銀座【着物4353】郡上紬 煤竹色 経絣細縞

銀座【着物4353】郡上紬 煤竹色 経絣細縞

少し離れて見たお色目は煤竹色が近いでしょうか。様々な色みが溶け込む落ち着いた茶系濃淡を仄かな段替わりに置いた地に、狐色と黒色が交互に浮かぶ経絣の細縞を配した着物です。目を凝らせば所々には綺麗な薄紫がすっと横に走っており、渋く抑えた景色にはっとするような女性らしさを添えていますね。こちらは経糸は玉繭から引いた節のある玉糸を、緯糸には選び抜いた春繭の本真綿から手でつむいだ糸を用い、草木で丹念に染め、高機で織り上げられる極上の織物、郡上紬。素朴ながら深みのある美しい色構成、そして厳寒期にも着る人をしっかりと護ってくれる優しい暖かさは、紬を愛好する方々からもとりわけ高い評価を得ています。今回のご紹介も一見シンプルながら細部まで心配られた、郡上らしい凝った色遣いの一枚。深みのある彩りが浮かんでは溶け込みゆく、静かながら力強い景色が、冬へと向かうこれからの季節に温かく映えることと思います。人間国宝 宗廣力三さんが大変な苦労を重ねて育て上げた紬の名品、着る方や年齢を選ばず、長くご愛用頂けますね。ぜひこの機会にお手に取ってご覧くださいませ。