きものコーディネート講座vol.2:春を運ぶ朗らかな装いを
立春を迎え、少しずつ陽差しも明るくなってきます。梅や水仙も咲き始めて、季節が春に向けて一歩一歩進んでいることを実感しますね。きもの青木の商品も春いろ一色になってきました。
あれこれ勉強中の新入社員達から相談を受けながら、今回は春らしさを楽しむ装いをご案内してまいりたいと思います。
あれこれ勉強中の新入社員達から相談を受けながら、今回は春らしさを楽しむ装いをご案内してまいりたいと思います。
「春の季節柄には、具体的にどんなものがあるのでしょうか?」
「1月〜4月にかけて梅や水仙、菜の花、木蓮、桃、レンゲ、土筆、ミモザ、チューリップ、そして桜など、様々な花が順々に咲きはじめますよね。このような春に咲く花々や蝶、そして桃の節句柄などが代表的です。ただ、春に咲く花と一口に言ってもそれぞれに花期は違いますから着物のお洒落は花期よりもひと足早め、できれば着用は『咲ききってしまう前まで』と覚えておいてください。そうは言っても南北に長い日本、場所によって季節の訪れにも幅がありますから、そんなに神経質にならなくても大丈夫ですよ。」
「桜の着物や帯に憧れますが、選ぶ時に気をつけることは?」
「日本人が大好きな桜、写実的に描かれたものから大胆にモチーフ化されたものまで表現も幅広いですね。花期の短い桜ですが、満開の花枝・花吹雪・花弁だけのものなど、これほど様々な描写がなされる題材も珍しいのではないかと思います。桜の柄については拘る方が多いだけに意見の分かれるところですが、満開の頃ならば、写実的な描写のものは花吹雪や花弁だけの画を選ぶなど、少しだけ時期を先取り。モチーフ化された柄行きでしたら、あまり季節を気にせずにお使い頂いて良いのではと思いますよ。」
「着用の季節が限られる柄行きの着物や帯は、初心者にはちょっと難しいような気がしますが・・・?」
「皆さん、着るときを逃してしまうのでは?という心配をなさるようですね。でも季節柄は初心者の方にこそおすすめしたいと思います。気に入った柄行きでしたらその季節が待ち遠しく楽しみになりますし、一年に一度は表に出してあげなくちゃ!と頑張りたくなるもの。きっと着物を着る機会が増えると思いますよ!」
「季節感のない無難な着物と帯しか持ち合わせていないのですが・・・」
「小物使いだけでも随分と印象が変わりますよ。挿し色としてはシャーベットトーンを取り入れてみてはいかがでしょうか。清々しい黄色、オフホワイト、淡いピンク、優しい黄緑系などの彩りは色そのものが春を感じさせますね。また、春花の柄が入った帯揚げや半衿などでも春らしさを楽しめますし、振りからちょっと見える襦袢に春色をしのばせてみるのも、楽しいですね。」
「可愛らしくなってしまう春色や柄行きに少し抵抗があるのですが・・・」
「お洋服の場合、シックで大人っぽい装いが好きな方には、春らしいカラーや柄行きが苦手の方も多いですよね。でも和装ではそれが当てはまらないから不思議なところ。面積の少ない帯締めや帯揚げ、帯留めなどワンポイントに春を取り入れるだけでもさりげない季節のお洒落が楽しめますし、桜の柄ひとつとってもさまざまな手法により趣が全く異なりますので、お好みに合う意匠が必ず見つかると思います。お好きな作家さんの作品から探し出してみる、というのも楽しいのではないでしょうか。」
「普段は着物を着ない方でも、春の行事では着物を着たいのですが・・・と、よくお客様から相談を受けるのですが・・・」
「そうですね。特にお問い合わせが多いのはお子様の卒入学式などでしょうか。
まず卒業式では〈感謝〉の意も含まれている為、華やか過ぎる装いは控えた方がよいですね。落ち着いた色味の色無地や江戸小紋に袋帯を合わせた装いなどが、礼を尽くした母の装いとして好ましいのではないでしょうか。出来れば紋付きがおすすめですが、今はさほど気になさらなくてよろしいのではと思います。
入学式に関しては春らしい色味の色無地や江戸小紋、春の柄行きが穏やかに描かれた付下げなどがおすすめです。あくまで主役はお子様ですので、豪華な訪問着などはお避けになられた方が安心です。」
