清々しい風を運ぶ 八重山上布 — 丹精をこらした逸品 vol.05

夏の織り、といえば真っ先に名前の挙がる上布。とりわけ沖縄には宮古の藍上布、八重山の白上布という素晴らしい苧麻の布が古くから織り継がれています。古くから薩摩藩の貢納品として厳しく管理され、磨き抜かれた技術が、いま私たちに清々しい風を運んでくれます。

草木染めや括り染めによる大らかな色柄の帯たち

かつては殆どが白地に紅露を染料とする薄茶の絣であった八重山上布ですが、現在では豊富な植物染料を利用した彩り美しい品々が目を楽しませてくれます。
帯でしたら梅雨明け前の単衣時期から、夏を通してお使い頂けますね♪

【着物1242】

昔ながらの白地に茶系の絣、八重山上布らしい着物です。整然と並ぶ糸巻き柄が端正な趣きのお品、真夏の陽射しに凜と映える一枚ですね。

【着物524】

淡いベージュ地に井桁やトーニーの絣を置いた着物。さっくりとして張りのある布に草木の穏やかな色が溶け込んでいます。素朴でナチュラルな表情のお品は、どなたにも優しく寄り添ってくれそうですね。

素朴な糸味に野趣を残した八重山上布。
昔ながらの白上布の清々しさ、色上布の鮮やかさ、あなたはどちらがお好みですか。

この時季は、少しずつ八重山上布が登場します。
今年こそは上布を、とお考えの方、ぜひこちらからもチェックしてみてくださいね。

※2017年6月発行
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夏着物を身近に…小千谷縮のいろいろ — 丹精をこらした逸品 vol.04

絣から無地・縞、小千谷縮もいろいろ

5月も後半となれば、そろそろ麻ものにも手を伸ばしたくなるこの頃ですね。ここ何年かの間にすっかり夏の定番となった小千谷縮、麻特有の涼しさに加えてお手入れの気軽さやお手頃な価格ということもあり、初心者の方も着慣れた方にも大人気です。少し汚れを見つけても、その部分だけつまみ洗い、なんてことも可能です。水に強く丈夫で着込む程に柔らかくなる麻の特性からも、日常にどんどんお召し頂きたいですね。

*きもの青木が反物から仕立てた小千谷は、お家で手洗い可能な仕様です。 気になる時に衿や袖口など気になる箇所をささっと洗っておく、汚れた ところはすぐに処理しておくと、いつも気持ち良くお召し頂けます。

【着物1583】

一見経緯絣に見えますが、特殊な捺染脱色による絣柄です。 表裏織りによる絣と見分けの付かない仕上がりに驚かされますね。

【A-1983】

左と同じく捺染脱色による絣。絣を括り手機で経緯を合わせる工程が無い分、新品でもとてもお値頃です。

反物からのお仕立ても、小千谷なら気軽に

マイサイズで洗える仕立てにすれば、手放せない夏衣になりますね。最初の一枚にぴったりの格子や縞、無地の反物もご紹介しています。

すぐにお召し頂ける、シンプルな縞や格子

サイズが合うものがあれば、すぐにお召し頂けるお仕立て上がりは、やはり便利ですね。

お気に入りの柄もので、軽やかな気分を盛り上げる

数少ない小千谷縮の絵絣ものは、間違いなく夏の朗らかな気分をグンと楽しく盛りたててくれそうですね。

小千谷縮の帯揚げ

夏着物や麻帯に合わせて、帯揚げにも小千谷縮の涼感を取り入れてみませんか。きもの青木では、盛夏の装いを爽やかに引き立てるお色を揃えています。

番外編・・・【A-1464】 近江上布

こちらも長い歴史を誇る近江地方の上布。こんなに手を掛けた絣模様はすっかりみかけなくなってしまいました。

ぱりっとした麻、ワンピースやシャツで馴染んだ清涼感を着物でもぜひ!  夏着物の楽しさがぐんと広がります!

この時季は毎日いろいろな小千谷縮をご紹介しています。 こちらからもチェックしてみてくださいね。

※2017年5月発行
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名門・川島織物さんの帯の底力 — 丹精をこらした逸品 vol.03

名門・川島織物さんの帯の底力

5月も半ばとなりました。あっという間に一年も折り返し地点と思うと慌ててしまいますね。
さて、川島織物さんといえば西陣でも龍村さんと双璧をなす名門です。現在ではインテリア・室内装飾品メーカーとしての顔もお持ちですが、やはりその原点は170年余の歴史を誇る帯の機屋さん。今も選び抜いた絹糸を用い、西陣最高峰の技術を駆使して製織される帯の数々は、その美しさに加え締め心地の良さにも評価が高く、多くの方から支持され続けています。
私共でも川島さんの帯を多数扱ってまいりましたが、密度の高い織りにも拘わらず、そのしっとりとしてしなやかな風合いにはいつも驚かされます。きゅっと締めた時の高い伸縮性やお太鼓のかたちの整い方、帯として実際に使用した時の快適さはやはり群を抜いていますね。特に古典美を知り抜いた川島さんのフォーマル帯は、重厚で気品ある華を備えながらもあくまで着物との調和が考慮されており、どのような場面でも安心してお使い頂けます。お目に留まるお品がありましたら、ぜひお試し下さいませ。

