枯草色と青丹色が近いでしょうか、ひと色抑えた綺麗な黄色と薄い黄緑の軽やかな縞が走る夏紬の名古屋帯です。画像でおわかり頂けますでしょうか、五本ずつ揃えられたそれぞれの色の縞の中央には、一本だけ素材感の異なる部分。よくよく見てみればその箇所だけ経糸に僅かに撚りの甘い糸が用いられています。更にほんのりと優しい縞を引き締めるように小さな浮き織りが整然と並ぶ大変手の込んだお品ですね。残念ながら作り手さんの特定はいたしかねますが、草木染と思われる美しい色遣い、端正な織りや糸遣いを見れば、国画会、工芸会に繋がる方と想像されます。上布や夏の織りなどをモダンに引き立ててくれる洗練された一点、ぜひお手に取ってご覧くださいませ。