名前を持った紬 — 丹精をこらした逸品 vol.08

今回は〈紬〉を取り上げてみたいと思います。養蚕の際には、二頭の蚕によって一つの繭がつくられた「玉繭」や、穴ができていたり汚れが付いている「屑繭」など、商品にならない繭が必ず一定数生じます。機械による工程に適さないこのような繭は、農家が自家用に座繰りの玉糸や真綿紬糸の原料として利用していました。糸に負担のかからない手作業で引き出すがために、玉繭から生まれる玉糸も真綿から生まれる真綿紬糸もたっぷりと空気を含み、その糸を用いた織物は丈夫で着心地良い着物として愛されてきました。
紬織物が盛んな地は、かつては養蚕業の産地であったことが殆どです。全国に散らばっていた自家製の無名の紬が洗練され、とりわけ評判の高かった品が人々から求められ、淘汰され…そして今、私たちが手に取る上質な紬はみな、名前を持っています。いまや特別な憧れと共にその名を呼ばれる紬、今回はそんな素敵な織りの着物に注目してみました。

現代の紬は、糸遣いもいろいろ

養蚕農家の方が自家用に織った布を原点とする紬。当時は糸取りから染め、織りにいたる全てがその家の女性の手作業であったと思われますが、現代の紬織物はその工程を部分的に簡略にしています。例外的に昔ながらの工程を踏襲、一切の動力を使わずに手でつむぎ ぎだした「真綿手紬糸」を経緯に用い、原始的な地機で製織する本場結城紬は、その技術が国の重要無形文化財に指定されていますね。 作家作品など一部の特殊な紬を除き、他産地が用いるのは良く似た呼称の「真綿手紡糸」。糸車などの道具や一部に電動の器具を用いることで作業効率を上げ、また製織もより生産性の高い高機によるものが殆どとなっています。 例えば伝統的工芸品の指定要件も、使用する糸については生糸・玉糸・真綿のつむぎ糸から選ぶ等、同じ産地のものでも幅があります が、代表的な紬は主に下記のような糸を用いています。
  • 本場結城紬・・・器械を使わず、撚りをかけずに手で引き出した「真綿手紬糸」を経緯に用いる。
  • 郡上紬・・・経糸には玉繭から引いた玉糸、緯糸には品質の高い春繭の真綿手つむぎ糸を用いる。
  • 塩沢紬・・・経糸に生糸や玉糸を用い、緯糸に真綿の手つむぎ糸を用いる。
  • 小千谷紬・・・経糸には玉糸または真綿の手つむぎ糸、緯糸に真綿の手つむぎ糸を用いる。
  • 信州紬・・・経糸には生糸 (山繭糸を含む)・玉糸または真綿の手つむぎ糸、
  •                緯糸には玉糸または真綿の手つむぎ糸を用いる。
  • 牛首紬・・・経糸には生糸・緯糸にはのべ引き (座繰り)で引いた玉糸を用いる。
  • 黄八丈・・・経緯の糸に生糸を用いる。(例外的に玉糸や真綿つむぎ糸も用いる)
  • 大島紬・・・経緯の糸に生糸を用いる。

指定要件とされている「真綿の手つむぎ糸」は基本的には「真綿手紡糸」ですので、「本場結城紬」の糸がいかに特殊で贅沢なものか、がはっきりとおわかり頂けるかと思います。 牛首紬や黄八丈、大島紬などは正確には「紬糸」を用いていませんが、かつては紬糸を用いた歴史がある場合や、先染めの織物である等々の理由から広義に解釈して「紬織」に入れられています。

きもの青木がおすすめしたい 紬

[ 本場結城紬 ] 産地:茨城県結城市・栃木県小山市を中心とする地域

殆ど撚りをかけずに真綿から引き出した糸を糊の力で地機にかけ、糸に負担を掛けずに織り上げられる本場結城紬。 機から下ろして糊を抜けば真綿そのもののふっくらとした柔らかさを取り戻します。長く着込み、洗い張りを重ねることで経緯の真綿の毛羽が絡まり合い、良く言われるように「真綿に戻ってゆく」そんな素晴らしい風合いをお楽しみ頂けます。

国指定重要無形文化財の要件としては「真綿手紬糸を用いる」「手括りによる絣」「地機による製織」が指定されています。

現在本場結城紬の地機の証紙が添付されているお品で、濃地に淡色の絣の場合には上記3つの要件全てが含まれますが、淡地に濃色の絣の場合には「手括り」のかわりに「直接染色」(捺染等)の技術が用いられています。厳密に言うならば要件の1つが外れることとなりますが、人気の高い淡色地の絣を手括りで作るのは、手間や技術・価格面でも現実的ではありません。作り手の方に伺えば、手括りも捺染も非常に神経を使う作業であることは同じ。絣模様でなければ、縞や無地も要件を満たす訳ですから、諸事情から本結城の産地が証紙から「重要無形文化財」の表示を外した件については、いろいろ考えさせられてしまいます。
着回しの良い無地や、帯合わせがし易いすっきりとした飛び柄が主流となっている現在の本場結城紬、最近では総柄のお品は目にすることが少なくなってきました。作り手さんのお話でも手の掛かる総柄は今後殆ど生産ができないとのことです。きもの青木では、総柄の100亀甲など昔ながらのどっしりと風格のある本結城のご紹介にも力を入れています。選りすぐりの色柄は、きっと歳を重ねる毎に愛着の増す一枚になることと思います。お目にとまりましたら、ぜひお手に取ってご覧くださいませ。

[ 郡上紬 ] 産地:岐阜県郡上市

経糸は玉繭から引いた節のある玉糸を、緯糸には選び抜いた春繭の本真綿から手でつむいだ糸を用い、草木で丹念に染め、高機で織り上げる郡上紬。かつては自家用の織物とされていたその土地の織りをもとに、紬織の人間国宝・故 宗廣力三さんが、様々な試行錯誤、大変な苦労を重ねて育て上げた贅沢な紬です。
「自家用」であった紬の原点を見据え、一見素朴ながらこの上なく丁寧な仕事が積み重ねられた布。美しい彩りのグラデーションを生かした縞や格子・横段の景色は、無作為のようにみえて綿密な色の計算によって生み出されています。着物を広げれば毛羽がぱちぱちと小さな音を立てる、真綿独特の軽くふくよかな質感。陽の光を受けた途端に輝きはじめる、澄んだ彩りの競演。厳寒期にこそ力を発揮する、たっぷりと空気を含んだ糸の暖かさ。一つ一つの工程にしっかりと手を掛けられたお品ならではの確かなちからが、着る人の心を満たしてくれることと思います。 郡上紬は、人間国宝作家としての宗廣力三さんご本人としての作品とはまた別個の素晴らしい業績です。こちらの工房でも近年生産が激減しているとのこと、寂しさが募るこの頃です。

