寒さが厳しい毎日ですが、あっという間に松の内も開け、成人式を迎えたご家庭はホッとした頃でしょうか。本当におめでとうございます。
我が家では次女が成人式を迎えました。本来ならば、年末に帰省する長女に合わせて次女の成人式の前撮りをする予定でしたが、私が風邪を拗らせた為に、次回長女が帰省する三月まで延期に・・・
三年前、長女は今でいう「ママ振り」の振袖に、私が母や祖母と一緒に選んだ帯を合わせて小物だけを新調したのですが、長身で手足の長い現代っ子体型の次女には裄が合わず・・・身長174センチ、裄が72センチの従姉妹から振袖、帯を借り、「ママ振り」ならぬ「叔母振り」の一揃えとなりました。
私と揉めながらも、小物だけは彼女が納得する今風に。長女の時には刺繍半衿の威力を知らなかった私でしたが、今回は一枚の布の威力を知っております。
先ずは次女の振袖に合わせて、今回は金色の刺繍も入った素敵な刺繍半衿を・・・と探しておりましたら、優しい先輩スタッフが「娘の時使ったものですが、よかったら」と、ピッタリの半衿を帯揚げ、草履共々貸してくださいました。なんとありがたいこと!
さて、長女に「あなたは何を着る?」と聞くと、せっかくだから着物を着たいとのこと。次女からは「私よりは地味に!」と釘をさされていますので、さすがに振袖は・・・
そういえば、と叔母からの小紋を箪笥から出してみました。彼女に良く似合いそうです。コーディネートは、センス抜群の店長にお願いしましたところ・・・長女の個性にぴったりの装いができあがりました!
お客様もよくおっしゃる言葉ですが、「着物が生き返った」ようです。
いつ立ち会っても思うのですが、本当に帯、いや帯揚げ一枚、帯締め一本ですっかり表情が変わってしまうのが、着物のすごいところです。
次は長襦袢。
振袖以来初めての着物なので、こちらにあう長襦袢は・・・と、また箪笥をゴソゴソ。私には裄も身幅も合わずに眠っていた母の長襦袢を発掘!サイズを測ったらなんとピッタリ!!彼女からしたら、大叔母の着物に祖母の長襦袢です。こんな融通が利いてしまうところも着物のすごいところですね。
恥ずかしながら、今までは正式な絹の長襦袢を着たことがなかった私なのですが、先日、お茶の先生から「よかったら」と素敵な長襦袢をいただきました。今回はぜひこちらを使いたく、そうと決まったら半衿つけです。さて針仕事の苦手な私・・・振袖の刺繍半衿、長女の半衿、自分の半衿、と涙目になっていましたら、またまた先輩スタッフの救いの手が・・・(涙)
日々、本当に助けられております。
たくさんの人から受け継いだもの、優しさに助けていただいたことで成り立った我が家の成人式コーディネート。 是非とも、見ていただきたかったのですが・・・残念ながら、楽しみは三月までとっておきます。
現在、使いやすくてとっても素敵な半衿が、きもの青木 にもいろいろ揃っております!
