銀座【着物2963】大彦製 訪問着 鳩羽色 梅楓文 (落款入)
銀座【着物2963】大彦製 訪問着 鳩羽色 梅楓文 (落款入)
美術品としての価値をも備えるような贅沢な染繍が施された着物や帯で知られた大彦さん。その重厚な作品は高島屋さんの上品会でも一際目を惹く中心的な存在でしたね。こちらは彦兵衛さん、真造さんに続く三代目・野口彦太郎さんのお品から、鳩羽色が近いでしょうか、灰みの強い薄紫を背景にくるりと紐で結わえた梅や楓の小枝が、友禅染めに繍いを添えてゆったりと表現された訪問着です。柔らかな白の糊糸目に縁取られ、ふっくらと立体感のある刺繍で装飾された花葉の枝が、秋冬の静かに枯れた季節の空気を見事に表現しており、独特の存在感が見る人の心に深い余韻を残すことと思います。東博所蔵のコレクションでも知られる通り、初代は江戸期の小袖の蒐集家でもありましたが、大彦さんの着物や帯は、やはり随所に華麗な江戸小袖の気配を感じますね。古典的で抑えた色調のお品ながら、豪華な着物が居並ぶ中にあっても確かな光を放つ高雅な趣きの一点。隅々まで心配られた美しい仕事を、ぜひこの機会にお手に取ってご覧くださいませ。