朽葉色と桑染色が近いでしょうか、黄みがかった茶系の濃淡の糸を用いてプリミティブな動物文が表現された袋帯です。ジャガーと思われる動物は南米の古代文様から取ったものでしょうか、少しユーモラスにモチーフ化されたかたちはどこか有栖川文に通ずるものもあり、着物との相性も良さそうですね。ふっくらとした糸がしっかりと打ち込まれたお品ですので、風合いも柔らかくとてもしなやか。洗練された野性味が伊兵衛や本結城、郡上などどっしりとした紬に良く似合いそうです。こちらはデザイナーとして、モデルとして、また長く着物を愛してこられた方として良く知られる稲葉賀恵さんが、京都しょうざんさんとのコラボレーションで製作なさった帯。その卓越したセンスはもちろん、洋装と和装の双方を知り尽くし、素材や染織技術にも強い拘りを持つ方ならではの上質な洒落帯と思います。

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