銀座【着物3245】伊兵衛織 単衣着物

銀座【着物3245】伊兵衛織 単衣着物

玉繭から引いた糸を丁寧に染めて手機で織り上げる伊兵衛織は、極太の糸を用いたふっくらとしなやかな風合いが持ち味の工芸色豊かな織物です。こちらは経糸には亜麻色や黒、錆浅葱や高麗納戸、遠州茶に葡萄茶などの様々な色を不規則に置き、緯糸には墨黒色を配した矢鱈縞。個性豊かな様々な彩りを緯糸の墨色がすっきりと繋ぎまとめ、素朴でありながら洗練を感じさせる美しい景色が生まれています。大胆な縞でありながら粋に走らず、上品な調和を感じさせる見事な手腕はこちらの工房ならではのものですね。真冬でも単衣仕立てでお召し頂けるどっしりとした風合いの布は、着る人を温かく護ってくれるような安心感、そして袖を通せば自然と背筋が伸びるような風格を備えています。格子や縞、無地…それぞれに魅力的な伊兵衛織ですが、こちらの矢鱈縞は色選びや配置が絶妙で、作り手の感性がとりわけはっきりと表れていると思います。既に閉じられた伊兵衛工房、遺された貴重なお品をぜひお手に取ってご覧くださいませ。