銀座【着物3342】浦野理一作 紬織 着物

銀座【着物3342】浦野理一作 紬織 着物

経糸には藍鼠色、緯糸には深縹や紺鼠、鉄納戸などの同系色から鮮やかな紺青、練色に葡萄色、萌葱や蘇芳、朽葉色に退紅など実に様々な彩りを織り入れて、複雑な横段模様を配した紬織の着物です。一部には緯絣や繋ぎ糸も用いられているようで、思いがけない色の組み合わせが創る変化に富んだ表情がとても印象的なお品ですね。こちらは日本各地に伝わる染織品やその技法についての深い理解を基に、ご自身の感性と妥協のない手仕事によってその一つ一つを贅沢なかたちで蘇らせた浦野理一さんの作品。この方が遺された着物や帯は、生産が終わって久しい今も多くの方に愛され続けていますが、中でも真綿から手でつむぎ出した太糸を手機でしっかりと織り上げた紬の数々は素朴な糸味に豊かな魅力があり、紬織物の原点を思わせるどっしりとして温かな存在感に心惹かれますね。糸の色や太さの不揃いさそのものを生かした景色は、僅かな余り糸も大切に繋いで機にかけた、かつての自家紬を思わせて実に味わい深く、着る方や年齢を問わず長くお楽しみ頂けることと思います。同じ浦野さんの無地の経節の帯はもちろん、個性の強い作家作品などもしっかりと受け止めてくれる力ある一点、ぜひこの機会にご覧くださいませ。