あおきDIARY

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銀座店

春は花の装いで

3月に入ったと思ったら、あっという間に雛祭りも終わり、啓蟄を過ぎ、もうすぐ春分。時の経つのは速いですね。道行けばあちこちにいい香りを漂わせ、春の花たちが麗しい姿を現し始めました。嬉しくて思わず写メってしまいます。

沈丁花と乙女椿

パンジー

菜の花とタンポポ

桜の開花もいよいよですね。今年は例年に比べてかなり早めのようですが、これも温暖化の影響なのでしょうか。 二十四節気の各項目をさらに5日ごとに分けた七十二候では、桜の開花は3月25日頃となっています。早く咲くのは嬉しいですが、すなわち散るのも早いという事なので、ちょっと複雑な気持ちになります。

<二十四節気> 3/20 春分
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<七十二候>  3/20~ 初候:雀始巣(すずめはじめてすくう)
        3/25~ 次候:桜始開(さくらはじめてひらく)
        3/30~ 末候:雷乃発声(らいすなわちこえをはっす)

時期は前後しますが、この季節の移ろいのバトン渡しとなる梅と桃も忘れ難い存在です。

七十二候では桃が咲くのは3月10日頃で「桃始笑(ももはじめてさく)」と表現されており、この「笑う」という漢字が充てられているのが興味深いところです。調べてみると「笑う」には〈花の蕾が開く。また果物が熟して裂ける〉という意味があるそうです。確かに、にこやかに笑うと「笑顔がほころぶ」と言いますし、「笑みがこぼれる」は熟した果実が裂け目から溢れ出るイメージがありますよね。また俳句には「山笑う」という季語があり、春になって芽が出たり花が咲いたりして明るい様子になる情景を表しています。この表現の細やかさが、日本人の生活を豊かにしているのだと思います。

<二十四節気> 3/05 啓蟄
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<七十二候>  3/05~ 初候:蟄虫啓戸(ちっちゅうこをひらく)
        3/10~ 次候:桃始笑(ももはじめてさく)
        3/15~ 末候:菜虫化蝶(なむしちょうとかす)

なお梅は七十二候には登場しませんが、その存在自体が「百花の魁(さきがけ)」といわれているので、別格と言えるのかもしれません。

梅とウグイス(らしき鳥)

という訳で、これよりさらに華やかになる季節に沿って、その時期ならではの花のお着物を纏ってみてはいかがでしょう。

【着物3022】宮野勇造作 本加賀友禅 訪問着 連翹の図

【着物3068】訪問着 黒色 藤の図

【着物3066】訪問着 淡紅藤色 山つつじの図

先取りも着物の楽しみの一つですね。続いてやってくる単の装いもぜひ青木で。
皆さまのお越しを心よりお待ち申し上げております。

銀座店スタッフ  松浦