銀座【着物4300】曽根武勇作 西陣織 訪問着(落款入)
銀座【着物4300】曽根武勇作 西陣織 訪問着(落款入)
桑染色が近いでしょうか。趣き豊かな紬糸を用いた枯れたベージュ系を背景に、肩裾には深支子色の暈しを置き、重ねて桔梗色や枯草色、柳葉色に緋色、薄群青色に素鼠色など、美しい彩りをのせた吉野織が配された訪問着です。選び抜かれたそれぞれの色が、かちりと打ち込まれた浮き織りによって凝縮され、上質な絹糸の輝くような光沢と共にすっと浮かび上がるお品。名物裂の日野間道の本歌のように繊細な揺らぎを見せる吉野織の端正な表情が、静かながら重厚な存在感を放っていますね。こちらは公家装束の製織などを一手に担ってきた西陣という産地の高度な技術を、今なお最高のかたちで守り続ける伝統工芸士・曽根武勇さんの作品。熟練の仕事を重ねて制作された織りならではの洗練と格調を備えた陰影豊かな景色に、また新たな西陣織の魅力に気付かされます。程よい改まった感を備えた贅沢な個性は、現代の着物シーンでは活躍の機会も多いことと思います。ぜひこの機会にお手に取ってご覧くださいませ。
(撮影場所:世田谷美術館)