お茶ときもの、あれこれvol.2 ― 盛夏の装いに涼感を
近年では夏日となれば5月でも単衣着用が一般的となりましたが、茶道の最大流派でも単衣の5月解禁が提唱され、話題を呼んでいます。
昨今の気候変動を鑑みると、単衣を6月と9月に限定するのは無理がある、 初夏の5月6月、初秋の9月10月にも単衣を着用すべき、と機関誌で述べられています。
これは茶人にとってはとても嬉しいニュースであり、まさに利休七則の「夏は涼しく」 に適った事例であると言えましょう。
「夏は涼しく」といえば、6月から8月の暑気の時期、茶道では ”涼一味” の工夫がなされます。
例えば、打ち水がされた露路の踏み石、床の花の朝露、よく冷やした葛菓子。
建具には葦戸や簾、青竹の筧から蹲に落ちる水音…..。
亭主の細やかな演出による様々な設えから、茶席に招かれた客が
ひととき酷暑を忘れる、その瞬間こそがまさに“涼一味”なのですね。
涼感を演出するお点前も夏の醍醐味です。
例えば「洗い茶巾」。水を張った平茶碗に二つ折りのままの茶巾を入れて運び出し、
点前の途中で茶巾を絞って畳むというお点前で、その水音が涼感を奏でるという趣向です。
また水指の蓋の代わりに梶の葉などを用いる「葉蓋の扱い」、しめ縄を張った釣瓶水指を用いる「名水点」など、夏ならではの茶趣が楽しめる工夫が一杯です。
そこで、今回は絽の江戸小紋に触れてみたいと思います。
絽は平織の間に捩った2本の経糸を挟むことで隙目を作った織物で、絹自体の特性もあり、吸湿性、通気性にも優れている夏着物の代表格です。
平織部分の経糸の本数により三本絽、五本絽、七本絽となり、その数により透け感も変わりますので、 七本絽や九本絽、また経絽などは単衣の時期に着用できます。
この絽の生地で仕立てられた江戸小紋、涼感のみならずきちんと感もございますので、 お稽古やちょっとしたお出かけにもとても便利です。
お茶席にはとても重宝な絽の江戸小紋。きもの青木 では無地感覚で御召いただける五役の定め柄や季節を感じるいわれ柄なども豊富に取り揃えています。
ぜひ一枚、お手元にご用意くださいませ。
銀座きもの青木・オンラインショップや銀座店舗では、お茶席に安心してお使いいただける着物や帯、帯締め、帯揚げのほか、数寄屋袋、バッグ、草履などの小物もご用意してございます。
オンラインショップでは、お茶席におすすめの品々をこちらのページ《お茶席のきもの》で一堂に集めてご紹介しております。
お茶の金言を思い浮かべながら、今夏も楽しいお茶ライフを。
着物まわりのご用意は、ぜひきもの青木をご利用くださいませ。
※2023年5月発行
※当サイト内の文章、画像等の内容の無断転載、及び複製等の行為は固くお断りいたします。
お茶ときもの、あれこれvol.1 ― 必要な一枚を選ぶために
湯の沸く音
一座建立の佇まい
整然とした空間で
丁寧に点てられた
一服のお茶に心を和ませる
そんなひと時を求めてお茶のお稽古に励まれる、またこれから始められる方も多いのではないでしょうか。
茶の湯は日本文化を結集した総合芸術とも言われます。陶芸、書跡、建築、染織、料理など、私たちが古来から高めてきたあらゆる道に通じます。そして、培われるおもてなしの精神性。一服のお茶を挟んで点てる側、戴く側が同じ空間を共有し、互いに相手を思う「和」の心が生まれてゆくのです。
その精神性こそが茶の湯の心と言えましょう。
着物はそんな茶の湯の心を演出してくれる重要なアイテム。
繰り返される「型」から生まれる澱みない動き、その美しい所作も着姿から始まります。
いつもより気持ちも新たに、お稽古へ、お茶会へ、ぜひ着物で出かけませんか。
当コラム「お茶ときもの、あれこれ」では、お茶と着物にまつわるあれこれを毎回テーマにしてお届けしていきたいと思います。
初回はまずお茶を始めてみたい、または始めたばかりという方に、ご覧いただきたい、押さえておくべきポイントをまとめてみました。
必要な一枚を選ぶために、ぜひお役立てくださいませ。
お茶席の着物、どう選ぶ?
