しな布は縄文期までその歴史を遡ることができる古代布の一つ。現在では山形県や新潟県の一部で僅かに織り継がれている稀少な織物です。しなの木の硬い樹皮を長い時間と手間をかけて糸に績み織り上げる布は丈夫で水にも強く、野趣豊かで力強い布味は夏の帯地としてもとても魅力的ですね。こちらは糸本来のナチュラルな薄茶色を背景に絵絣が織り出された八寸名古屋帯。緯絣で表現されたのは竹で編まれた蛇籠でしょうか、清流を連想させる素朴なかたちが涼を誘いますね。上布や夏織物・よそ行き浴衣など幅広い着物に合わせて、夏らしい爽やかな装いをお楽しみ下さいませ。