半衿各種はこちらのページをご参考になさってくださいませ。
寒さも一段と厳しくなってまいりました。私も体調管理に一層気を付けたいと思います。
皆さまもどうぞご自愛くださいませ。
銀座店 田山
『きもの青木銀座店』
TEL03-3564-7171
営業時間 11:00~18:00
定休日:月・火曜日
店内混み合う状況もございますので、ご来店予約を頂くと比較的スムーズにご案内できます。ぜひ、ご来店予約フォームをご利用くださいませ。
※ご予約なしでもご相談を承っておりますが、ご予約のお客様を優先して対応させていただきますので長時間お待たせしてしまう場合もございます。コーディネートのご相談やお着物や帯をご持参いただく場合は、ご予約をおすすめしております。
※ブログ内でご紹介させていただきました商品は一点ものが多いため、すでに販売済の場合もございますのでその旨ご了承くださいませ。
今年のカレンダーも残すページはあと一枚、師走に突入しました。
銀座店からほど近いスクエアガーデン前のイルミネーションが夜を彩り、きぜわしい毎日をクリスマスの楽しさで盛り上げてくれています。
きもの青木店内でも年末年始の華やかな着物や、小物たちが日々入荷して所狭しと並んでいます。
その中で、私の心を温かくしてくれるのが、紫根染の着物です。
東北出身の私が"銀座きもの青木"で働くことへと繋がった、不思議なご縁をこの着物に感じるからです。
スマホもSNSもまだ普及していない時代、地方に住む着物好きの私は、町の本屋さんに並ぶありとあらゆる着物雑誌を読み漁っていました。
その雑誌の中でも、色とりどりの帯締めがずらりと並ぶ大きなガラスケースが印象的な着物屋さん、一際目立つ存在が"銀座きもの青木"でした。「行ってみたい」と言う気持ちより「このお店で働いてみたい」というのが第一印象に残ったのを今、思い出しています。
そんな私の大切にしている着物に、南部紫根染の一枚があります。
その着物は祖母が誂えて、母から私へと引き継がれたものです。祖母が着ていたころから、母の着る姿を見るたびに、いつかは私も着てみたい!とずっと想い続けた一枚です。
もちろん、きもの青木の面接にも気合いを入れてその紫根染を着て挑みました。
大変貴重な紫根から生み出される色と絞り染の美しさ、色の滲み…私に底知れぬパワーを与えてくれます。それは、故郷への愛や、憧れのお店で働いている今へと繋がる感謝の気持ちが溢れてくるからだと思います。
皆様にもそんな想いのこもったお着物があるのではないでしょうか。
ただ今、銀座店にある紫根染のお着物は盛岡の草紫堂さんの幾何模様と、みちのく白鷹の里工房さんの漢方染の2枚があります。タイプの違うとても美しい紫根染をぜひご覧いただきたいです。
草紫堂製紫紺染着物(着物4252)
みちのく白鷹の里工房製 漢方染 着物(着物4322)
南部紫根染を愛してやまない私なりの、クリスマスやお正月に軽くお出かけするコーデを考えてみました。コーデを考える時間って、ホント楽しいですよね。
今年もあとわずかとなりました。
年末年始にはお着物でお出かけするご予定の方もいらっしゃる事と思います。
銀座店では12月26日が今年最終日でございます。年始は1月8日からの営業となっております。
詳細は「年末年始営業のお知らせ 2024-2025」をご覧くださいませ。
銀座にお越しの際には是非お立ち寄りくださいませ。
スタッフ一同心よりお待ちしています。
銀座店 田中
『きもの青木銀座店』
TEL03-3564-7171
営業時間 11:00~18:00
定休日:月・火曜日
店内混み合う状況もございますので、ご来店予約を頂くと比較的スムーズにご案内できます。ぜひ、ご来店予約フォームをご利用くださいませ。
※ご予約なしでもご相談を承っておりますが、ご予約のお客様を優先して対応させていただきますので長時間お待たせしてしまう場合もございます。コーディネートのご相談やお着物や帯をご持参いただく場合は、ご予約をおすすめしております。
※ブログ内でご紹介させていただきました商品は一点ものが多いため、すでに販売済の場合もございますのでその旨ご了承くださいませ。
秋を満喫する間もなく、このまま次の季節へと進んでしまいそうなこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでょうか。
すっかり陽の落ちる時間も早くなりました。銀座店近くの京橋のスクェアガーデンでも華やかなイルミネーションが始まって、冬の訪れを感じさせてくれます。