[ 浦野理一さんの紬 ]

日本各地の伝統的な染織技法やその歴史についての深い理解をもとに、吟味された素材と妥協のない仕事によって、その一つ一つを最高のかたちで再現なさった染織家・浦野理一さん。その美意識と共に工房を引き継いだ範雄さんも既に制作を終えて久しいですが、衣装担当として親交が深かった小津安二郎さんの映画と共に、今も色褪せぬ魅力で多くの方を魅了していますね。
紅型や藍の型染め・辻が花や小袖など染めの作品の数々も大変素晴らしいものですが、やはり瓢箪糸と呼ばれる大きな節のある手引きの真綿糸を経糸にも用いる経節紬の着物や帯は、個人的にもとても印象深い作品。何十年も前にミセスの誌面や多くの書籍で何度も眺めた品々は、今手に取ってみてもとても新鮮です。きもの青木でも長い間数多くの品々をご紹介してまいりましたが、どれもみな手放し難い魅力に悩まされました。 浦野さんの紬は、無地であったり縞・格子や絣、先染めのもの後染めのものなど様々ですが、例えば本来の素材は木綿であったり生糸であったりしたものを真綿糸でより美しく表現されたものも見かけます。浦野さんの一貫した持論は「心のこもった良いもの、はやりすたりのないものを作る」とのこと。平易な言葉のようですが、誰よりも厳しいご自身の眼に適うものづくりで、この論を通す難しさはいかほどかと思いますが、年月を経て、その意思が確かに実現されていることに驚かされますね。年を追う毎に、浦野さんの紬をご紹介する機会も少なくなってまいりましたが、状態の良いお品を選んでおります。これはという出会いがございましたら、ぜひ長いお付き合いをお楽しみ下さいませ。

[ ざざんざ織 / 伊兵衛織 ] 産地:静岡県浜松市

静岡県浜松市の工房・あかね屋さんで製織されている「ざざんざ織」は、柳宗悦の民藝運動に共鳴した平松實さんの創作に始まる工芸色豊かな絹織物です。一般的な紬織用の糸の4倍程の太さに撚り合わせた極太の玉糸を草木で染め、手機で織り上げる布は、どっしりとして厚手ながらしなやかで嵩張らず、また皺になり難い独特の布味は袷時期にも単衣仕立てで充分暖かくお召し頂ける、頼り甲斐のある着物です。
ルーツを同じくする浜松市の旧家・高林家で織られる「伊兵衛織」も用の美と共にモダンな洗練を併せ持つ個性豊かな織物で、多くの方に愛されてきましたが、作り手の求める国産の玉糸の供給が途絶えたことから先年その歴史に幕を下ろしました。 玉繭は全ての繭の総数の2~3%の割合と言われており、また現在、国産の繭の生産量は1%弱。99%以上が輸入に頼っています。この数字を見るだけでも、国産の玉繭から引いた玉糸を用いることがどれほど困難であったかが良くわかりますね。
玉繭からの繰糸は自動化が難しく、例えば加藤改石さんの牛首紬の「のべ引き」による糸も、芝崎重一さんがお使いの赤城の「座繰り」による糸も、一度に60~70個ほどの繭を熟練の技術によって一気に引き出したもの。ほとんど撚りを掛けずにたっぷりと空気を含んだ糸を使用しています。ざざんざ織や伊兵衛織も同様に、熟練の技術で糸に負担を掛けず、ゆっくりと引いた糸を用いることで、このようなふくよかで贅沢な着心地が生まれているのですね。 仕立て後にほんの僅か残されていた伊兵衛織の余り布を取り出してみれば、その端からは極太の甘撚りの艶やかな糸端が沢山出ています。一般的な紬の4倍といえば、経糸緯糸それぞれ大変な本数の玉糸がふんわりと寄り添ったもの。風合いはもちろんのこと糸そのものの光沢も見事です。無地であったり、縞や格子であったり…選び抜かれたお色で構成された景色はとてもシンプル。普段のお出かけに気軽にお召し頂けるカジュアルさを備えながらも、真摯な仕事が重ねられたお品ならではの迫力が、着手に心地良い緊張感を与えてくれますね。
こうして眺めてみますと、同じ絹であっても「糸」というものの在り方がいかに重要であるかをしみじみと実感いたします。 時間をかけて繭から引き出した貴重な糸、そして手間を惜しまぬ誠実な仕事から生まれた「名前を持った紬」。長いときを共に過ごしたいと思う特別な一枚に、ぜひ巡り会って頂きたく思います。
きもの青木 で扱っている紬(セレクション)の品々は、こちらからご覧いただけます。

※2018年11月発行
※当サイト内の文章、画像等の内容の無断転載、及び複製等の行為は固くお断りいたします。

今日は着物で。 vol.1 江戸小紋を着る日

京都や銀座など有名どころのみならず、地方の古い町や秘境まで海外からの来訪者が増え、すっかり国際色豊かになった近年の日本。街を歩けば様々な言語が賑やかに飛び交っていますね。2020年には東京オリンピックという大きなイベントを控えていることから、和文化の見直しが各方面で一層盛んになっています。「和」が注目される今、これを機に着物を楽しんでみたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
こちらのコラムでは、現代で着物をお召しになるいろいろな場面を想定しながら、きもの青木がおすすめする「おもてなし」や「およばれ」に相応しい装いをご紹介したいと思います。

初回は〈江戸小紋〉を取り上げてみたいと思います。
着回しの良さではピカイチの優等生とも言える江戸小紋。その由来は江戸時代、全国から江戸に集まる諸大名が、各藩から着用を定められた裃に染められた柄と伝えられていますね。遠目からは一見無地のように見えますが、近くに寄ってようやく目で捉えられるような精緻な柄は、奢侈(贅沢)禁止令で抑圧された武士や町人たちの洒落心が求め育てたもの。

