街にとけ込む、格子の着物
まっすぐのラインが縦横に交わる格子は、世界中何処でも出会うかたち。ごく自然に私たちの目に入ってきます。シャツやスカート、ハンカチーフ、テーブルクロス…チェックという名前で子供の頃からいつも身近にありました。そもそも布の組織が格子で出来ているわけですから、きっと遙か大昔から人々は格子を楽しんできたのでしょうね。どなたにも親しみ深い格子は現代の街にすんなりと溶け込みますので、洋服の中にあっても気負い無くお召し頂けます。また帯を選びませんので着物初心者の方にもおすすめです。秋に向けて、お気に入りの格子を探してみませんか。
優しい格子、元気な格子、大格子、微塵格子、
シンプルな格子も色や大きさでこんなに表情豊かです。
着物と帯の組み合わせ、あれこれ。
軽やかなチェックの着物なら、街にも人にもすっとなじみます。
穏やかなベージュ系の地色をターコイズや蘇芳色がきゅっと引き締め、洒落味を効かせた一枚。
合わせる帯は、ぴょんぴょんと飛び出した髭が楽しい髭紬地に楚々としたイヌタデの図。季節感豊かなひと組です。
綾織りの光沢感ある黄八丈は格子の中でも華やか系。しゃっきり背筋の伸びる一枚ですね。
さやから小さな豆がこぼれる様子が丹念に描かれた、温かみのある染め帯を載せました。
格子の着物は帯の背景としても優秀です。
あれこれ載せて楽しんでみましょうか。
選りすぐりの素材を生かすのは 拘りの色とすっきりとした格子。
葡萄茶色と白橡色のやや小さめの格子文。ざざんざならではの布味が確かな存在感を見せてくれます。
美しい鉄御納戸色を効かせたざざんざ織。モダンな表情が光ります。
お顔映りの良い高麗納戸色、シンプルな格子がざざんざ織の質感を際立たせます。
良く似た色遣いの格子でも、一本の細い赤が入ることでがらりとイメージが変わります。
柔らかな黄色を淡い茶鼠が程良く抑える清々しい格子の伊那紬。
澄んだ藍の美しいグラデーションが見事な伊那紬の単衣。
紅花やくちなしなどの淡彩に薄藍を効かせた新田工房さんの紅花紬「太子間道」
選び抜かれた糸を用いる各産地の美しい織り。ざざんざ織、信州紬、紅花紬…ご紹介はしておりませんが郡上紬や丹波布などなど、格子が印象的な紬たちは、草木から得た深い彩りも作り手の拘りの一つ。格子文の魅力である多様な色の調和を、贅沢に楽しんで頂けます。
今回一部ご紹介してみましたが、まだまだ きもの青木 には素敵な格子がたくさん眠っています。どうぞあなたの感覚にぴたりと寄り添う格子文を探してみて下さいね。
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