11月といえば、まさに結婚式シーズン真っ只中ですね。 最近は結婚式も、ホテルや式場で式を挙げてそのまま披露宴、というかたちだけでなく、 教会や神社で式を済ませて、披露宴は近しい人たちだけでレストランでカジュアルに、 海外で両家族を呼んで式を挙げ、国内で改めて披露宴等々、多種多様です。
従来でしたら、結婚式の装いといえば、新郎新婦のお母様方と仲人、媒酌人となると最高の格である黒留袖をお召しになる方が殆どでしたが、上記のようにいろいろなタイプのお式が登場してくる現代では、また選択肢も様々。 とはいえ、お家の箪笥にご自身やお母さまの黒留袖が眠っているという方も多いことと思いますし、御両家の装いの格を合わせる意味でも、黒留袖という選択は安心なもの。着用の機会があれば、ぜひ活躍させていただきたいですね。
千總製 黒留袖(着物4308)
人間国宝 森口華弘作 黒留袖(着物4036)
今ではお嫁入りの際に着物一式を揃えることは少なくなってきていますが、お母様やお祖母さまの留袖を活用するために、帯や小物を新調なさる方も多くいらっしゃいます。
お草履やバックもフォーマルに相応しい格の高いものを。
畳表のお草履はカジュアルだと思っていらっしゃる方も多いのですが、当店の畳表のお草履は前3枚後ろ7枚で礼装には最高のお品です。
草履 畳表(G-2636)
最近はあまり聞きませんがご年配の方から「江戸褄(えどづま)」はありますか?とのお尋ねを受けたことが何度かありました。
今では「江戸褄」≒「黒留袖」と同じと捉えてます。
「江戸褄」と呼ばれるのは諸説ありますが、江戸時代「大奥」のお引きずりの裾模様からが一番有名ですが
時代考証家の山田順子さんの「時代考証家のきもの指南」(徳間書店)によりますと
『江戸時代中期~後期の贅沢禁止令により目立たない小紋や縞模様が着られるようになり、代わりに裏地や襦袢を派手にしました。
女性も男性同様に着物の模様がそれまでの総柄から小紋柄や縞模様、模様が目立たないように段々と位置を下げて裾近くにしました。
上半身は無地、帯は幅広の帯、裾に柄という裾模様が登場したのです。これを江戸褄と呼びます。 そして普段は小紋や縞模様、晴れ着に上は無地、背紋と肩と袖に紋をつけた裾模様を着るということが行われるようになりました。』
と、あります。
その後、黒地に五つ紋、裾模様の振袖の袖を結婚後に短く切り、お祝い事に着るようになったという事です。 なるほど、黒留袖は時代と共に様々に変化し、礼装も昔から同じ形でないことがわかります。
当時は帯も重くて腰が痛くなってしまうような丸帯でしたが、今は金彩や唐織など軽く華やかな袋帯です。
左:龍村平蔵製 本袋帯(店頭限定P2-349)右:人間国宝 北村武資作 袋帯(店頭限定P2-344)
昨今では、親族一同が集まる大々的なお式や披露宴は少なくなってきていますが、以前、結婚式で御両家のお母様とご親族の皆様が黒留袖をお召しになるという、中々出会えないような式のお着付けをさせていただく機会がありました。黒留袖が十数名ずらりと揃い、未婚のお嬢様方は華やかにお振袖をお召しになられた様子は、それはそれは豪華絢爛で圧巻の景色でした。
日本女性の最上級の礼装、黒留袖。
決まり事もありお支度も大変ですが、お身内のお式の際には、ぜひお召しいただきたいと思います。
私も譲り受けた黒留袖を着られる日を楽しみにしております。
銀座店ではお留袖に必要な小物のご用意もございますので、どうぞお気軽にお声掛けください。
皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げます。
銀座店 阿部
『きもの青木銀座店』
TEL03-3564-7171
営業時間 11:00~18:00
定休日:月・火曜日
店内混み合う状況もございますので、ご来店予約を頂くと比較的スムーズにご案内できます。ぜひ、ご来店予約フォームをご利用くださいませ。
※ご予約なしでもご相談を承っておりますが、ご予約のお客様を優先して対応させていただきますので長時間お待たせしてしまう場合もございます。コーディネートのご相談やお着物や帯をご持参いただく場合は、ご予約をおすすめしております。
※ブログ内でご紹介させていただきました商品は一点ものが多いため、すでに販売済の場合もございますのでその旨ご了承くださいませ。
皆様こんにちは。 爽やかな秋の気配を感じるようになってまいりましたが、お元気でお着物ライフを楽しんでいらっしゃいますか?
時の経つのは早いもの。暑い暑いと言いながらも、なんと今年もあと2ヶ月とは!