※画像はWikipedia 東海道五十三次 (浮世絵)より引用

型紙を彫り、それを染め上げる職人の高度な技術はこの時代にとどまるところなく進化し、洗練されました。
武士の正装の流れを汲む〈定め小紋〉柄の江戸小紋は、紋の有無や帯合わせ次第ではとても格の高い装いとなります。また町人の遊び心が光る〈いわれ小紋〉柄は楽しい街着に最適です。

大切なのは柄のもつ意味。 まずは江戸小紋の柄の基礎知識をきちんと把握しておきましょう。

 

小紋三役:

小紋三役とは各藩でのみ使用を限られていた「定め小紋」柄から選ばれた三つの柄。同じ鮫や行儀・通しでも「極」とつくものはより細かい型紙が用いられており、格上となります。紋を入れれば略礼装としても着用できますので、おもてなしやおよばれの場面では大変重宝しますね。

行儀
(仙台藩伊達家)

斜め45度の角度で整然と並ぶ点の柄。お辞儀の角度とも例えられ、行儀正しい秩序や礼を尽くす、
という意を含む。

角通し
(信濃戸田家)

縦横垂直に規則正しく並ぶ点の柄。縦にも横にもまっすぐ筋を通す、という意を含む。


(紀州徳川藩)

小さな点が扇状に並び、鱗のように重なった柄。鮫皮のように堅い鎧に例えられ、魔除けや厄除けといった意を含む。

 

小紋五役:

小紋三役に下記二柄を合わせ、五役とされます。
こちらも紋を入れれば略礼装としてお召しいただけます。

大小霰

もとは薩摩島津藩の定め柄。
空から落ちて弾け跳ぶ霰のように、勢いづけの意を含む。

万筋

極細の縞が垂直に走る柄。
まっすぐ筋を通す、という
意を含む。

 

三役・五役といった裃由来の「定め小紋」とは異なり、小紋柄は「いわれ小紋」と呼ばれています。その柄の種類は数千にものぼるそうで、生活用品や野菜、動物、自然、吉祥模様など、あらゆる事物がモチーフの素材に使われています。

小さな点の連なりから生まれる柄には、子孫繁栄や無病息災などさまざまな願い事や判じ物が隠されています。ひとつひとつの柄を読み解くことから周りの方との素敵な「会話」が始まりそうですね。ウィットに富んだ江戸庶民の洒落を感じさせる装いで、心豊かな楽しい時間をお過ごしいただける事と思います。

 

一見シンプルな極小の柄にも、いろいろな意味がある事が分かると、選ぶときにも楽しさが広がりますね。
続きまして、様々な場面に相応しい江戸小紋のコーディネートをご紹介してみたいと思います。

 

 

scene1: お茶席での江戸小紋

紋付色無地を基本とするお茶席ですが、江戸小紋の凜として端正な景色もお茶席には美しく映えるもの。無地のように見えつつも、極細かな柄のどこか揺らめくような表情が魅力的ですね。格高の織名古屋帯や金銀糸が控えめな袋帯などを合わせれば、格調高くどなたからも好感度の高い落ち着いた装いの完成です。そろそろ和のお稽古を始めてみたいとお考えの方、最初の一枚は江戸小紋になさってみてはいかがでしょうか。


ピンクベージュの穏やかな〈行儀〉に優しい色合いで織り出された格子を合わせてモダンな印象に。

着物C-1331     帯K-4967


濃色の〈鮫〉には源氏香の名古屋帯。着物と相性の良いモダンな色遣いの帯を合わせて、すっきりとした上品な印象に。

着物C-1305     帯K-4913


三役〈角通し〉に格調高い天平鳥襷文に間道を重ねた袋帯。凛として落ち着いた装いがお席に清々しさを運びます。

着物C-1393     帯L-3737


女性らしい淡いピンク色の〈万筋〉に、濃色の帯や寒色の小物を合わせれば、甘さを程良く抑えた優美な印象に。

着物C-1104     帯K-4221

 

scene2: お食事会での江戸小紋

気心の知れたお友だちとのランチ会でも、ちょっと贅沢なディナーでも、江戸小紋でしたら帯合わせだけで気軽にTPOを調整できます。カジュアルな会でしたら季節の染め帯を、盛装が必要な場面でしたらフォーマル性の高い帯も合わせられるのが江戸小紋の強みですね。またホームパーティでも、ちょっと頑張って着物でお迎えすれば特別感がぐんとアップ!紬では華やかさにちょっと欠ける…付下げや訪問着では仰々しい…。そんな時は、一歩控えた感を備えつつも格調ある江戸小紋スタイルが活躍してくれますよ。

 


籠目のように広がる〈笹竹文〉が華やかな江戸小紋。透明感のある帯を合わせて柔和な印象に。

着物C-1373     帯K-5210


明るい彩の〈角通し〉にはエレガントで気品のある織名古屋帯。お部屋がパッと華やぎますね。

着物C-1387     帯K-5297


灰味を含んだ水色の〈福良雀〉には西陣の名門機屋の織名古屋帯を。袋帯に準ずる格高の帯合わせですから少し気の張る場面でも安心です。

着物C-1400     帯L-3763


黒色の〈角通し〉には一歩控えた有職文の帯。寒色系の小物を効かせて都会的な装いを。

着物C-1388     帯K-5308

 

scene3: アテンド時の江戸小紋

たとえば、海外からの客人を寺社仏閣などへご案内する時に、和装であれば建物やお庭などとの調和は格段に美しく、きっと喜ばれることと思います。素材や織りについての説明を外国語に置き換え、理解していただくのはなかなか労を要しますが、色や柄の話題でしたらぐんとハードルが下がりますね。帯合わせも花鳥風月を題材とした染め帯などを選べば、江戸小紋の興味深い背景と共に日本の四季の感覚など、和の文化に寄り添った着物の魅力をお伝えることができると思います。

海外の多くの方にとっては、日本のイメージは映画や本・アニメーションなどからつくられたものと思いますが、今に生きる着物を通して見る和の世界が、日本への関心をより深めるきっかけとなりましたら、とても素敵ですね。