【帯2084】

金地に有職文、一歩抑えた色調に洗練を感じさせるフォーマル帯

【帯2063】

時代を越えて輝き続ける本金「加良錦」袋帯。 ご紹介の数も限られる逸品です。

【帯2057】

古典を知り尽くした老舗だからこその
正統派モダン。

【帯2035】

更紗花の帯は、同じくエキゾティックな個性ある着物を合わせても。

【帯2027】

振袖に合わせて変わり結びをしても、とても素敵ですね。

【K-3657】

おめでたい松竹梅の織名古屋帯。お正月やちょっとしたお祝いの席に活躍してくれそうです。

【帯1973】

金地に風格ある古典意匠。一生ものとしてお使い頂けます。

【L-2522】

クラシックな群鶴はおめでたいお席に。

【L-2490】

多色遣いの振袖や訪問着も、すっきりとまとめてくれます。

【帯1942】

はんなり明るい華のある彩りは、若い美しさを引き立てます。

【帯1772】

こちらも重厚華麗な盛装のための一点。振袖や訪問着に。

【K-2678】

クラシックな色遣いの丸文尽くしは、格調を備えつつもどこか小粋な風情

【K-2497】

紬地にふっくらと柔らかな質感のモール織り。大人のきちんと感を外さず、洒落味のあるカジュアルな装いをお楽しみ頂けますね。

【K-2197】

夏ならではの大胆な色柄が光る絽の名古屋帯は、気軽な街着に。

あなたはどんな川島織物をお選びになりますか。 どうぞお店でいろいろな帯を触ってみてくださいませ。

※2017年5月発行
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生糸を用いた端正な織り「本塩沢」 — 丹精をこらした逸品 vol.02

生糸を用いた端正な織り・本塩沢

ゴールデンウィークが過ぎれば、すっかり初夏の気配ですね。青空の下では単衣でも汗ばむような陽気です。 さて、先週は産地ものの縮織をご紹介しましたが、 今回は紬御召といえばこれ♪お馴染みの塩沢御召 (本塩沢) です。 単衣でも袷でも重宝な塩沢ですが、やはり本塩沢の布味はぜひ単衣で味わって頂きたいもの。価格的にも比較的こなれたお品が多いこともうれしいですね。こちらは真綿糸ではなく上質な生糸を用いていますが、同じく緯糸に強い撚りをかけることで生まれる細かなシボ、そしてしゃり感のあるさらりとした風合いが特徴です。 改まったお席にも対応できる無地からカジュアルな縞や格子、塩沢の技術を尽くした精緻な小絣等々、用途に応じて選ぶことができる単衣の本塩沢、きっと出番の多い一枚として活躍してくれることと思います。

精緻な技術を駆使した総亀甲詰

男性用にもお使い頂けそうな総亀甲詰は、塩沢ならではの精緻な技術。
ご年配の方が渋く着こなすのはもちろん、若い方が華やかな染め帯できりりとお召しになっても素敵です。

無地感覚の本塩沢

無地感覚の本塩沢はきちんとしたスーツのように。帯合わせ次第では少し改まったお席もOKです

繍一ッ紋付きは色無地代わりにも

程良い張りがあり、着崩れし難い紬御召は、お茶会などでも活躍してくれることと思います。

シンプルな格子や縞は合わせる帯を選びません♪

チェックやストライプと呼びたいタイプ。 渋みのある色やシンプルモダンな景色は帯の背景としても万能です。ちょっぴりメンズライクな凛々しさも魅力ですね。

絣の技術が創り出す様々なモチーフ

蜻蛉や草花、洋風の装飾文…風情豊かな意匠は塩沢伝統の優れた技術ならでは。

個性に合わせて選びましょう!

淡彩の暈かしが美しい小紋感覚のお品から、小粋なモチーフ、カラフルな色遣いの楽しい幾何文など、選択肢もたくさん。

あなたはどんな塩沢をお選びになりますか。どうぞお店でいろいろな本塩沢を触ってみて下さいね。

※2017年5月発行
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単衣の季節に最適な織物「縮み」 — 丹精をこらした逸品 vol.01

単衣の季節に最適な織物・縮み

5月に入って、一段と陽射しも強くなってきましたね。そろそろ立夏、気軽なお出かけでしたら単衣に手を通す方も多いのではないでしょうか。
昔から結城縮や本塩沢、別名結城御召や塩沢御召など御召の名を付けて呼ばれる紬は、単衣に最適とされています。これらの織物は、強い撚りをかけた糸を用いることによって表面に細かいシボが生まれ、その凹凸によってぺたりと肌に付かずさらさらとした風合いとなります。滑りの良い裏を付けない単衣仕立ては捌きの良さも大切。程良い張りを備え、布同士の纏い付きが少ない縮織は、その点でもとても優れています。
真綿系の縮織は下記のようなお品がございます。
産地や糸によってそれぞれ少しずつ風合いは異なりますが、縮織の単衣、湿度も気温も高い単衣時期を快適に過ごすための知恵が詰まった着物ですね。

【着物1637】本場結城縮

縮みの最高峰といえばやはり、本場結城縮ですね。重要無形文化財指定のお品と同様に経緯共に真綿から手でつむぎだした糸を用い、丁寧に緯糸に撚りをかけ、手機で織り上げています。 本場結城縮にも地機と高機がございますが、こちらは地機で織り上げられたお品、圧倒的な軽さは流石ですね。現在では本当に稀少となりました。

【A-1950】結城縮 はたおり娘

本結城の老舗製造卸問屋・奥順さんのオリジナルブランド「はたおり娘」です。本結城と糸が異なりますが上質な真綿糸を使用、撚りをかけ、確かな技術で織り上げられた大変着心地の良い縮織です。

【A-1934】士乎路縮

士乎路紬は本場結城紬と同じく、手つむぎの糸を経緯に用いて高機で織り上げられる上質な織物として知られていますね。こちらもその縮織版、撚りをかけた緯糸から生まれるシボの凹凸がさわやかな風合いのお品です。

【A-1955】古志紬 縮織

新潟の山古志村を産地とする上質な紬です。室町の加納さんの扱い品で、こちらも真綿糸を用い、撚り掛けによる細やかなシボが肌に心地良い上質な縮織です。

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