10月といえば、恒例の 銀座きもの青木「周年祭」。 今月初めから4週にわたって開催中でございます。 今年も無事に「周年祭」を迎えられた事、多くのお客様に支えて頂き、皆様に日本の宝ものである染織の逸品をご紹介できる事、心から感謝しております。
毎回、どのようなお品が出るのか、我々スタッフもワクワク、ドキドキのお楽しみなのですが、「周年祭」がどの様なお品揃えなのかとご質問いただくことも多くございますので、この機会に改めてご紹介させていただきますね。
いわゆる染織作品の逸品と呼ばれるものは
・国が指定する重要無形文化財の保持団体、または保持者として認定された団体、個人(いわゆる人間国宝と呼ばれる方々)による、高度な技術や熟練の手技が尽くされた珠玉の作品
・日本工芸会や国画会などに所属する作家さんを中心とする、独自の世界観から生まれる圧倒的な個性とオーラを備えた作品
・日本各地の歴史ある伝統産業から国が指定する、全国津々浦々から集まってきた魅力的な伝統的工芸品の作品
などの着物や帯。 通常のセレクションでもお馴染みの品々ですが、「周年祭」ではその中でもより希少性の高いものや、きもの青木 が「周年祭」のためにとあたためてまいりましたものを中心に、ご案内しています。
私事ですが、今年は初夏にご縁あって、伝統的工芸品の置賜紬の里である山形県の米沢、長井、白鷹を旅するチャンスに恵まれ、現場の貴重なお声に触れてまいりました。 そこで、今回は置賜紬を中心に、伝統的工芸品のことについて少しお伝えさせていただきますね。
このマークがお馴染みの「伝統的工芸品」の印。国指定の伝産法(伝統的工芸品産業の振興に関する法律)で定義されている条件を満たしたこのマーク入りの品々も、きもの青木 では数多くお取り扱いさせていただいております。
伝統的工芸品産業振興協会によれば「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」で定められた「伝統的工芸品」という呼称の「的」とは「工芸品の特長となっている原材料や技術・技法の主要な部分が今日まで継承されていて、さらに、その持ち味を維持しながらも、産業環境に適するように改良を加えたり、時代の需要に即した製品作りがされている工芸品』という意味とのこと。なかなか難しいですね。
その具体的な項目はというと、
①主として日常の暮らしに使われるもの
②製造過程の主要部分が手作業によるもの
③概ね100年以上継続する伝統的技術または技法によって製造
④伝統的に使用されてきた原材料→天然素材である
⑤一定の地域で、10企業または30名以上の従業者が集まって産地を形成→同業組合の存在
これらの要件を満たした上で申請し、狭き門を通り抜けた団体が経産省から認定を受ける、というしくみだそうで、現在日本の伝統文化を守るべく認定されている日本の宝は、240余品目に及ぶそうです。
この説明を聞いただけでも有り難みが湧き上がってまいりますね。
私が訪ねてまいりました置賜紬の産地では、紅花紬で有名な米沢紬、米琉でお馴染みの長井紬、白鷹お召に代表される白鷹紬などが生産されています。
古くから絹産業が発達していたこの地は米沢藩主の上杉鷹山氏によって、特産品としての高価な絹織物の生産、流通経路や品質保証の仕組みが整備されました。 今在る機屋さんは、その礎から脈々と現在まで続く超老舗さんばかり。
11代続く縞帳
そんな置賜紬の中でもとりわけ人気の高い白鷹お召も、今回の「周年祭」にお出まししております。
白鷹御召(着物4280)
独特な手法で染め上げる高い技術を必要とする板締め
経糸緯糸の細かな絣合わせの世界で現れてくる伝統柄。 ちょうど、機屋さんでは、七宝の白鷹お召を織ってらっしゃいました。
店頭でお取り扱いしているお柄が目の前で織り進まれる光景は圧巻でした。 お若そうな職人さんでした。伝統的工芸品の認定がある団体は、後継者育成にも大変なご尽力をされておいででしたので、今後もとても楽しみです。
きもの青木「周年祭」はまだまだ続きますので、ぜひ、ご注目くださいませ。
