あおきDIARY

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銀座店

彩鳳丹霄に舞う

二度目の緊急事態宣言により、再び自粛モードで始まった本年。寒さも加わって、鬱々とした日々が続きます。いつもなら晴れがましい気持ちで拝見するこの1月定番の語も、今年は少し違って見える気がします。

「彩鳳丹霄に舞う」
(さいほうたんしょうにまう)

彩鳳とは五色の彩りを持つ鳳凰、丹は朱の色、霄ははるかな大空という意味で、朝焼けの大空に色鮮やかな鳳凰が舞うという、まさに新年にふさわしい、おめでたい情景を表しています。
出典は南宋時代の禅僧74人の大悟時の言葉を集めた『五家正宗賛』の一節ですが、この語が発された場面がとても興味深いのです。

三人の僧が師と論議に励み、僧房に帰って消灯となります。その暗闇の中で師は各人に一言を発せよと問います。そして三僧の一人、仏鑑が発したのがこの「彩鳳丹霄に舞う」でした。 修行の身であり、まだ真実が見えない中、暗闇の中で発した言葉。彼の閉じた眼の奥には丹霄が広がり、彩鳳が飛んでいたーーー。 迷いが溶け、不安も消え、たどり着く安寧の境地。そこに到達したいという願望が見せた心象風景だったのでしょうか。

このシチュエーションに、現在のこの状況が重なって見えはしないでしょうか。世情の不安、見えないものへの怖れを払拭し、明るい未来が訪れることへの希望、そして祈りーーー。 大空に鮮やかな鳳凰が舞う。 これこそ、暗い心が見せる強い希望と憧れの情景なのかも知れません。
ご存知のように、鳳凰は麒麟、応龍、霊亀と共に四神(四霊)といわれる中国神話の瑞獣で、徳の高い君主による平安な治世に 現れると言われます。なお、大河ドラマでお馴染みの麒麟は、仁の心を持つといわれる君主が生まれると姿を現わすといい、かの乱世の時代、戦に明け暮れる武将たちが心より求めた境地だったのでしょう。

お祝いや社交の場も現在は限られたものになっておりますが、明るい世が戻ることを希望し、気運の上がる鳳凰の帯をご紹介いたします。

【FR11-L-5393】唐織 袋帯 鳳凰の図

【帯3670】喜多川平朗作 織名古屋帯

【L-5517】洒落袋帯 鳳凰の図

【帯3378】喜多川俵二作 名古屋帯

【L-4121】西陣まいづる製 袋帯 立涌に鳳凰や桐牡丹

もうすぐ節分、また新しい年の節目がやって参ります。今年も皆さまのお着物のご用意をお手伝いさせて頂きます。
今年も青木を宜しくお願い致します。

銀座店スタッフ 松浦