
銀座【着物3954】人間国宝 北村武資作 経錦 着物(落款入 反端付)
銀座【着物3954】人間国宝 北村武資作 経錦 着物(落款入 反端付)
西陣にて古代織物の研究を重ね、自在に操る織りの技術と独自の機によって「羅」「経錦」を復元、国の重要無形文化財保持者として活躍なさった北村武資さんの作品です。こちらはその技法の一つ、経錦によって七宝繋ぎの形に菱型の菊花を表現した着物で、2011〜12に開催された大規模な展覧会の図録にも掲載されています。やや明度を落とした湊鼠色を背景に、利休色の濃淡色による端正を極めたかたちが整然と並び、実に静謐な世界が創り上げられていますね。経錦は経糸の密度が高いため、風合いに独特のしなやかさと重みが生まれ、落ち感の良い美しい着姿を作ります。またこちらは緯糸に紬糸が用いられていますが、生糸の光沢とはまた異なる穏やかな艶感は、高い格調を備えながらも華やかになりすぎず、装いに現代的な軽やかさをも運んでくれることと思います。現代の染織界の頂点を極めた作り手が遺した稀少な名品。これまでのTPOの枠組みを超えた着こなしの広がりを提案してくれそうですね。