
銀座【着物3871】国指定重要無形文化財 喜如嘉の芭蕉布
銀座【着物3871】国指定重要無形文化財 喜如嘉の芭蕉布
あえかに透ける薄ものが美しい季節です。とりわけ宮古上布や八重山上布、そして芭蕉布など沖縄の風土が育てた布たちは、涼感あふれる夏織物の最高峰として多くの方の憧れを集めています。中でも芭蕉布は、王族から庶民までこの地に住む全てのひとの身を守る大切な衣として守り継がれてきたもの。戦後一旦は生産が途絶えてしまった状況から、良く知られる通り平良敏子さんを中心とする方々の尽力によって見事な復興を遂げた、沖縄の宝ものですね。材料となる糸芭蕉の栽培に三年を費やし、二百本もの木から取り出した繊維を細く裂いては結んで糸をつくり、絣を括り、、機にかけるまでにも長い長い時間と手間をかけ、その後乾燥に弱く切れやすい糸を丹念に手機で織り上げることでようやく布のかたちとなる芭蕉布、その技術は国の重要無形文化財に指定されています。今回のご紹介は藍の杢糸で挟み、茶の経絣を配したほっそりとした竹の節に、眉引きの小さなモチーフを鳥のかたちに重ねた着物。芭蕉糸のナチュラルなベージュの地に落ち着いた茶と枯れた藍の色が、軽やかなリズムを感じさせる端正な景色を創り出していますね。触れればひんやりと冷たく、独特のしっかりとした張りによって身体からふわりと離れ、熱を逃がし風を呼んでくれる清々しい布、盛夏の苛烈な陽差しあってこそより輝く贅沢な一枚を、この夏こそはぜひお手元にお呼びくださいませ。