やや赤みを含んだ紫鳶色が近いでしょうか、女性らしい落ち着いた赤紫を背景にほっそりとした沢潟の花葉が描かれた繍一ッ紋の付下げです。幻想的な霞暈かしからすっと立ちあがる繊細な水草、たおやかな描線と味わい深い挿し色に風情香る優雅な社交着ですね。こちらは銀座の老舗呉服店・志ま亀さんのお品。自社工房で製作される着物や帯は、その選び抜かれた美しい色遣いや洗練された古典意匠で多くの方から長く愛されています。沢潟の開花は6月頃から夏にかけての時季ですから、袷の終わり頃にお召し頂くのはもちろん、単衣になさっても出番が増えそうです。季節感を贅沢に楽しむのも良し、また沢潟は勝ち草の別名もありますので装いに吉兆の意も込められそうです。静かな存在感を備えた志ま亀さんならではの一点、この機会にいかがでしょうか。