銀座【着物4382】人間国宝 小宮康正作 江戸小紋(落款入 伊達衿付)

銀座【着物4382】人間国宝 小宮康正作 江戸小紋(落款入 伊達衿付)

紫苑色が近いでしょうか。くすんだ青みの紫系の地に、小さな小さな桜の花弁が一面に散りばめられた小桜文の江戸小紋です。伊勢型紙には縞彫りや錐彫りなど様々な技法が用いられますが、こちらは文様に合わせた形の刃物が用いられた道具彫り。無数の極小の花弁のかたちが一つ一つ刃物で切り抜かれた精緻な型が、熟練の技によってくっきりと染め上げられています。こちらは江戸小紋の世界で多大な功績を遺された小宮康助さん、康孝さんに続いて同じく国の重要無形文化財保持者としてその仕事を守り伝える小宮康正さんの作品。水面を埋める花弁、または桜吹雪を思わせる趣深い景色が、着る方の動きや光の加減で繊細に揺らめいていますね。限界に挑む型彫り、染めの職人さん双方の熟練の技術あってこその美しくも緊張感のある世界は、やはり手付けの江戸小紋ならではのもの。基本的には意匠化された桜ですので季節の縛りはなく、三役など定め小紋と比較しますと程良い柔らかみが感じられる型ですので、ちょっとしたお出かけから少し改まったお席まで、様々な場面で気軽に召し頂けることと思います。隅々まで心配られた江戸小紋の逸品、ぜひこの機会にご覧くださいませ。