銀座【着物2630】大彦製 繍一ッ紋訪問着 葡萄色 折々の花図

銀座【着物2630】大彦製 繍一ッ紋訪問着 葡萄色 折々の花図

友禅染めと日本刺繍を駆使した重厚な着物や帯で知られる大彦さんの訪問着です。美術品としての価値を備えた贅沢な染繍作品は、高島屋さんの上品会でも一際目を惹く中心的な存在でしたね。こちらは彦兵衛さん、真造さんに続く三代目・野口彦太郎さんの作品。こくのある葡萄色を背景に、楚々とした表情の花々がくっきりと浮かび上がっています。小菊や牡丹、撫子に菫、萩に蒲公英…柔らかな白の糊糸目に縁取られ、ふっくらと刺繍をのせた典雅な姿は息をのむような美しさですね。古典的で静謐な印象のお品ながら、豪華な着物が居並ぶ中にあっても光放つ存在になることと思います。東博所蔵のコレクションでも知られる通り、初代は江戸期の小袖の蒐集家でもありました。すっと見えない線が引かれたように、大彦さんの着物だけに備わる気品からは、やはり華麗な江戸小袖の姿が見え隠れするように感じます。今後創られることも難しいであろう稀少な名品、活躍の機会も多い穏やかな色柄です。ぜひお手に取ってご覧くださいませ。