細く金糸を通した霞色の地に金糸刺繍の秋草文を置き、重ねて大きく配した八角形の窓には桐竹鳳凰、庭園風景、流水に柳・槌車など様々な意匠が極めて精緻な刺繍で表現された、総刺繍の袋帯です。その緻密さのみならず、平面を埋め尽くすような刺繍のボリュームも驚異的で、一体どれ程の年月が費やされたのか…作り手の高い技量に加えて想像を遙かに超えるであろう時間の蓄積に圧倒されます。このように贅沢な仕事には今後出会う機会も少ないと思われます。究められた手技から生まれた重厚な輝きを、ぜひご覧下さいませ。