可愛らしい〈梅鉢〉の江戸小紋。植物のモチーフが大らかに織り込まれた袋帯を。ふくよかな織りの表情と相まって生まれる穏やかな華を楽しんで。

着物C-1398     帯L-3758


こちらも〈梅鉢〉の江戸小紋。仄かな紫みがエレガントなお色には、重厚感のある名物裂の織名古屋を合わせて格調高く華のある装いに。

着物C-1399     帯K-3762


極細で〈よろけ縞〉を表現した美しい江戸小紋。法隆寺伝来の太子間道の帯を合わせて、歴史を語る糸口となる装いを。

着物C-1406     帯K-5343


スーツ感覚で着られる墨色の〈万筋〉には、日本画をそのまま映したような染め帯を合わせて風流な趣に。

着物C-1222     帯K-4638

 

最後に、きもの青木が扱う江戸小紋についてご紹介いたします。
きもの青木では大きく別けて〈機械染めのお品〉と〈手作業による染めのお品〉、2つの種類を扱っています。

〈機械染めのお品〉は
反物からお仕立てをした新品未使用品が大半を占めます。現在は数としては〈機械染め〉がメインとなっておりますが、現代の女性の標準サイズに沿った仕立てによるお品は状態も良く、お稽古着としても街着としても安心してお召しいただけますね。大変お手頃な価格でご紹介させていただいております。

〈手作業によるお品〉は、
昔ながらの手彫りの伊勢型紙を用いて1反の長さに繰り返し型付けをした上で、引き染めやしごきによって地染めしたもの。伝統工芸士さんや人間国宝の熟練の技術によって染め上げられた逸品をご紹介しています。リユースならではの手の届きやすい価格となっておりますので、こちらもぜひご覧くださいませ。

 

現代の暮らしに寄り添う江戸小紋の装い、いかがでしたでしょうか。
時を越えて尚も親しまれる江戸小紋の魅力を、感じていただけましたら幸いです。
きもの青木 の江戸小紋商品一覧は、コチラでご参照くださいませ。

※2018年8月発行
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きものコーディネート講座vol.3:この夏は「ゆかた」の一歩先を目指して。

着物歴の浅い私、きもの青木に入社して初めての夏を迎えます。
この夏こそは、花火大会やお祭りだけではなくて、もっとゆかたで色々なところへのお出掛けを楽しみたいな、みんなよりちょっと小粋に着こなしたいな、と今から心踊らせています。
でも、ゆかたにもいろいろとルールがあるのかしら・・・?
そこで今回は、着物上級者の大先輩から手ほどきを受けながら、
きもの青木がおススメする〈ゆかた〉の一歩先の着こなしをご案内していきたいと思います。

「よく使われる"浴衣"という字はそもそも当て字で、湯帷子(ゆかたびら)の略語なんですね。元来は文字の如く、湯上がりにまとう〈くつろぎ着〉でした。ですから吸水性の良い綿素材が基本で、夕方以降ごく近所までというのが許容範囲とされていました。現代においては、ジーンズが作業着からお洒落着にまで進化したように、時代と共に〈ゆかた〉で出かけられる場所はぐんと広がりましたね。それでも街の中でお洒落着として楽しむ場合は、とにかく"寝巻き風"な要素を徹底的に取り除いていくことが大切だと思いますよ。」

「ポイントとしては3つ。素材、色や柄行き、そして帯や小物合わせでしょうか。」

"ハリ" のある上質素材でキチンと、"透ける"素材で清涼感を。

「素材として一番馴染みがあるのはやはり綿素材ですよね!自宅で手軽にお手入れが出来ますし。」
「そう。綿の中でも、綿コーマと呼ばれる平織りのものがもっとも一般的ですね。吸湿性もあって肌に柔らかなのですが寝巻き風にならないためには、シャキッとした"ハリ感"を持っていることが大切です。ヘタらない上質な生地を選びたいですね。ゆかたの一歩先を目指すのであれば、綿100%でも織り方に工夫がされている綿絽や綿紅梅は、夏着物の特徴でもある"透け感"があり、帯や衿元によってはワンランク上の着こなしが楽しめますよ。」
「綿は汗を吸う一方で、炎天下で汗ばむときにはちょっと重たく感じることもあるのですが・・・。」
「では、麻を一度トライしてみてはどうかしら。
麻はざっくりとした"ハリ"のある素材感で肌にまとわりつかないし、綿より"透け感"もずっとあります。シワが気になるようであれば、糸に強い撚りをかけている縮みであればさほど気になりませんよ。その代表格が小千谷縮。小千谷縮には先染め、後染めと様々なバリエーションがあり、小紋感覚で着こなせるものも多くあります。麻も基本的にはご自宅でお手入れ出来ます。着れば着るほどふわりとしなやかに馴染む特性も心地よいですよ。 麻以外のおススメは、もうほぼ夏着物と言ってもいいもので絹紅梅。絹ならではの羽のように軽い着心地に、シャリ感と強い"透け感"で見た目通りの涼やかさ。絹物にしてはお手頃なのも嬉しいですね。是非、街での大人のお洒落着として楽しんで下さい。絹紅梅のお手入れはプロにお任せしてくださいね。」
素材別の透け感画像を用意してみました。
こうやって並べてみると、風を通す素材感が分かり易いですね!
① 綿コーマ:
太さにムラがない強い細番手の綿糸を使って平織りにした、艶のある柔らかな肌触り。
② 綿絽:
「絽」は緯糸数本おきに隙間を作りながら織り上げる夏の代表的な生地。
綿の糸を「絽」に織り上げた素材。綿コーマよりワンランク上。
③ 綿紅梅:
細い綿糸の間に太い綿糸を織り込み、格子状に凹凸を織り出した表面感豊かな素材。
凹凸つまり勾配があることから、転じて紅梅と名付けられる。綿のゆかたの最高級素材。
④ 麻縮:
縮みとは撚りが強い経糸で織った布を湯もみすることで「しぼ」を出した織物。
麻の糸で織り上げた代表的な夏素材のひとつ。
⑤ 絹紅梅:
綿紅梅と同じ手法で、細い絹糸の間に経緯とも一定間隔で太い綿糸を織り込んで格子状の畝がある生地。
透け感が非常に強く、ゆかたの最高級生地とも言える。

