスプレイされている着物は、単衣 訪問着 藍墨茶色 草花文 でございます。
続いて左から、
西陣 渡文製 洒落袋帯「波衣」
銀座志ま亀製 縮緬地染名古屋帯 葡萄茶色 花兎文
南風原花織 名古屋帯
西陣 川島織物製 絽袋帯
でございます。
単衣 小紋 縮緬地 卵色 笹の図
五代 田畑喜八作 単衣 小紋 紫鼠色 波と桐花の図
総刺繍 袋帯 利休色 春秋花々の図
久呂田明功作 江戸友禅 染一ッ紋 色留袖 褐返色 辻が花文
本場結城縮 単衣 黒色 流水に魚の図
伊兵衛織 単衣 着物
よろけ織 洒落袋帯
今回は 着物7点、帯8点、計15点のご紹介です。ぜひご覧くださいませ。
先日所用で出かけた折に、浴衣姿の知人と遭遇いたしました。どんよりとした梅雨空の下にしっとりとした柄の浴衣は意外にも良く映え、見ているこちらもウキウキとした気持ちをもらいました。今年の夏は昨年出番の少なかったしじらをたくさん着たいな~などアレコレ考えていたにも関わらず、悪天候と外出自粛に躊躇して袖を通す機会を逸したまま気付けばもう8月。梅雨明けはまだ少し先になりそうですが、自宅でお手入れできるものを少しずつ着用しながら夏を待ちたいと思います。
銀座店では販売スタッフ欠員に伴い、新しく一緒に働いてくださる人員を募集しております。詳細はコチラの求人ページをご覧ください。
きもの青木では、ひき続き感染予防対策に務め営業しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りくださいませ。
日曜日 11:00〜17:00
定休日 月曜日
帯締めの色、悩みますよね。 それもそうなんです。例えばですが、当店で扱っております定番の冠組だけでもなんと80色あるのです。
帯締めのみならず、和装には微妙な風合いと優美な呼称が付いた様々な色が使われます。
日本人の感覚ってさすがだな〜と思いながら、一体どのくらいの数があるのか、我が国の伝統色、和色についてざっくり調べてみました。
定義的には「日本の伝統色は、日本文化特有の色彩感覚に基づいた色、また過去の歴史資料において出典がある日本固有の伝統的な色名称を含む1100余の色を指す」(ウィキペディアより)とのこと。
なんとその数、1100です!
現在は明治以降に海外から入ってきた化学染料も含め、「色」を工業的に扱うため統一化された基準=カラーコードで統率された色見本や検索エンジンが多く存在しますので、扱われる和色の数はまちまちですが、それでも400〜500はくだりません。当店でも基準にしております和色大辞典には465色が表示されております。
ご参考までに <和色大辞典>こちらから http://www.colordic.org/w
そして和の色は、豊かな風土から生まれた樹木や木花など自然そのものの姿と言えましょう。日本の染織技術は奈良時代にはほぼ完成されていたとも言われ、その足跡が平安時代に編纂された『延喜式』の記述からも垣間見られます。
『延喜式』は律令法の思考細目を集成したもので、当時の衣服裁縫を司る役所に関する記載のうち、「雑染用度」の項に30数種の色名と、それを染め出す原材料と分量、処方が記されています。その中には天皇の許しがなければ身につけられない禁色(きんじき)である深紫(こきむらさき)、深緋(こきひ)、深蘇芳(ふかすおう)、また絶対禁色と呼ばれた黄櫨染(こうろぜん)や黄丹(おうに)などが挙げられています。
これが1000年以上前の事で、すべてが草木染めのレシピ付き!というから驚きですね。
この後、貴族の女性の襲の色、武士の合戦装束などで和色はさらに発展し、ついに庶民も色を楽しめる時代がやってきます。
よく知られているのは江戸時代の町人の間で流行した「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」です。茶色、鼠色、藍色系のバリエーション色の事で、四十八は文字通りの48色ではなく、"たくさんの" という意味で実際は100以上あったとか。
江戸茶、芝翫茶、千歳茶、銀鼠、梅鼠、利休鼠、鉄紺、浅葱、納戸色と、現在でもおなじみの色々ですね。シブさに注目した江戸っ子の粋とも言えましょう。
そしてもうひとつ、大事なのが名称についてです。
日本の伝統色を前にして、読めない事ってありませんか?
私はしょっちゅうで、これがなかなかに難しい......。
例えばこの「葡萄」というお色。
一般的には「ぶどう」ですが、和色の呼称だと「えびぞめ」と呼びます。
葡萄(または蒲萄)はもともとヤマブドウの古名である葡萄葛(エビカズラ)の事で、エビとも呼ばれました。淡く赤みがかった紫の色調です。前出の『延喜式』にも記述があり、ヤマブドウだけでなく紫根と灰汁と酢を用いて染められるそうです。
これに対し「葡萄色(えびいろ)」という色もあります。こちらはヤマブドウがさらに熟したような色で、葡萄に比べて暗い赤紫の色調です。これが江戸中期頃から現代で言う「ぶどういろ」と呼ばれるようになったとか。
また葡萄がエビと呼ばれた事から、近世では同じ音の海老を連想させるようになり、「海老色」「海老茶」などの色も登場する事になります。
ああ、日本人のこだわりに頭が下がる....!
和色大辞典のカラーサンプル
お色や名称に関しての話題は尽きないので、また別の機会にでも。
皆様もどうぞ和色の探求をぜひお楽しみ下さいませ。
銀座店スタッフ 松浦
今年もオータムフェアの開催が決まりました。
なかなか梅雨空も晴れない日々が続きますが、少し先の季節に向けたお支度にあれこれと悩むのも、着物コーディネートの楽しみのひとつですね。
今年はオンラインショップを先行としたフェアで準備させていただきました。
詳細は詳細はコチラのイベントページにてご確認くださいませ。
ようやく雨が落ち着いてきたかとほっとする間もなく、感染者数が最多更新される現状に、
相も変わらず心休まらぬ日々が続きます。
梅雨明けと共に強い紫外線でウィルスも力を弱めてはくれないものでしょうか。
【着物2877】千總製 絽 訪問着 鳥の子色 花束文 /【帯3495】西陣 河合美術織物製 絽袋帯
【着物2874】本場結城紬 単衣 青褐色 幾何文 (証紙付) /【帯3501】福永世紀子作 丹波布 名古屋帯
【着物2880】日本工芸会正会員 石塚美枝子作 単衣 風通絣織 着物 /【帯3498】上原美智子作 織名古屋帯
次回は来週更新予定です。
今年は梅雨明けも遅れ気味とのこと。数日前からは雨が止むと蝉の声も聞こえてきて、これで夏らしい青空が広がってくれたら少しは気分も晴れると思うのですが…そんな中ですが、娘が育てている向日葵が順調にぐんぐんと成長して、ついにてっぺんに花芽らしきものが現れました。向日葵にもいろいろな種類がありますが、育てているのは昔ながらの巨大化する一本立ち (一本の茎の先に一輪の花が咲くタイプ?) ですので、上手く行けば人間の顔くらいの大きさの立派な花に会えるはずです。花火もお祭りも盆踊りも我慢の夏、遠出もできなくていろいろ心塞ぐことも多い昨今ですが、そんな諸々を吹き飛ばしてくれるような朗らかな花が見られたら、今年もとりあえず夏、OK!になるかなあ、とちょっと楽しみにしています。
いろいろなところへ気兼ねなくお出かけできる日が本当に待ち遠しいですね。
皆さま、どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。