銀座店
礼装 黒留袖について
秋を満喫する間もなく、このまま次の季節へと進んでしまいそうなこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでょうか。
すっかり陽の落ちる時間も早くなりました。銀座店近くの京橋のスクェアガーデンでも華やかなイルミネーションが始まって、冬の訪れを感じさせてくれます。
11月といえば、まさに結婚式シーズン真っ只中ですね。 最近は結婚式も、ホテルや式場で式を挙げてそのまま披露宴、というかたちだけでなく、 教会や神社で式を済ませて、披露宴は近しい人たちだけでレストランでカジュアルに、 海外で両家族を呼んで式を挙げ、国内で改めて披露宴等々、多種多様です。
従来でしたら、結婚式の装いといえば、新郎新婦のお母様方と仲人、媒酌人となると最高の格である黒留袖をお召しになる方が殆どでしたが、上記のようにいろいろなタイプのお式が登場してくる現代では、また選択肢も様々。 とはいえ、お家の箪笥にご自身やお母さまの黒留袖が眠っているという方も多いことと思いますし、御両家の装いの格を合わせる意味でも、黒留袖という選択は安心なもの。着用の機会があれば、ぜひ活躍させていただきたいですね。
千總製 黒留袖(着物4308)
人間国宝 森口華弘作 黒留袖(着物4036)
今ではお嫁入りの際に着物一式を揃えることは少なくなってきていますが、お母様やお祖母さまの留袖を活用するために、帯や小物を新調なさる方も多くいらっしゃいます。
お草履やバックもフォーマルに相応しい格の高いものを。
畳表のお草履はカジュアルだと思っていらっしゃる方も多いのですが、当店の畳表のお草履は前3枚後ろ7枚で礼装には最高のお品です。
草履 畳表(G-2636)
最近はあまり聞きませんがご年配の方から「江戸褄(えどづま)」はありますか?とのお尋ねを受けたことが何度かありました。
今では「江戸褄」≒「黒留袖」と同じと捉えてます。
「江戸褄」と呼ばれるのは諸説ありますが、江戸時代「大奥」のお引きずりの裾模様からが一番有名ですが
時代考証家の山田順子さんの「時代考証家のきもの指南」(徳間書店)によりますと
『江戸時代中期~後期の贅沢禁止令により目立たない小紋や縞模様が着られるようになり、代わりに裏地や襦袢を派手にしました。
女性も男性同様に着物の模様がそれまでの総柄から小紋柄や縞模様、模様が目立たないように段々と位置を下げて裾近くにしました。
上半身は無地、帯は幅広の帯、裾に柄という裾模様が登場したのです。これを江戸褄と呼びます。 そして普段は小紋や縞模様、晴れ着に上は無地、背紋と肩と袖に紋をつけた裾模様を着るということが行われるようになりました。』
と、あります。
その後、黒地に五つ紋、裾模様の振袖の袖を結婚後に短く切り、お祝い事に着るようになったという事です。 なるほど、黒留袖は時代と共に様々に変化し、礼装も昔から同じ形でないことがわかります。
当時は帯も重くて腰が痛くなってしまうような丸帯でしたが、今は金彩や唐織など軽く華やかな袋帯です。
左:龍村平蔵製 本袋帯(店頭限定P2-349)右:人間国宝 北村武資作 袋帯(店頭限定P2-344)
昨今では、親族一同が集まる大々的なお式や披露宴は少なくなってきていますが、以前、結婚式で御両家のお母様とご親族の皆様が黒留袖をお召しになるという、中々出会えないような式のお着付けをさせていただく機会がありました。黒留袖が十数名ずらりと揃い、未婚のお嬢様方は華やかにお振袖をお召しになられた様子は、それはそれは豪華絢爛で圧巻の景色でした。
日本女性の最上級の礼装、黒留袖。
決まり事もありお支度も大変ですが、お身内のお式の際には、ぜひお召しいただきたいと思います。
私も譲り受けた黒留袖を着られる日を楽しみにしております。
銀座店ではお留袖に必要な小物のご用意もございますので、どうぞお気軽にお声掛けください。
皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げます。
銀座店 阿部
『きもの青木銀座店』
TEL03-3564-7171
営業時間 11:00~18:00
定休日:月・火曜日
店内混み合う状況もございますので、ご来店予約を頂くと比較的スムーズにご案内できます。ぜひ、ご来店予約フォームをご利用くださいませ。
※ご予約なしでもご相談を承っておりますが、ご予約のお客様を優先して対応させていただきますので長時間お待たせしてしまう場合もございます。コーディネートのご相談やお着物や帯をご持参いただく場合は、ご予約をおすすめしております。