【着物4644】大彦製 染三ツ紋 色留袖(落款入)
【着物4644】大彦製 染三ツ紋 色留袖(落款入)
染繍の最高峰の技術を用いて重厚な着物や帯を制作なさった江戸友禅の名門 大彦さん、贅を尽くしたその作品たちは美術品としての価値をも備えることで良く知られています。今回のご紹介は彦兵衛さん、真造さんに続く三代目・野口彦太郎さんのお品から、雅な平安絵巻の風景が繊細な筆に精緻な繍いを添えて表現された染三ッ紋の色留袖です。爽やかな空色の地に鳶色や草色などを用いて、緑豊かな山懐に幔幕を広げ、青々とした松、色とりどりの楓、満開の梅など折々の花木と共に、遊山に興じる馬上の貴族、牛車から顔を覗かせる女君たちの姿が屏風絵のような広がりで生き生きと描かれています。先回ご覧いただきました大彦さんの作品では、中世の西欧の風景が緻密に大胆に表現されていましたが、こちらはまさに対照的とも言える、正統派古典の典雅な美しさが香り立つ一点。よどみなく流れる糸目に寄り添う艶やかな練い、晴れやかで華のある上品な色遣いに高い格調が光る、大彦さんらしい見事なお仕事の逸品です。ぜひお手に取ってご覧くださいませ。




