銀座【着物4629】大彦製 繍三ッ紋 色留袖(落款入)
銀座【着物4629】大彦製 繍三ッ紋 色留袖(落款入)
鉄紺色が近いでしょうか。深々とした暗く濃い青を背景に、様々な帆船が浮かぶ波立つ海を挟んで、城が聳える島や天幕に兵士や楽団などそれぞれ仕事に勤しむ人々の姿が生き生きと表現された色留袖です。城塞都市を俯瞰しているような景色は中世の絵画に基づくものでしょうか。繊細な筆と多彩な繍いを駆使して、時空を超えた遠い異国の世界を鮮やかに表現していますね。こちらは染繍の最高峰の技術を用いて重厚な着物や帯を制作なさった江戸友禅の名門 大彦さん、贅を尽くしたその作品たちは美術品としての価値をも備えることで良く知られています。今回のご紹介は彦兵衛さん、真造さんに続く三代目・野口彦太郎さんのお品。大彦さんの作品は古典的なものから西欧の趣きを大胆に取り入れたものまで、実に多様なモチーフが用いられていますが、こちらは独特の絵画的な表現が斬新な一点。小袖の美を忠実に再現したものとはまた趣きが異なりますが、異空間に入り込んでしまったかのような個性的な景色が、ホテルなど広い洋の空間ではとりわけ印象的に映るであろう、大彦さんらしいモダンな逸品ですね。色留袖のかたちですが洒落の繍三ッ紋ですので着用の機会も広くお楽しみいただけることと思います。ぜひお手に取ってご覧くださいませ。




