薄柿色が近いでしょうか、僅かに灰みを帯びた淡いピンクの地に、鮮やかな緑とピンクの小花で象られた斜めの格子、中にはヴィヴィッドなピンクの薔薇の花が配された華やかな袋帯「仏蘭西花束錦」です。こちらは初代龍村平蔵さんの三男として生まれ、父の下で研鑽を積んだ後、龍村らしい芸術性と共に実用性も兼ね備えた最高峰の帯を「傳匠名錦」の名で世に送り出したことで知られる、龍村晋さんの作品です。優美な薔薇、可愛らしい小鳥たち、心弾む明るい彩り…フランスのアンティークファブリックのようなロマンティックな世界を、帯という和のかたちに表現した個性的な一点、小紋から訪問着などの装いに合わせて、女性らしい上品な甘さを楽しんで頂けることと思います。