銀座【着物4091】人間国宝 山田貢作 染三ッ紋 色留袖(落款入)
銀座【着物4091】人間国宝 山田貢作 染三ッ紋 色留袖(落款入)
やや彩度を落とした薄花色が近いでしょうか。灰みと紫みを含んだ青系の中間色を背景に、同じ青の濃淡や亜麻色に金糸の繍いなどを添えて、たくさんの小さな花が一つになって弾けるように賑やかに咲く景色が、鳥たちとともに描かれた色留袖です。すっきりモダンにアレンジされたミズキを思わせる花の姿、生き生きと飛び交う鳥の愛らしい表情、そして清澄な彩りが軽やかな洗練を印象付けるお品ですね。こちらは友禅の人間国宝 山田貢さんの作。一般的には輪郭線に用いられる糸目糊の線そのものを主役とする、精緻を極めた作風で知られた方で、作品に用いられる数え切れぬ程の繊細な線の重なりは、糊糸目友禅の技術が到達し得た一つの頂点を示しています。「夕凪」などの代表作に見られる無数の線が象る網干の姿には息を呑むような緊張感がみなぎっていますね。今回ご紹介するお品にも、何本も重ねられた細いラインが乱れなく走る景色にその究極の技術を感じますが、花鳥を題材としているためでしょうか。直線にもどこか柔らかな趣きがあり、社交着として完成された景色にはどこか心和む穏やかな空気が流れているように思います。高度に極められた技と感性が光る人間国宝作品ならではの逸品、ぜひお手にとってご覧くださいませ。