最終週は、10/25(金)オンラインショップ出品でございます。
銀座店では、10/24(木) 先行販売でございますので、是非お立ち寄りくださいませ。
スタッフ一同心よりお待ちしております。
銀座店 橋本
『きもの青木銀座店』
TEL03-3564-7171
営業時間 11:00~18:00
定休日:月・火曜日
店内混み合う状況もございますので、ご来店予約を頂くと比較的スムーズにご案内できます。ぜひ、ご来店予約フォームをご利用くださいませ。
※ご予約なしでもご相談を承っておりますが、ご予約のお客様を優先して対応させていただきますので長時間お待たせしてしまう場合もございます。コーディネートのご相談やお着物や帯をご持参いただく場合は、ご予約をおすすめしております。
※ブログ内でご紹介させていただきました商品は一点ものが多いため、すでに販売済の場合もございますのでその旨ご了承くださいませ。
酷暑の夏も9月に入り、ふとした時にこれまでとは違う過ごしやすさを感じます。吹く風も涼やかになってきて、通勤時に歩く街並みや秋物が並ぶお店のウィンドウを見ながら、もうすぐ私の好きな秋がやってくると思うとワクワクしてしまいます。
秋といえば食欲の秋、運動の秋、芸術の秋。美味しい食べ物が沢山出回り、また自然の移り変わりがとりわけ綺麗な季節ですね。山登りが趣味でもある私は、秋の山の景色の変化をみるのが楽しみで、この時期にはよく出かけます。 そして芸術の秋といえば、高度な手仕事と時間が費やされた贅沢な着物や帯はまさしく芸術作品ともいえるもの。身に纏うことで風情豊かな季節感を表現できますね。
さて、私は春から銀座きもの青木のスタッフとして仕事をしておりますが、今回は私がきもの青木と出会うまでのお話をしたいと思います。
ひとそれぞれ異なれど、今の時代に「着物を着よう!」と思うには、何かしらのきっかけが必ずあることと思います。
私のきっかけは、日本刺繍です。
実は子育てが一段落した頃から、母が日本刺繍を習い始めました。当時は以前より嗜んでいたフランス刺繍に続けて、ただ好きなことをしているのかな思っておりました。
身頃や袖のサイズに切られた反物を張った大きな板を持って1時間近くかけて習いにいき、また帰ってきては撚りをかけて糸を1本から作り、ひと針ひと針刺している姿はいまでも目に焼き付いています。
最初は好きで始めたことかもしれませんが、今思えば、私達姉妹が結婚するときの嫁入り道具の一つとして持たせようと、母が一生懸命作ってくれたもの。刺繍のお着物や帯などは大事な宝物です。
そんな宝物をずっと箪笥の肥やしにしてはいけないと思い、子供達の式典には必ずそのお着物と帯を着て参列しておりました。そんな晴れの日の姿を、母には一度も見せることができなかったのは本当に残念です。
最初は親孝行になるかなという想いで着ていた着物でしたが、今では私の大切なワードローブの一つとなっております。
先日、そんな母の話を知っているお友達が、日本刺繍の展覧会に誘ってくれました。
どの作品も実に見事なもので心から感動いたしましたが、同時に、あらためて母への感謝の気持ちで胸が熱くなりました。
自分で着るだけで大満足だった私の着物生活でしたが、娘に浴衣の着付けをしたことで、人に着せることを勉強するうちに、段々と着物に関係する仕事をしたいと思い始めました。
そんな時に、思ってもいなかった きもの青木 とのご縁がつながりました。
私は今、東京都の青梅市に住んでおります。昔は織屋さんがあり着物にも関わりのある地域ですが、やや離れた銀座はほとんど出かけることのない場所でした。 面接を受けるにあたって初めてお店を訪れた際の第一印象は、私が想像していた着物屋さんとは違う、落ち着いた居心地の良さ。スタッフの楽しそうな雰囲気、決して広くはない店内ではありますが品揃えの多さにもびっくりしました。
皆さまは初めて銀座きもの青木にご来店なさった時の印象はいかがでしたでしょうか? 初めてお店に来られるお客様が、ずっとここに居たいわ、楽しいわ、という言葉をよく耳にしますが、同感です。私もそうでした。
