白練色と墨色の糸を微塵の横段に置いたグレイの縮地を背景に、小さな白兎が跳ねる姿や月の満ち欠け、星空などが地抜きの白で表現された訪問着です。裾には大きく身体を伸ばしてジャンプする兎と共に、三日月から満月まで様々な月齢の月が緩やかなカーブを描き、肩には満天の星空。抑えたお色がファンタスティックなモチーフをすっきりと引き立ててくれます。程良い遊びと上品な可愛らしさが、着る人を優しく引き立ててくれそうですね。こちらは小千谷縮や小千谷紬などの優れた技法を生かし、上質な着物や帯を制作なさる日本工芸会正会員・樋口隆司さんの作品。紬ちりめんとの名の通り、細かなしぼがつくるさらさらとした極上の風合いが心地良いお品です。先ずは秋のお月見にいかがでしょうか。