着ていきたい場所をイメージしよう。

「生地の特徴が分かったところで、色や柄、染めなどに注目してみたいと思います。ついつい自分の好みのものを選んでしまいがちなのですが。」
「柄や染めによって、ゆかたらしく着こなすのか、それとも小紋風に着こなすのか、実は着こなしの岐路にもなるので、着る目的をちょっと考えてみて下さいね。大胆な柄行きは花火大会などでも艶やかに映え、細やかな文様は半衿や名古屋帯を合わせると夏着物さながらの趣になります。

また、基本的には染めの技法が緻密で高度なものになるほど格が上がります。例えば麻でも染めの技法によって、絹紅梅より格が高いものもありますので、生地と染めはセットで考えて下さいね。・・・とは言っても、あまり難しく考えすぎずに、着ていく先にふさわしい着こなしを心がけることが大切だと思いますよ。

色に関しては、顔映りの良さなど人それぞれに似合うものはもちろんありますが、目にも涼やか、というのが夏着物の基本であり、周囲への配慮がなされているという意味でも"粋"なのではないでしょうか。」

一枚のゆかたを何通りにも楽しむ

「綿のゆかたに半幅帯を合わせるということが多かったのですが、同じゆかたをワンランク上に着こなしたいのですが。」
「お話してきましたように、ゆかたと言っても幅広くありますので、まずはそのゆかたの持ち味を生かすということはとても大切です。コーマ地に大胆な柄行きでしたら、やはり半幅帯に素足、というのが似合いますね。でも、着こなしで簡単に変化をつける事も楽しみのひとつ。例えば、帯を名古屋帯にしてみるだけでぐっと雰囲気が変わります。半衿をつけていない場合には足袋は履かなくてもいいのですが、足袋を履くだけで〈きちんと感〉が上がりますし、出先でどこかのお宅へ上がる場合など、裸足はやはり失礼になりますから、お出かけ先を考えて足袋を履くかどうかは考えてみて下さいね。」
半幅帯、裸足の合わせ
名古屋帯、足袋の合わせ
「名古屋帯に、さらに半衿をつけるともっと街着らしさが出ますね。半衿をつけたら足袋をお忘れなく。バッグなども衿や帯のチョイスと合わせて、全体のバランスがちぐはぐしないようにしましょう。」
半衿なし
半衿あり
「イメージが湧いてきました!」
「最後に、ゆかたをちょっとグレードアップさせるのにふさわしい帯を教えて下さい。」
博多の半幅帯
「最初の一本であれば、博多帯をおススメします。シャリッとした手触りの博多帯は締め心地がよく、出掛け先で動き回っても緩みにくいですよ。ゆかただけではなく、小紋や夏紬とも相性が良いですし、色によっては夏だけではなく通年活躍する万能選手です!博多織の中でも、紗の入った八寸帯は、夏にしか着用できませんが、より軽やかでゆかたから夏着物まで幅広く活躍するので、こちらもおススメです。博多帯は半幅など、バリエーション豊富にあるので、変わり結びなどでさらに"粋"な装いを楽しむこともできますね。」
「涼しい着心地を求めるのであれば、麻の帯が断然おススメです。麻はざっくりとした地風で、こちらも締め心地が良く初心者にも扱いやすいです。色や柄も豊富なので、ご自身の個性を発揮しやすいのも特徴です。」
小千谷縮の帯
麻絽の帯
「他にも粗紗の八寸のように芯が入らないものも軽やかで風を通しますし、表情豊かな風合いが楽しめますね。 絹紅梅のように小紋感覚で着られるようなものは、夏着物と相性の好い絽塩瀬を合わせてみても上品ですね。」
粗紗八寸帯
絽塩瀬の帯

〈ゆかた〉とひとことで言ってもなかなか奥が深いのですね。大人としての品位を大切に、この夏は一歩先の〈ゆかた〉の着こなしを楽しみたいと思います。皆さまもいつもの着こなしをちょっぴりアップデートして、〈ゆかた〉の一歩先へ、いかがでしょうか。

浴衣の着付けレッスン2018ご案内:
きもの青木では、大人の女性が美しく浴衣を着こなすための、基本をおさえた着付けレッスンを開催します。
この夏、浴衣美人を一緒に目指しませんか。

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きもの青木 の浴衣商品一覧はコチラ
※2018年5月発行
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きものコーディネート講座vol.2:春を運ぶ朗らかな装いを

