墨色と薄鼠色がちかいでしょうか、ニュアンスある黒とグレイが創る緻密な算崩しに重ねて、金銀糸の瑞雲に金糸の向かい鶴丸文が整然と並ぶ典雅な意匠の袋帯です。銘「雲鶴文風通金襴」。糸屋金襴にも通ずる凛として端正な構図には男性的な華やかさがあり、名物裂の中でも独特の存在感がありますね。こちらは初代龍村平蔵さんの三男として生まれ、父の下で学んだのち、龍村らしい芸術性と共に実用性も兼ね備えた最高峰の帯を「傳匠名錦」などの形で世に送り出した、龍村晋さんの作品です。三役の江戸小紋や紋付き色無地、付下げや訪問着などに合わせて頂けば、改まった場面に相応しい気品豊かな装いをお楽しみ頂けることと思います。ぜひお手に取ってご覧くださいませ。