黄橡色が近いでしょうか、黄みがかった柔らかな薄茶系を背景に、細い縞に黒みを帯びた焦茶の絣を絡めた久米島紬の着物です。古来の技法そのままに図案から糸染め、織りまでの工程の殆どを織り手が一人でこなす久米島紬は、2004年に国の重要無形文化財に指定されています。従来は殆どが泥染めによる黒地のお品でしたが、近年では染料となる植物が自生する恵まれた条件を生かし、多彩な草木染めの作品が生まれていますね。こちらも草木による温かみのある色を用いてトゥイグワーやカキジャーなどお馴染みの絣が表現されてたお品。琉球染織らしい力強く大らかな個性に加え、絣や色構成に現代的な洗練を感じさせる一枚です。どうぞこの機会にお手に取ってご覧くださいませ。