
銀座店
文様に込められた思いに触れて
少し涼しくなったと思ったのもつかの間。 また暑さが戻っておりますが、京橋から出社の時に見る空は、随分高くなっているように感じます。 八百屋さんの店先には、葡萄、梨等秋の果物が並び、「天高く馬肥ゆる秋」の訪れでしょうか? 皆さまは、いかがお過ごしでしょうか?
先日お着物をお選び下さいましたお客様。あわせて長襦袢も、と度々ご来店いただいた時のこと、対応させていただいた先輩スタッフの声が聞こえてきました。 「鱗文様には厄除け、魔除けの意味がありまして、身を守ってくれるという言い伝えがあるんですよ。 なので、鱗文様の長襦袢は人気がございまして、1枚お持ちいただくこと、お薦めします」 と…。 ご試着なさっているお客様の「そうなんですか?嬉しいです!守ってもらいます」と楽しそうなお声も。 「鱗文様とは?厄除けの意味?」と恥ずかしながら、またもやお勉強です。
手元の「きものの文様」(株式会社世界文化社出版)によりますと 「三角は魔除けや厄除けの意味で使われるようになり、京都には現在も、女性の厄年(33歳)に鱗文様の長襦袢を着る習慣が残っています。」、また「鎌倉幕府の北条時政の旗印は三角形を3つ重ねた『三鱗(みつうろこ)』と呼ばれるものでした」と記載されています。
こちらの帯に「三鱗」を見ることができます。
デザインのように感じられていた三角の模様に、そのような意味があると知ると感慨深いものがあります。
そういえば、、、子供が生まれた時に「麻の葉」文様の下着を何枚かいただいたことを思い出しました。 先輩スタッフにお話ししましたら、彼女も姪ごさんが生まれた時に、産着の背紋に「麻の葉」文様の刺繍をしてプレゼントしたとのこと。こちらにも素敵な謂われがありそうです。
同じく先ほどの本で意味を調べてみますと、 「麻が丈夫ですくすく育つことにあやかったもの」とのこと。基本は子どもたちの健やかな成長を願うものですが、「鱗」文様の長襦袢と同じく、「麻の葉」文様の長襦袢もお守り効果がありそうですね。
長襦袢:F-520
今では簡単に「病院に行く」「薬を飲む」ということができますが、古の時代は、病気や災難に遭わないように、 どうにか大事な体が守られますように、と願うのみ。祈りにも似た思いが文様に込められていたのかと思うと 一つ一つのかたちがとても愛おしく感じられます。
早速「鱗」文様の帯を、「麻の葉」文様のお着物にあわせてみました。 今までとは、三角の見え方が違います!! またこの帯には、「鱗」文様だけでなくたくさんの吉祥文様が詰められています。 この秋の装いにいかがでしょうか。
これからの時期に活躍しそうな帯揚げにも、素敵な麻の葉文様がございます。
ちなみに、今回のオリンピック、パラリンピックの日本代表のネクタイ、スカーフには 「七宝」の文様が使われています。スカーフの先に見える三角模様は、「鱗」でしょうか?
こちらの帯揚げにも「七宝繋ぎ文様」が素敵に配されています。
それぞれの文様に込められた意味、想いを知るとまたお品を見る気持ちが変わりますね。 また、日常生活のいろいろなところに日本の文様がさり気なく置かれていることにも驚かされます。
段々と秋の色が濃くなってきているこの頃、銀座店には少しずつ先の季節のお支度のお品が入荷しております。 また履きやすそうなカレンブロッソも続々入荷しております。
お近くにお越しの際には、ぜひお立ち寄りくださいませ。 スタッフ一同、楽しみにお待ちしております。
銀座店スタッフ 田山