八丈島に伝わる黄八丈は、島に自生する草木と泥染めによる金茶、樺色、そして黒の3色の糸を用い、手機で織り上げられる絹織物です。苅安、椎、マダミを材として、多大な手間と体力を要する作業を20回から40回も繰り返すという染めから生まれる美しく堅牢な色は、江戸期の頃から長く愛されてきました。こちらはとりわけ手が掛かり難しいといわれる黒八丈、色斑などの難が目立ちやすい無地は染め織り共に大変な気遣いがなされていることと思います。深々として温かみのある黒が広がる世界ですが、近く見れば綾織りによる非常に精緻な文様が浮かんでおり、その繊細な景色に驚かされます。残念ながら特に証するものが残っておりませんが、その独特の布味は菊池洋守さんの作品を思わせますね。見事なまでに洗練された一枚、染めと織りの双方で最大限に引き出した絹という素材の美しさ、そして極上の着心地をぜひ実感頂けましたらと思います。

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