贅を尽くした帯づくりで知られる龍村美術織物さんのお品の中でも龍村錦帯として特別な位置付けにある「龍村平蔵製」の本袋帯です。こちらは銘「源氏関屋文」、源氏物語第十六帖の「関屋」に取材したもので、宗達の屏風を思わせる景色が細密な織りで表現されています。屏風絵には多くの人物が描かれていますが、こちらには人の姿はなく、一台の牛車が残されるのみ…華やかな彩りがより寂寥感を誘います。たれ先や胴前に置いた四色の名物大黒屋金襴によって美しく表装された一幅の画とも見立てたくなる逸品、帯を主役とした贅沢な装いをお楽しみ下さいませ。