立春を迎え、少しずつ陽差しも明るくなってきます。梅や水仙も咲き始めて、季節が春に向けて一歩一歩進んでいることを実感しますね。きもの青木の商品も春いろ一色になってきました。
あれこれ勉強中の新入社員達から相談を受けながら、今回は春らしさを楽しむ装いをご案内してまいりたいと思います。
「春の季節柄には、具体的にどんなものがあるのでしょうか?」
「1月〜4月にかけて梅や水仙、菜の花、木蓮、桃、レンゲ、土筆、ミモザ、チューリップ、そして桜など、様々な花が順々に咲きはじめますよね。このような春に咲く花々や蝶、そして桃の節句柄などが代表的です。ただ、春に咲く花と一口に言ってもそれぞれに花期は違いますから着物のお洒落は花期よりもひと足早め、できれば着用は『咲ききってしまう前まで』と覚えておいてください。そうは言っても南北に長い日本、場所によって季節の訪れにも幅がありますから、そんなに神経質にならなくても大丈夫ですよ。」
「桜の着物や帯に憧れますが、選ぶ時に気をつけることは?」
「日本人が大好きな桜、写実的に描かれたものから大胆にモチーフ化されたものまで表現も幅広いですね。花期の短い桜ですが、満開の花枝・花吹雪・花弁だけのものなど、これほど様々な描写がなされる題材も珍しいのではないかと思います。桜の柄については拘る方が多いだけに意見の分かれるところですが、満開の頃ならば、写実的な描写のものは花吹雪や花弁だけの画を選ぶなど、少しだけ時期を先取り。モチーフ化された柄行きでしたら、あまり季節を気にせずにお使い頂いて良いのではと思いますよ。」
「着用の季節が限られる柄行きの着物や帯は、初心者にはちょっと難しいような気がしますが・・・?」
「皆さん、着るときを逃してしまうのでは?という心配をなさるようですね。でも季節柄は初心者の方にこそおすすめしたいと思います。気に入った柄行きでしたらその季節が待ち遠しく楽しみになりますし、一年に一度は表に出してあげなくちゃ!と頑張りたくなるもの。きっと着物を着る機会が増えると思いますよ!」
「季節感のない無難な着物と帯しか持ち合わせていないのですが・・・」
「小物使いだけでも随分と印象が変わりますよ。挿し色としてはシャーベットトーンを取り入れてみてはいかがでしょうか。清々しい黄色、オフホワイト、淡いピンク、優しい黄緑系などの彩りは色そのものが春を感じさせますね。また、春花の柄が入った帯揚げや半衿などでも春らしさを楽しめますし、振りからちょっと見える襦袢に春色をしのばせてみるのも、楽しいですね。」
「可愛らしくなってしまう春色や柄行きに少し抵抗があるのですが・・・」
「お洋服の場合、シックで大人っぽい装いが好きな方には、春らしいカラーや柄行きが苦手の方も多いですよね。でも和装ではそれが当てはまらないから不思議なところ。面積の少ない帯締めや帯揚げ、帯留めなどワンポイントに春を取り入れるだけでもさりげない季節のお洒落が楽しめますし、桜の柄ひとつとってもさまざまな手法により趣が全く異なりますので、お好みに合う意匠が必ず見つかると思います。お好きな作家さんの作品から探し出してみる、というのも楽しいのではないでしょうか。」
「普段は着物を着ない方でも、春の行事では着物を着たいのですが・・・と、よくお客様から相談を受けるのですが・・・」
「そうですね。特にお問い合わせが多いのはお子様の卒入学式などでしょうか。
まず卒業式では〈感謝〉の意も含まれている為、華やか過ぎる装いは控えた方がよいですね。落ち着いた色味の色無地や江戸小紋に袋帯を合わせた装いなどが、礼を尽くした母の装いとして好ましいのではないでしょうか。出来れば紋付きがおすすめですが、今はさほど気になさらなくてよろしいのではと思います。
入学式に関しては春らしい色味の色無地や江戸小紋、春の柄行きが穏やかに描かれた付下げなどがおすすめです。あくまで主役はお子様ですので、豪華な訪問着などはお避けになられた方が安心です。」

「ただ、地域や学校の校風などによっても傾向が異なりますので、周りの方がどのような装いをされるのか、少し様子をリサーチなさってからお考えになると良いかと思いますよ。また、お祝いのパーティーなど晴れやかな場面では、春らしい季節柄の訪問着で華やいだ装いを存分に楽しんでいただきたいですね。」

具体的なコーディネートをご紹介いたします

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シンプルな着物には春帯で変化を楽しんで。

  • #01 優しく可愛らしい春:

    桜花と花弁のみを控えめに散らした染め帯です。綺麗な苗色もまさに春を告げるお色目、着物の落ち着いた色味を優しく引き立てています。どんな着物も春衣に変えてしまう、そんな素敵な力を感じさせる一点ですね。
  • #02 はんなりとした春:

    絞りで象られた大ぶりの桜一輪がお太鼓を飾る個性的な染め帯です。黒と白にほっそりと赤を効かせた、はんなりとして女性らしい趣きのお品。小物で花の色を添えて、心に残る春の装いです。
  • #03 華やかな春:

    落ち着いた色遣いながら、デザイン性の高い華のある帯ですね。枝や葉は地色に溶け込ませ、大ぶりの桜花がより強調されています。こちらでは濃い色の帯締めでシックに引き締めていますが、明るいお色目を使って頂くとまたすっと趣きが変わって新鮮ですよ。
#01 優しく 可愛らしい春
【帯 K-4696】
#02 はんなりとした春
【帯 K-4709】
#03 華やかな春
【帯 L-3367】
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落ち着いた大人の春らしさをとり入れて。

  • #01 空木さんの穏やかな春:

    高久空木さんの塩瀬地の染め帯です。優しい風に乗ってふわりと舞い降りた蝶の姿に穏やかな春を感じさせますね。シンプルながら滲みが美しい色彩と完成度の高い構図が作家作品ならではの存在感を見せてくれます。蝶のモチーフならば早春から晩春まで長くお使い頂けますね。
  • #02 風情豊かな大人の春:

    力強い水の流れにはらりと散った桜花が浮かぶ染め帯です。鮮やかなグリーンの帯締めを合わせて春らしく瑞々しい表情を。装いを凛と引き締める黒地の帯は、淡色から中間色の着物ならどのような地色も綺麗に調和します。散りゆく桜の花ならば、比較的長くお楽しみ頂けますね。
  • #03 清々しい春:

    名物裂の笹蔓文は特に季節の縛りの無い格調高い意匠ですが、淡い彩りが清々しい印象です。淡彩の着物や春色の小物を合わせれば春らしく、焦茶など濃地の着物に載せれば秋のイメージの装いに。着物や帯揚げ・帯締めで季節感も自在です。
#01 空木さんの穏やかな春
【帯 K-3641】
【バッグ G-854】
#02 風情豊かな大人の春
【帯 K-3757】
【バッグ G-852】
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小物使いで変化を楽しむ。

春いろのグラデーションが美しい帯締めや帯揚げを合わせて、やさしい春の表情が楽しめます。
いかがでしたでしょうか。今回の春の装い講座は、この辺りで。
最後に、きもの青木がオススメする春のアイテムを少しご紹介致します。

※2018年2月発行
※当サイト内の文章、画像等の内容の無断転載、及び複製等の行為は固くお断りいたします。

きもので、でかけましょ。Vol.3 世田谷・桜新町カフェ巡り

 

そろそろ師走の声が聞こえる頃となってきましたね。
慌ただしく年の暮れを迎える前に、少しだけ立ち止まって、自分時間を過ごしませんか。
今回は、きもの青木 WANOIROHA世田谷店が所在する、東急田園都市線「桜新町駅」を舞台に、カフェ巡り。

