
銀座【着物4427】田畑喜八作 訪問着(落款入)
銀座【着物4427】田畑喜八作 訪問着(落款入)
土器色が近いでしょうか。やや渋めにくすませた黄赤系の地に、直線や曲線を複雑に組み合わせて中縹色や乳白色の場を取り、松や梅、萩や桔梗に菊、そして紗綾形に唐草、亀甲に花菱など多彩な花木や割付文が贅沢に散りばめられた訪問着です。流麗な手描友禅に緻密な摺箔や摺疋田、精緻な繍いなど様々な技法を使い分けて、典雅を極めた美しい世界が表現されたお品。安土桃山期の名品「綸子地垣に桜紫陽花文様打掛」に取材したものでしょうか。構成や表現など随所に当時の小袖の特徴や技法との共通性を感じさせる、京友禅の大作です。こちらは友禅の人間国宝 三代田畑喜八さんで知られる名門 田畑家の五代 田畑喜八さんの作品。田畑家といえば茶屋辻という印象がございますが、こちらはその繊細優美な筆力や濃淡細やかな藍のあしらいが、華麗な小袖の美の再現に注がれていますね。細部まで入念に心配られた端正な景色が、着る方を気品豊かに引き立ててくれる社交着の逸品、洗練が香る極上の装いを、どうぞお楽しみくださいませ。
(撮影場所:世田谷美術館)