日本の染織に精通し、様々なかたちで味わい深い着物や帯を遺した浦野理一さんの作品です。こちらは大きな節がぽつぽつと顔をのぞかせる、ざんぐりとして素朴な景色が印象的な経節紬。浦野さんの代表作として良く知られていますね。真綿から人の手で紡がれる太糸は、糸づくりのみならず製織も難しく、残念ながらその仕事は伝えられることなく既に生産が終わっています。今回のご紹介は青藤色が近いでしょうか、青みの強い薄い青紫系のお色です。綺麗なブルーが朗らかな印象のお色目で、これからの季節に良く映えそうですね。上質な無地紬は、帯合わせも幅広く様々な場面で活躍してくれます。縫いの一ッ紋が付いていますので、改まったお出かけやお茶の会など、より格高の装いが必要なお席にも安心ですね。胴抜き単衣仕立ては、急激に気温の上がる4月5月用の着物として、やはりとても重宝なもの。糸質、色、織り全てにおいて申し分のない一枚です。ぜひこの機会にご覧下さいませ。