桜新町は、渋谷より田園都市線でおよそ10分のところ。皆様、降り立たれたことはございますか。昭和期に、漫画「サザエさん」の原作者・長谷川町子さんが居住されていたことから、駅前商店街はサザエさん通りと呼ばれ、サザエさん一家があちこちにひょっこりと現れます。閑静で落ち着いた住宅街でありながら、どこかほっこりと温もりが感じられる街です。
普段着の街へ、着物で背筋をすっと伸ばして、さぁ、おでかけしましょ。

まずは、WANOIROHA世田谷店と同じ通りに所在する2店舗へと。 1軒目は、地元はもとより遠方からもわざわざ訪れるお客様が絶えない名物パン屋さん、「ベッカライ・ブロートハイム」に併設される「ゼーバッハ」へと。ヨーロッパ風の堂々とした外観が目を引く、通りのランドマーク的存在です。

店頭では、ショーケースにずらりと美しく並べられたパンを、真っ白なユニフォームを纏った店員さんがテキパキと取り分けています。調理パンも一部ありますが、ほとんどが毎日食べても飽きのこない食事に合わせるシンプルなパンたち。着物も、シンプルなものほど、素材や手仕事の輪郭が際立ち、そして、使い手の個性を光らせる力強さがあります。

そんな素朴な力強さを感じさせるパンをイートイン出来るだけでなく、美味しいパンの食べ方を提案したメニューが揃ったカフェ。丁寧な手仕事によって紡がれた一枚を纏って、香ばしい香りに包まれた幸福な自分時間はいかがでしょうか。ご自宅用に持ち帰って、二度幸せ気分をお楽しみ下さい。

2軒目は、「Café & Diner NEWOLD」へ。きもの青木のスタッフは毎日、こちらのお店の前を通って通勤するのですが、朝から晩まで、時間帯によってお店の雰囲気も、入っているお客様も入れ替わっていく様子がなんとも賑やかです。名物のハンバーガーを美味しそうに頬張っている姿に、ぐうぅと思わずお腹が鳴りそうです。

お店の表の通りが、都市計画道路に指定されており、店内は道路拡張により取り残される部分と、これから先もずっと残る部分が同居しているそうです。古いものを残しながら新しいものを付け加える、温故知新を英語ではOLD NEWと言いますが、店名の由来はそこからついたそうです。

アメリカンダイナーという、一見着物と相交わらないような場所、ギャップがあると思える場所が、温故知新のコンセプトで緩やかに繋がっているのですね。肩の力をぐっと抜いて、着物が持つ軽やかな表情を楽しんでみてはいかがでしょうか。絶品パスタに、具がたっぷり入ったサンドイッチ、豊富なフィンガーフードなど、着物でも挑戦しやすいメニューも揃っていますよ。

最後は、桜新町の閑静な住宅街の中に、忽然と現れる「815 Coffee Stand」へ。駅からも当店からも、徒歩7−8分の距離があり、知る人ぞ知る隠れ家です。元々は倉庫だった場所をリノベーションしたそうで、まるでNYにでもありそうなお洒落なお店。オーナーがカメラマンでもあり、2階、3階は撮影スタジオになっています。1階にあるカフェの中も、どこで写真を撮っても絵になるような、とても素敵なカフェです。

店内には温かみのある木製の家具がゆったりと配置され、ひとりでカウンター席、グループであればラウンドテーブル、ベビーカーでもすいすいと入れるテーブル席と、それぞれが思い思いの時間を過ごせる、ご近所の癒しの場です。

いつもはお洋服で会っているご友人と、お着物でお喋りなどいかがでしょう。肩肘を張らずに、ごく普段着感覚の小紋や紬を思い思いに選んで、着物で過ごす凛とした気分そのものを楽しんでみてはどうでしょうか。エスプレッソをベースとしたものを中心に、抹茶ラテや季節の特別メニューも揃います。バリスタが描き出す繊細で美しいラテアートを愛でながら、ゆったりとした自分時間、いかがでしょうか。

さぁ、肩の力をぬいて、きもので、でかけましょ。

 

オススメの商品情報

カフェ巡り、街歩きなど、長時間お着物を着る日には、足元も快適に過ごしたいですよね。 きもの青木では、見た目と快適性が揃った草履をご紹介しています。是非、お試しくださいませ。

菱屋カレンブロッソさんのその名も「カフェぞうり」。 軽量でクッション性に優れ滑りにくい素材の台を用い、長時間履き続けても足に負担が少なく、スニーカー感覚でお使い頂けるお草履です。
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フォーマルにも対応するものをお求めの方には、「ウェーブ草履」。 土踏まずに当たる部分がゆるやかに盛り上がり、ピッタリと足にフィットします。ほど良いクッション性が足への負担を軽減し、安定感も抜群です。
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<WANOIROHA 世田谷からのお知らせ>

12月2日土曜日から12月27日水曜日まで、きもの青木WANOIROHA世田谷では、3周年記念お客様感謝祭を開催中です。
詳細はこちらから、ご覧くださいませ。
WANOIROHA世田谷では、様々な和のお教室も順次開催して参ります。
当店へお買い物、お稽古でお越しの際は、是非魅力的なお店が点在する桜新町の街を散策してみてはいかがでしょうか。

<ご紹介したお店>

「ベッカライ・ブロートハイム」

所在地: 東京都世田谷区弦巻4-1-17 / 電話番号:03-3439-9983
営業時間:7:30-19:30 / 定休日: 月曜日、第1火曜日

「Café & Diner NEWOLD」

所在地: 東京都世田谷区弦巻3-9-11 / 電話番号: 03-6413-5100
営業時間: 8:00-23:00 / 定休日:月曜日

「815 Coffee Stand」

所在地: 東京都世田谷区弦巻4-11-17 / 電話番号:03-5799-4454
営業時間: 平日10:00-18:00、土日9:00-19:00 / 定休日: 水曜日

※2017年11月発行
※当サイト内の文章、画像等の内容の無断転載、及び複製等の行為は固くお断りいたします。

WANOIROHAスタッフによる、IROHAコーディネート

2015年12月に「銀座きもの青木 世田谷店」として、世田谷は桜新町エリアに、銀座に次ぐ2号店として当店をオープンいたしました。オープン以来、着物を始めたばかりなのだけれども、、
和のお稽古ごとに興味があるのだけれどもキッカケがなくて、、
といった、近隣にお住まいのお客様のお声を多く聴かせていただきました。

