名前を持った紬 — 丹精をこらした逸品 vol.08


現代の紬は、糸遣いもいろいろ

- 本場結城紬・・・器械を使わず、撚りをかけずに手で引き出した「真綿手紬糸」を経緯に用いる。
- 郡上紬・・・経糸には玉繭から引いた玉糸、緯糸には品質の高い春繭の真綿手つむぎ糸を用いる。
- 塩沢紬・・・経糸に生糸や玉糸を用い、緯糸に真綿の手つむぎ糸を用いる。
- 小千谷紬・・・経糸には玉糸または真綿の手つむぎ糸、緯糸に真綿の手つむぎ糸を用いる。
- 信州紬・・・経糸には生糸 (山繭糸を含む)・玉糸または真綿の手つむぎ糸、
- 緯糸には玉糸または真綿の手つむぎ糸を用いる。
- 牛首紬・・・経糸には生糸・緯糸にはのべ引き (座繰り)で引いた玉糸を用いる。
- 黄八丈・・・経緯の糸に生糸を用いる。(例外的に玉糸や真綿つむぎ糸も用いる)
- 大島紬・・・経緯の糸に生糸を用いる。
指定要件とされている「真綿の手つむぎ糸」は基本的には「真綿手紡糸」ですので、「本場結城紬」の糸がいかに特殊で贅沢なものか、がはっきりとおわかり頂けるかと思います。 牛首紬や黄八丈、大島紬などは正確には「紬糸」を用いていませんが、かつては紬糸を用いた歴史がある場合や、先染めの織物である等々の理由から広義に解釈して「紬織」に入れられています。
きもの青木がおすすめしたい 紬
[ 本場結城紬 ] 産地:茨城県結城市・栃木県小山市を中心とする地域
殆ど撚りをかけずに真綿から引き出した糸を糊の力で地機にかけ、糸に負担を掛けずに織り上げられる本場結城紬。 機から下ろして糊を抜けば真綿そのもののふっくらとした柔らかさを取り戻します。長く着込み、洗い張りを重ねることで経緯の真綿の毛羽が絡まり合い、良く言われるように「真綿に戻ってゆく」そんな素晴らしい風合いをお楽しみ頂けます。
国指定重要無形文化財の要件としては「真綿手紬糸を用いる」「手括りによる絣」「地機による製織」が指定されています。

[ 郡上紬 ] 産地:岐阜県郡上市

[ 浦野理一さんの紬 ]

[ ざざんざ織 / 伊兵衛織 ] 産地:静岡県浜松市


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