
銀座【着物3775】久呂田明功作 繍一ッ紋 縮緬地 付下げ(落款入)
銀座【着物3775】久呂田明功作 繍一ッ紋 縮緬地 付下げ(落款入)
明度をぐっと落とした深紫色が近いでしょうか。落ち着いた暗い紫色のどっしりとした縮緬地に古典的な辻ヶ花文が置かれた、クラシックな趣きの訪問着です。こちらはかつて浦野理一さんの仕事を支えたことで知られる先代からの作風を引き継ぎ、存在感豊かな着物や帯をつくり続けておられる江戸友禅作家 久呂田明功さんの作。この方の作風は風情ある江戸友禅、そして絞りを用いた優美な辻が花とに大きく二分されますが、今回は後者のお品からのご紹介です。丁寧な手仕事による柔らかな絞りの描線、亜麻色や深緑色、藍鼠系の濃淡色など渋く枯れた色遣いにはいにしえの辻ヶ花に通ずる静かな格調があり、華麗な友禅とはまた趣きを異にする凛として気品香る景色が、着る人を輝かせてくれることと思います。辻が花をモチーフとした着物や帯は数多くつくられていますが、大らかでありながらも典雅な美しさを備えた桃山期の文様独特の個性を受け継ぐお品にはなかなか出会えませんね。久呂田さんならではの迫力ある優品、ぜひお手に取ってご覧くださいませ。