この度の世田谷店改装にあたり、私たちはこのお店に特別な想いを持って「銀座きもの青木 WANOIROHA setagaya」と新たな看板を掲げ、2017年冬にはグランドオープンを予定しています。いろいろな角度から和の世界の楽しさを発信し、いろはの「い」から学べる温かい和のサロンのような店舗として皆さまから愛される場に昇華させていければと思っております。
グランドオープンに先立ち、10月28日土曜日午後12時よりプレオープンをいたしまして、従来からの和装販売、着付教室を再開いたします。
今回は「WANOIROHA setagaya」のスタッフが、世田谷のお客様ならばこんな感じがお似合いだろうな、と思いを巡らせながら、それぞれの得意分野を活かして、コーディネート作りをいたしましたので、ご挨拶の意も含めましてご紹介させていただきます。

こんにちは。私は学生時代から茶道に親しみ、30代後半になった今でも欠かさずにお稽古を重ねています。お茶のお稽古はもちろんのこと、その帰りにちょっとお出掛けするのが楽しみで、あれこれとコーディネートを考えるのが大好きです。今回は、お店に略式のお茶室も出来ましたので、お茶のお稽古着にオススメなコーディネートをご紹介したいと思います。

茶道は、形式的なものに目を向けられがちですが、一服のお茶を差し上げる、ただそれだけのことを思いつく限りのおもてなしで対応する、という本質的には精神性の非常に高いものです。ですから、お茶席での装いは自分の粋さを誇示するのではなく、客人を引き立てることが基本的な視点となります。ただお稽古の時は、もう少し普段着の延長として楽しみたいですよね。
私はつい最近世田谷エリアへ越してきたばかりですが、すれ違う方のお洋服の着こなしもとても上品でシックな方が多く、住宅街ならではの落ち着きと、良識を感じる土地柄がとても気に入っています。お茶のお稽古着の組み合わせは、普段の洋装の感覚で選ばれてもしっくりとくるものが多いのではないでしょうか。

 

お茶のお稽古着としてまず一番にオススメしたいのは、江戸小紋や色無地です。地紋や柄ゆき次第で、街着から改まった席まで幅広くお楽しみいただける重宝な着物です。同系色の織りの名古屋帯を合わせてワントーンで装えば、上品さが際立ちます。お稽古帰りにちょっと二子玉川のデパートに立ち寄ったりしても、すっと馴染みそうですね。帯を袋帯に変えれば、フォーマルなお茶席にもぴったりです。
着物:59,400円 帯:参考商品


 

 

 

お稽古着であれば、カジュアルな紬の着物でも問題ないという先生も多くいらっしゃいます。世田谷には美術館が点在していますし、お稽古帰りにフラリと立ち寄ってみたくなるものです。企画展のテーマにあった帯を締めて、あるいは季節を先取りした柄を取り入れてと、普段着ならではの装いも楽しみたいですね。それでも、やはり華美ではなく、楚々とした着こなしがお茶のお稽古場では好まれると思います。今回は、着物の格子柄に含まれる青の色をとって、澄み切った秋空のような青の地に紅葉や抽象的な植物、流水が描かれている染めの名古屋帯を合わせました。お稽古事の装いは、先生や社中の方のご意向や雰囲気にも左右されることが多いので、判断に迷ったときには、先ず社中の方にご相談なさると安心ですよ。
着物:64,800円 帯:43,200円

こんにちは。私は改装前からこちらの店舗スタッフとして勤務しております。店舗も広がり、仲間も増え、ワクワクしています。私は、以前スペインで生活をしていたことがあり、現地ではTVに出演される俳優さんへ着物のスタイリングや着付けを行なっていました。その後、現地で出会ったスペイン人と所帯をもつことになりました。生活の拠点を日本に移し、現在は夫の仕事の関係で大使館主催のパーティなどに参加する機会があるのですが、和装で参加すると、皆さんからとても喜ばれます。着物がコミュニケーションツールとなって、あれこれと話題が広がるのも魅力ですね。私からは、イベントに合わせたコーディネートのちょっとしたコツをご紹介させていただきます。

 

これからの季節、忘年会にクリスマスと、ご友人宅でのお集まりごとも増えますね。お集まりごとに合わせたお洒落で、会話に華を添えてみてはいかがでしょうか。気張って和装で来た!という感じでは、周りの方も気を遣われてしまいます。肩の力を抜いて、お洒落を楽しんでいます♪といった雰囲気も大切ですね。今回は、お洋服感覚で着こなせるコーディネートを作ってみました。まるで小雪が冬の空に舞うかのようなごく小さな水玉文の小紋に、上品にきらめく雪花文様の洒落帯。小物にはクリスマスカラーを取り入れてみました。
着物:54,000円 帯:24,840円

 

 

渋谷には東急Bunkamuraホールやセルリアンタワーの能楽堂、千駄ヶ谷には国立能楽堂が近隣にあることからでしょうか。世田谷のお店では、音楽鑑賞や能観劇に・・・、というお客様に多くお会いしました。今回は、目上の方とご一緒というシチュエーションでコーディネートを考えてみました。目上の方と、そして主役は舞台の上、ということを考えると、やはり華美になりすぎず、それでいてただ無難にまとめたな・・、とならない塩梅がなかなか悩ましいところです。オススメしたいのは、誰からも好かれるごく古典的な柄行きを、スッキリとモダンに着こなすコーディネートです。菱取華文が女性らしさを感じさせる付下げに、市松に料紙文が配された袋帯。どちらもスッキリとした直線的な文様をベースにしていることから、古典柄でありながらモダンな雰囲気にまとまります。
着物:75,600円 帯:37,800円

WANOIROHA setagayaでは、閑静な世田谷の街並みにもすっとなじむような、お洋服感覚でお召頂ける上品でモダンな着物や帯に特に力を入れて揃えています。
オンラインショップではご紹介していない素敵なお品も多様に揃えております。ぜひ、足をお運びくださいませ。皆様のお越しをスタッフ一同、心よりお待ちしております。

本編でご紹介しました商品は、WANOIROHA setagaya の店舗でご覧いただけます。
※オンラインショップでは販売しておりません。

※2017年10月発行
※当サイト内の文章、画像等の内容の無断転載、及び複製等の行為は固くお断りいたします。