西陣証紙番号 No.7 北尾織物匠さんの袋帯です。贅沢な素材を惜しみなく用いた正統派古典意匠のフォーマル帯で良く知られた北尾さんは、一桁の証紙番号でもおわかり頂けます通り、西陣屈指の歴史と技術を誇る名門機屋さんでしたが、残念ながら先般廃業なさったとのこと。こちらは黎明、明け方の頃の空をうつしたものでしょうか。白鼠を背景に金銀糸をふんだんに用い、暁鼠から淡藤、そして紅碧の繊細なグラデ ーションを駆使して、刻々と色を変えてゆく景色を見事に表現しています。透明感のある彩り、そして様々な糸を用いた複雑な織りから生まれる厚みある風景の、なんと清々しいことでしょう。古典的な雲霞の優美な趣きを残しつつ、モダンな洗練が光るフォーマルの逸品です。訪問着や留袖など晴れやかな装いにいかがでしょうか。