洗いざらしたような優しい白の地に、落ち着いた薄茶色の絣が整列する八重山上布の着物です。沖縄の石垣島で織られるこの上布は、宮古島の紺上布と同様に、古くから貢納布制度により磨かれた技術から生まれる爽やかな麻織物。昨今では島に自生する様々な草木から得た豊かな彩りを駆使した作品が多く見られますが、良く知られている伝統的な八重山の白上布はその名の通り、苧麻糸のナチュラルな白に紅露を染料とする薄茶で楽しい絣文が表現されています。今回のご紹介はひと目みてそれと判る八重山上布らしい特徴を備えたお品、繊細でエレガントな宮古上布と比較しますと、やや厚手で張りのある地風に好ましい野趣があり、大らかな絣模様とも相俟ってぐっとカジュアルな印象ですね。触れればひんやりとして良く風を通す、清々しい布。沖縄の風土に育てられたこの美しい織物を、ぜひお手に取ってご覧くださいませ。

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