黒鳶色が近いでしょうか、微かに紫みを含んだ夏紬の地に、金彩による繊細な枝垂桜や萩・万寿菊の図、重ねて様々なかたちで柔らかな絞りが配された訪問着です。ふわりと漂う疋田の霞、絞りの窓には精緻な刺繍を添えた秋草も顔をのぞかせて、隅々まで心配られた装飾が贅沢なお品。華やかな構成を節立った紬の地風やシックな色調が程良く抑えた趣味性高い夏衣、深みある色合いは白い襦袢に重ねれば透け感が際立ち、一層の涼感を運んでくれることと思います。