銀座店
小千谷縮の魅力
夏着物の魅力はそのバリエーションの豊かさにあると思います。
絹物でも軽い単衣から透け感の美しい極薄の盛夏もの、浴衣に代表される木綿、そして様々な植物布など、 夏ならではの着こなしが楽しめる素材のものが満載で、チョイスに困ってしまいます。
とはいっても着用期間が短いのにお手入れが大変、また近年の気候変動による高温・多雨で着用を躊躇ってしまう・・・というご意見もちらほら。
そこで、人気を高めているのが小千谷縮なのです。軽くてシボのあるさらっとした質感、麻なので水に強く、 ご自宅で洗えるという気軽さもあって、近年では夏着物の定番にされている方も多いと思います。
店頭にもいろいろ・・・
写真左から:(A-3411)小千谷縮 生成り 流水文/ (A-3412)小千谷縮 白練×藍鼠 竪縞/ (A-3595)小千谷縮 檳榔子染色 細縞
小千谷縮のルーツは生産地・新潟の近隣で作られている越後上布に遡ります。
越後上布は、千数百年前から朝廷に納められていたという最高級の平織の麻布。この越後上布に、江戸初期に播州明石からやってきた堀次郎将俊が明石縮の技法をもって改良を加えたのが小千谷縮です。
その技術と工程は1955年には国の重要無形文化財に、 1975年には伝統的工芸品に、さらに2009年にはユネスコ無形文化遺産に 指定されるという快挙を成し遂げました。
しかし、重文のものは経緯とも苧麻の手績み糸を使用し、いざり機による手織など、古式に則った5つの条件を満たす事が必須であり、生産者が激減した今では高価な希少品になっているのが現状です。
そこで近年は紡績糸による機械織りの普及品が進出してきました。
縞や格子のモダンな柄付けで、カラフルな近代の小千谷縮は目を惹きます。手に入りやすいお値段も魅力的ですね。
こうした背景には世情に沿った、気軽に着れる製品を提供したいという生産者さんたちの思いがあるようです。
越後上布も同様に作り手や後継者が激減している今、「遺していく技術」も大切ですが、「着てもらえる着物」 を作ることも重要だと力説されていた生産者さんのお話が印象的でした。着物に関わる人々の熱くて優しい思い。
その思いを、楽しく着る事で大切にしていきたいと思う今日この頃です。
銀座店には希少な小千谷縮の名古屋帯も入荷しております。
(帯4271)国指定重要無形文化財 小千谷縮 名古屋
すっきりと、夏の着こなしに欠かせない小千谷縮の半衿もございます。
(G-1945)小千谷縮 半衿 白色 無地
楽しみな一枚を探しに、ぜひ銀座店にお出かけくださいませ。
お待ちしております。
銀座店スタッフ 松浦
今週のお店のお花
紫陽花のアソートにブルーベリーが忍び込んでおります。
本格的な夏はこれからですね。