繊細な変わり絽の地に、網鬼灯が描かれた染めの名古屋帯です。熟したホオズキの袋状の萼は、風雨に晒されると朽ちて葉脈だけが残り、細かい網状の繊維から朱色の果実が透けて見える姿を網ホオズキと呼びます。朱赤や鮮やかな緑の生き生きとしたホオズキの姿とはまた異なる、侘びた風情が趣深いですね。こちらは人形町・錦やさんのお品、一歩控えた江戸好みの着物や帯には定評があり、梨園のお客さまも多い名店です。柔らかな白と落ち着いた朱、そして金彩が創る気品ある景色には、やははり老舗ならではの洗練を感じます。夏から初秋にかけての装いにいかがでしょうか。