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型絵染めの楽しさ、柚木沙弥郎先生の教え……型絵染作家・鹿児島丹緒子さんスペシャルインタビュー

この度、型絵染作家として活躍なさる鹿児島丹緒子さんの作品を、銀座きもの青木のセレクションコーナーにてご覧いただくこととなりました。

3月12日 (木)に銀座店にて、3月13日 (金)のAM9:45にオンラインショップ※でご紹介予定です。

今回のご案内するお品は、きもの青木のために制作していただいた帯と、日本民藝館展に出展なさった着物。これからの季節を楽しく彩ってくれる、それはそれは可愛らしい作品たちです。

作品のご紹介に際しまして、作り手の鹿児島さんから直接お話を伺う機会をいただきました。

※今回ご紹介する作品は全て1点物です。ONLINE SHOPでご紹介する前日に店舗にてご覧頂いております。そのため店舗にて販売済みとなった場合には、SOLDの状態でのご案内になります。その旨ご了承下さいませ。


鹿児島さんは、女子美術大学にて染色を専攻、在学中は柚木沙弥郎先生に師事なさいました。紙塑人形の人間国宝でいらしたお祖父さまのお手伝いのため、表舞台での作品制作はしばらくお休みなさっていたそうですが、お嬢さまのかやさんが同じ道に進まれたのを機に活動再開。

2013年頃から国展等への出展を始められ、国展や日本民藝館展でも数多い受賞経歴をお持ちです。現在は所沢にて、シルクスクリーンを専門となさる染色家のお嬢さま岸本かやさんと共に「みはに工房」型絵染作家として、様々な分野で制作活動をなさっています。

インスタグラムはこちらから:https://www.instagram.com/mihani_hpfp

まず、早速ですがこちらが皆さまにご覧いただく帯たち。

愛らしい野の花や小さな虫たちが帯いっぱいに広がり、待ちかねた春を謳歌していますね。懐かしい原っぱを眺めているような、生命力に満ちた景色に心が弾みます。

鹿児島さん「今も作品を作る際に、常に心に掛けている柚木沙弥郎先生の教えは、

『一つの画面に収まるものではなく、繋がった模様として染める。』
後から思えば、こぢんまりとまとまらないようにということでしょうね。
今回制作したこちらはお太鼓柄の帯ですので、手持ちの型紙の連続した柄のどこを切り取ってアレンジするか、ということに苦労しました。が、前柄はこうして、お太鼓はこうしてっていうアイデアがどんどん浮かんできて、これはまたやってみたいなっていう感じでいろいろ夢が広がっています。」

お太鼓とは別に、前柄もきちんと型を分けて染めてくださっています。伸びやかな表情は、連続柄を想定した構図を基として生まれたものなのですね。

「着物の場合は、大学で私たちが習った頃は昔の古紅型の、庶民が着てたような小紋みたいなちっちゃい模様で、木綿で絵羽ではないもの。それが基本になっていて、一つの型の中に上向いたり下向いたりっていう型を作っています。こちらもそうですね。」

こちらはもう一点の帯。
放射状にぐんぐんと広がってゆく力強い花たちを、こっくりと深みのある明るい色が彩っています。多彩なパレットのように豊かな色遣いがとても新鮮ですね。

「柚木先生からのもう一つの大切な教えは『色のルール』。
民芸の方のように昔からある最小限の天然の顔料を混ぜることで色を作り、模様には全て天然顔料を用いています。だいたいの濃さの基準があり、柚木先生から教えられた色合わせを基に色を作っていく感じです。
柚木先生もあまり薄い色を作らない方でしたが、私もやっぱりある程度の濃さ、もともとの天然顔料がもともと持つ色の良さを生かしたいと思っています。この顔料で限られた色をどう使うか、どう隣り合わせるか、ぼかしの入れ方にある程度のルールがあるんですね。 そのパターンでたくさんバリエーションができてくるので、それの組み合わせです。」 

琉球の紅型のようなしっかりと主張のある色は、やはり顔料ならではのもの。鮮やかでありながらもどこか温かく、例えば画像のように紫根染の個性的な色にも綺麗に調和してくれますね。

今回ご紹介する作品ではございませんが、鹿児島さんの作品では、楽器を弾いている人や動物たちのモチーフもとても素敵です。

「楽器とか人物とかの型に着目していただいたのはとても嬉しかったんです。
自分は、自然のものと音楽関係のものが一緒になってる融合する、そんな感じのものがとても好きです。
身につけるものとして人物や楽器のモチーフはなかなか難しい部分もありますが、私はそれを着てる人をぜひ見てみたい、と思っているんですよ。」

コンサートや美術館、一緒に出かけたい場所があれこれ浮かんでしまいますね。着たいと思う方、きっとたくさんいらっしゃると思います。

実際にお使いになっている型紙も、たくさん見せていただきました。

「カシューという人工漆みたいなもので紗を貼りますが、空間がいっぱいあるようなものは難しいですね。プレッシャーです。でも型紙彫るのも楽しいですし、伏せ糊もとても時間はかかって大変ですけど、伏せ糊は伏せ糊で、また色差しも色差しでとても楽しいんですよ。
本当に子供が遊びたいっていう感覚と同じような、純粋な楽しさですね。」

「最近では毎年干支の布文鎮を作ってまして、今年の馬です。裏がこういうお城になっています。こんな型紙でしたという参考として持ってきました。」

とても可愛らしい文鎮、銀座店に置いておりますので、ぜひお手に取ってご覧になってみてくださいね 

型絵染作家 鹿児島 丹緒子さん、創作の原点には「温めてきたたくさんのアイデア、自分の中に在る世界が、型絵染めという技法で染まった時にはどんな風に見えるのか、それをまず自身で見てみたい」という強い想いがあるとのこと。
静かな佇まい、柔和なお人柄に魅せられると同時に、作り手としての芯の通った意志と熱意が伝わってくる貴重なひと時でした。

まずは、今回帯を2点、着物を1点ご覧いただきます。
重ねてのご案内になりますが、3月12日 (木)に銀座店にて、3月13日 (金)のAM9:45にオンラインショップでご紹介予定です。どうぞお楽しみに!!