
銀座【着物4515】国指定重要無形文化財 越後上布 鉄色 井桁に牡丹模様
銀座【着物4515】国指定重要無形文化財 越後上布 鉄色 井桁に牡丹模様
国の重要無形文化財に指定される染織品は、どれも熟練の手技と気が遠くなるような時間を費やした貴重なお品ばかり。とりわけ素材である植物を育て、その繊維を糸にするまでの工程から難儀な作業が続く宮古上布、芭蕉布、そして越後上布は、その清浄な美しさのみならず、湿度の高い日本の夏を快適に過ごすための布としても類い稀な特質を備えていますね。こちらは鉄色が近いでしょうか。緑がかった穏やかな青の地に、苧麻糸の透明感そのままの白糸や鮮やかな山吹色を効かせて、幾何文や絵絣の花文が一面に表現された越後上布の着物です。証紙等は付いておりませんが、コラム「越後の産地を訪ねて その2」https://www.kimono-aoki.jp/topic/2025/05/topic-64256 でも触れましたように、産地にて確認しました数点の上布の中の一点。その際に伺ったお話によれば、着物雑誌の特別企画として制作され、当時大変な人気を得たお品で「井桁に牡丹模様」と銘されたものとのことでした。糸づくりにほぼ1年、機屋さんに手績みの糸が入ってからも、更に一年ほどの時間が費やされ、大変な根気を要する厳しい仕事を重ねてようやく布のかたちとなる越後上布。夏でもひんやりとした肌触り、風を纏うかのようなふわりとした心地よい張り、本物の越後上布ならではの極上の着心地をお楽しみくださいませ。1992年頃の制作だそうですが、時を経て職人さんの高齢化も進む今、このように凝った絣柄はますますご紹介の機会も難しくなってきています。ぜひこの機会にご覧くださいませ。