亜麻色の地に枯れた黒色で、シンプルな格子状の幾何絣がすっきりと配された八寸名古屋帯です。こちらは証紙等はございませんが、経糸緯糸共に稀少な手績みの苧麻糸が用いられており、国の重要無形文化財指定の技術による越後上布のお品と思われます。夏衣の最高峰と呼ばれる上布ならではの、ひんやりとした手触りがとても心地良い一点、とりわけ芯の入らない八寸は盛夏にも熱がこもらず、素材の特質が際立つ快適な締め心地をお楽しみ頂けますね。素朴な表情ながら、人の手と時間を惜しみ無く費やして丹念に織り上げられた布ならではの確かな力が宿る帯、この夏のお出かけにいかがでしょうか。