そしてびっくりしたことがもう一つ。実際に仕事をすることになり、銀座店とは別に世田谷事務所を訪れたときです。
ホームページにインスタなどSNSでの運営や発信、そこに載せている文章や写真、商品管理などの作業を、えっ?この少ない人数のスタッフですべてやっているのですか?と聞いてしまったほどです。素敵な商品をお客様に届けたいというその想いにも共感し、今はこの場所で働けることが出来て、とても楽しい毎日です。
さて、暑さもひと段落するこれからは、着物が着やすい季節になってきますね。お茶会や歌舞伎、パーティなどはもちろんですが、近所で友達とランチや気軽な買い物に行ったり、少し都心から離れた自然豊かなところにカジュアル着物でのお出かけもおススメです。
銀座きもの青木では、秋冬に向けて袷のお着物や帯、小物たちが毎日たくさんの商品が入荷しております。季節を感じる着物や帯、幅広い場面で活躍してくれる色無地もたくさん揃っています。
ぜひご来店の際には、皆さまのご相談にはもちろん、コーディネートのご相談も気兼ねなくお尋ねください。
まだまだ残暑厳しい日もあり、涼しい日もあります。寒暖差のある時は、体調を崩しやすくなりますので、どうぞご自愛の上お過ごしくださいませ。
スタッフ一同皆様のお越しをお待ちしております。
銀座店 藤澤
『きもの青木銀座店』
TEL03-3564-7171
営業時間 11:00~18:00
定休日:月・火曜日
店内混み合う状況もございますので、ご来店予約を頂くと比較的スムーズにご案内できます。ぜひ、ご来店予約フォームをご利用くださいませ。
※ご予約なしでもご相談を承っておりますが、ご予約のお客様を優先して対応させていただきますので長時間お待たせしてしまう場合もございます。コーディネートのご相談やお着物や帯をご持参いただく場合は、ご予約をおすすめしております。
※ブログ内でご紹介させていただきました商品は一点ものが多いため、すでに販売済の場合もございますのでその旨ご了承くださいませ。
パリオリンピックが無事幕を下ろし、8月も終盤にさし掛かってまいりましたが
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
運動音痴の私ですが、オリンピックでの選手たちの活躍には胸が熱くなる想いでした。つい夜更かして見入ってしまい、睡眠不足になられた方も多かったのではないでしょうか?
立秋を過ぎ暦のうえでは秋を迎えたとはいえ、厳しい暑さはまだまだ続きそうですね。
夏のお楽しみかき氷。お気に入りはほうじ茶味です♪
今年の夏は全国的に観測史上に残るような猛暑が続き、クーラーを効かせた部屋で着付けをしても、駅に着く頃には一仕事終えた後のようにぐったりしてしまいます。
暑がりで汗かきな私は、いかに着物で夏を快適に過ごせるかアレコレ試してみたのですが、ダントツで心地よさを実感できたのが夏の大定番「麻」でした。
麻の襦袢は持っていたのですが、今年は肌着にも麻をとり入れてみたところ、なんともさらっと心地良いこと!今更ながら麻のすばらしさを体感できましたので、今回は麻について少し掘り下げてみたいと思います。
近年の着物に用いられる麻はほとんどがラミー(紡績の苧麻糸)です。手績みの苧麻糸によるものは糸づくりだけでも大変な手間暇を要するため、現在では国の重要無形文化財に指定されたごく一部のお品のみとなっていますね。なお、基本的に糸に撚りをかけ独特のシボを出した織物は縮(ちぢみ)、シボのないものは上布と呼ばれています。
麻の繊維はストローのような中空構造となっており、体の熱を外に発散し同時に汗を吸い取る働きをするまさに天然のエアコン!高温多湿な日本の夏には最も適した繊維といえそうです。さらに、汚れが落ちやすい、洗濯に強い、乾くのが早いなどたくさんのメリットがあり丈夫さと清潔さを兼ね備えた万能選手。一枚は持っておきたいですね。
=小千谷縮=
毎年人気の高い小千谷縮。小千谷縮が作られる越後の国、新潟ではかなり昔から越後麻布という上質な麻布が織られていました。この麻をアレンジして生まれたのが小千谷縮。強い撚りをかけた緯糸を用いて製織し、ぬるま湯で手揉みして糊を落とすことで、撚りの戻りによる涼やかなシボをつくります。
