東京では5月に開催される国展、こちらの帯の作り手である鈴木紀絵さんは、毎年新しい作品との出会いが楽しみな作家さんの一人です。絞りのふんわりとした滲みや型絵染めの楽しい意匠、繊細な手挿しなど様々な仕事がひとところに集まって、絵本のような心弾む世界が創り出されます。こちらは風合い柔らかな薄藍の紬地に舞い飛ぶ蝶や鳥、草花の姿が描かれた染名古屋帯、絞りによる優しい描線を助けるほっそりとした手描きのラインや、小さく挿された朗らかな彩りが、装いに鈴木さんらしい品の良い甘さを添えてくれますね。木綿や紬・小紋などに合わせて、心和むのどかな春の装いをお楽しみくださいませ。