沖縄の染織品はどれも人の手技を尽くしたものばかりですが、その筆頭格が芭蕉布。上質な繊維を採るために、三年もの間丹精込めて糸芭蕉の木を育てることから始まり、糸を績み…製織から洗濯までの数知れぬ工程の全てに心を砕き、骨を惜しまぬ作り手の方々によって護られてきた宝の布です。こちらはその芭蕉布の名古屋帯、やや時間を経たお品と思われますが、今にはないプリミティブな雰囲気の絣です。土の香りがするような素朴な色柄は一歩引いた印象ですが、着物に載せますとその野趣が力強い存在感となってしっかりと着物を受けとめ、味わい深く引き立ててくれます。麻や夏紬などの装いにいかがでしょうか。