国画会で活躍なさった型絵染の大家・小島悳次郎さんの作、紬地の名古屋帯です。人間国宝・芹澤けい介さんに師事、洋の東西を問わぬ芸術文化に対する深い造詣から生まれる多彩な意匠を、独特の色彩感で表現なさった小島さん。今も多くの型絵染の作家さんが素晴らしい作品を製作なさっていますが、この方のような深く温かい個性には出会えていないように思います。こちらは絞りと型絵染めを駆使し、藍・老緑・柿茶・金茶の4色に染め分けた紬地に、楽しく遊ぶ子どもの姿 が表現されたお品。縄跳びをしたり寝そべってみたり、十字架を差し出していたり…ドワーフのようでもあり、唐子のようにも童女のようにも見える小さいひとたちが、どこか無国籍で不思議な世界を創り出しています。大胆な絞りと精緻な型による染め、対照的な二つの表現がひとところに溶け合う、小島さんらしい生命力あふれる逸品、郡上や伊兵衛・結城など糸味豊かな紬をどっしりと引き立ててくれそうですね。