「ただ、地域や学校の校風などによっても傾向が異なりますので、周りの方がどのような装いをされるのか、少し様子をリサーチなさってからお考えになると良いかと思いますよ。また、お祝いのパーティーなど晴れやかな場面では、春らしい季節柄の訪問着で華やいだ装いを存分に楽しんでいただきたいですね。」
まず卒業式では〈感謝〉の意も含まれている為、華やか過ぎる装いは控えた方がよいですね。落ち着いた色味の色無地や江戸小紋に袋帯を合わせた装いなどが、礼を尽くした母の装いとして好ましいのではないでしょうか。出来れば紋付きがおすすめですが、今はさほど気になさらなくてよろしいのではと思います。
入学式に関しては春らしい色味の色無地や江戸小紋、春の柄行きが穏やかに描かれた付下げなどがおすすめです。あくまで主役はお子様ですので、豪華な訪問着などはお避けになられた方が安心です。」
「ただ、地域や学校の校風などによっても傾向が異なりますので、周りの方がどのような装いをされるのか、少し様子をリサーチなさってからお考えになると良いかと思いますよ。また、お祝いのパーティーなど晴れやかな場面では、春らしい季節柄の訪問着で華やいだ装いを存分に楽しんでいただきたいですね。」
具体的なコーディネートをご紹介いたします
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シンプルな着物には春帯で変化を楽しんで。
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#01 優しく可愛らしい春:
桜花と花弁のみを控えめに散らした染め帯です。綺麗な苗色もまさに春を告げるお色目、着物の落ち着いた色味を優しく引き立てています。どんな着物も春衣に変えてしまう、そんな素敵な力を感じさせる一点ですね。 -
#02 はんなりとした春:
絞りで象られた大ぶりの桜一輪がお太鼓を飾る個性的な染め帯です。黒と白にほっそりと赤を効かせた、はんなりとして女性らしい趣きのお品。小物で花の色を添えて、心に残る春の装いです。 -
#03 華やかな春:
落ち着いた色遣いながら、デザイン性の高い華のある帯ですね。枝や葉は地色に溶け込ませ、大ぶりの桜花がより強調されています。こちらでは濃い色の帯締めでシックに引き締めていますが、明るいお色目を使って頂くとまたすっと趣きが変わって新鮮ですよ。
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落ち着いた大人の春らしさをとり入れて。
#01 空木さんの穏やかな春:
高久空木さんの塩瀬地の染め帯です。優しい風に乗ってふわりと舞い降りた蝶の姿に穏やかな春を感じさせますね。シンプルながら滲みが美しい色彩と完成度の高い構図が作家作品ならではの存在感を見せてくれます。蝶のモチーフならば早春から晩春まで長くお使い頂けますね。#02 風情豊かな大人の春:
力強い水の流れにはらりと散った桜花が浮かぶ染め帯です。鮮やかなグリーンの帯締めを合わせて春らしく瑞々しい表情を。装いを凛と引き締める黒地の帯は、淡色から中間色の着物ならどのような地色も綺麗に調和します。散りゆく桜の花ならば、比較的長くお楽しみ頂けますね。#03 清々しい春:
名物裂の笹蔓文は特に季節の縛りの無い格調高い意匠ですが、淡い彩りが清々しい印象です。淡彩の着物や春色の小物を合わせれば春らしく、焦茶など濃地の着物に載せれば秋のイメージの装いに。着物や帯揚げ・帯締めで季節感も自在です。
春いろのグラデーションが美しい帯締めや帯揚げを合わせて、やさしい春の表情が楽しめます。
いかがでしたでしょうか。今回の春の装い講座は、この辺りで。
最後に、きもの青木がオススメする春のアイテムを少しご紹介致します。
最後に、きもの青木がオススメする春のアイテムを少しご紹介致します。
春にオススメのコレクション
桜や梅など、季節花の帯
入学式や卒業式の列席にふさわしい着物と帯
春の宴にふさわしい訪問着など
皆さまも、春を運ぶ朗らかな装いで、楽しい着物ライフを過ごされますように。
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