先代康助さんに続き、昭和53年に国の重要無形文化財保持者に認定された江戸小紋の第一人者・小宮康孝さんの作品です。こちらは江戸紫色が近いでしょうか、やや青みを帯びた明るめの紫地に、極小の錐彫りの地抜きで乱菊が表現されています。花弁を勢いよく広げる菊花の姿は躍動感にあふれ、40cm×15cm程の大きさの型の中にこのような世界を創り上げる精緻な彫りの技術、延々と続く型の連なりを鮮やかに染め上げる小宮さんの技術、その双方に圧倒されますね。さほど季節を問わない江戸小紋ですが、清々しい菊花の着物はこの時期にこそ袖を通したいもの。お茶の席など改まったお呼ばれにいかがでしょうか。