小千谷縮は製品によって用いる糸や機など制作工程が大きく異なりますが、国の重要無形文化財に指定される最高峰のものは
➀糸は手績みの苧麻糸であること
➁絣は手くびりであること
➂いざり機(地機)で織ること
➃縮の仕上げは湯もみであること
➄雪ざらし
と、➀~➄の要件を満たす必要があります。
重要無形文化財指定の小千谷縮の着尺の製作は年間数反ほど。希少価値の高い夏の織物の中でもとりわけ入手の難しい逸品ですね。
こちらも過去にセレクション商品として何点かご紹介しておりますが、きもの青木ではラミー(紡績糸)を用いて高機で織り上げられた伝統的工芸品指定のものや、気軽にお召しいただける機械機によるお品を中心にご紹介しております。
*小千谷縮のコーディネート
シックな色合いの小千谷縮に型染めの麻帯を合わせて
=近江ちぢみ=
近江ちぢみは滋賀県の湖東地域で生産される麻織物です。湖と豊かな山々に囲まれたこの地域には高い湿度と美しい水があり、この高温多湿で内陸性の気候が麻織物の生産には最適とのこと。長い伝統に基づく技術によって織り上げられた強撚糸の織物を、『しぼ取り板』と呼ばれる板の上で生地をほぐしながら撚りを戻し皺をつけていました。現在ではこの作業も機械化が進んでいるようですが、このようにして得られたしぼによるシャリ感が肌との接地面を減らし、べたつきを取り除き快適な着心地を運んでくれます。
*近江ちぢみのコーディネート
爽やかなペールブルーの近江ちぢみに麻の染め帯で季節感を楽しんで
=近江上布=
近江上布の特徴は細い麻の繊維で織られる爽やかな風合いと絣模様です。機械化を取り入れた近江ちぢみとは異なり、伝統的工芸品に指定される近江上布は、素材はもちろん絣の染色や機にも様々な条件が定められており、上記の手もみによるシボ出しも要件の一つとなっています。
*近江上布のコーディネート
ナチュラルカラーの近江上布に人気の栗山工房の帯を合わせて
着物:P1-633(店頭限定商品)、帯:K-9757-2
=越後上布=
言わずと知れた夏の逸品、越後上布。 手績みのごく細い糸で織られる越後上布は、透けるように薄さと軽くさらりとした風合いが特徴です。
苧麻の皮から糸を績み、糸を染め、昔ながらの地機で手織りし、できあがった反物を仕上げに雪の上に広げて『雪晒し』を行います。気の遠くなるような時間をかけた工程を経る越後上布は、国の重要無形文化財に指定されています。
銀座店では文化財指定の越後上布の帯も多数ご紹介しています。
ひとくちに麻といっても地域や製作工程の違いでそれぞれ違った特性があるのですね。
麻の肌着の過ごしやすさに感動し、着物以外でも麻のルームウェアやワンピースを買ってみたりとすっかり麻に魅了された夏でした。
銀座店では暑さ対策としておすすめしたいお品が他にもございます。夏はもちろん単衣の時期でも重宝する綿麻の高島ちぢみの肌着。
こちらは綿80%、麻20%で、さらっとしながらも柔らかい肌触りが心地よいです。
また、小さな立役者としてヘチマの帯枕と前板も書き添えておきますね。
まだまだ厳しい残暑が続きそうですが、透け感の少ないものであれば9月に入っても麻の着物を楽しむことができますね。
皆さまも熱中症に気をつけて、残りの夏を満喫してください♪
銀座店では、一足早く秋に向けて袷のお品も入荷してまいりました。
コーディネートのお悩みなどお気軽にご相談くださいませ。スタッフ一同ご来店をお待ちしております。
銀座店 勝田
『きもの青木銀座店』
TEL03-3564-7171
営業時間 11:00~18:00
定休日:月・火曜日
店内混み合う状況もございますので、ご来店予約を頂くと比較的スムーズにご案内できます。ぜひ、ご来店予約フォームをご利用くださいませ。
※ご予約なしでもご相談を承っておりますが、ご予約のお客様を優先して対応させていただきますので長時間お待たせしてしまう場合もございます。コーディネートのご相談やお着物や帯をご持参いただく場合は、ご予約をおすすめしております。