押さえておきたいポイント&留意点
お茶の装いの基本
お茶の所作は、着物を着て動くことを前提としたもの。 そのため身体に沿いやすい、動きが滑らかな染の着物、いわゆる柔らかものが好まれます。
対するかたもの、いわゆる紬は張りがあるため動きが固く見えたり、 膝行(しっこう、にじり)においても擦れ音が気になったりしますので、所作に慣れてから 場合に応じて着用するのが良いでしょう。
お稽古なら紬でも可という場合は、反物を織ってから染める後染めのものが風合いが柔らかで動きやすいと思います。
そして何より清潔感が大切。白足袋、白半衿を着用し、帯留や指輪など、お道具を 傷つける恐れのある装飾品は外しましょう。
また一般の着物の決まりと同じく、季節は先取りが基本。 衣替えはなるべく暦に準じて行い、時候に応じた色や柄、 模様や紋様を早めに取り入れましょう。
お茶席の「格」に合わせた装い
装いはお茶席の格に合わせます。 結婚式でも新郎新婦の両親や仲人が第一礼装を身に付けるように、礼節が重んじられるお茶席では格の高い装いが必要となります。
一方、気軽な集まりでは比較的カジュアルな装いでOK。
何よりお茶はもてなす側、もてなされる側が互いに心を通わせ、和む場。 そのため場の雰囲気を察し、全体の調和を考えた装いが求められます。そこでどんなお茶席にどんな装いが適切なのか考えてみましょう。
シーン別に考えましょう
茶事
茶事は正式なお茶会のこと。
湯を沸かす炭を熾す(おこす)ことから始まり、食事(懐石)、濃茶、薄茶と進む、 いわゆるお茶のフルコースです。そのためお客さまの席入りから終了まで4〜5時間かかることも。
正午の茶事、暁の茶事、夜咄(よばなし)の茶事など催しはいろいろありますが、 いずれも少人数で行われ、まさにお茶を楽しむ茶会の真骨頂です。
こうした茶事の装いは会の趣向や季節、時間にもよりますので、その場に相応しい取り合わせを考えたいものです。
初釜、お祝いのお茶会
初釜は新年のお祝いのお茶会。
新しい年に初めて釜に火をかけることから初釜と呼ばれます。 こちらも茶事と同じく、食事を伴うフルコースのお茶会となります。
年が明け、新たな気持ちで臨む最初のお茶会ですので、晴れやかな装いで参りましょう。
品格のある色留袖、柄付けがたっぷりとした訪問着や付け下げ、またお嬢さまなら振袖を着用されるのも華やかでよいでしょう。
帯は質感のある織りの袋帯を。古典柄や有職文はもちろん、お正月らしいおめでたい柄、またその年の干支にちなんだ柄なども楽しそうです。
このほか初風炉、口切りなど、季節に応じたお祝いのお茶会も その時節に応じた正装を心掛けて。
テーマ茶会
お茶を楽しむには事欠かない日本の文化。 風光明媚で細やかな四季の移ろいのある自然環境、そして人々の培ってきた生活の知恵や楽しみ。 そうした様々な趣向を取り込んだのがテーマ茶会です。
例えば春の花見、夏の蛍狩、秋の月見、冬の雪見。
行事でいえば雛祭や端午の節句、七夕や盂蘭盆会(うらぼんえ)。 西洋から入ってきたハロウィーンやクリスマスなども取り込んで、独自のお茶会にしてしまうという、なんとも心踊る催しです。こうしたお茶会では装いの準備も楽しみですね。
春ならば梅や桜のモチーフ、夏は花火や秋草、秋は実り豊かな果実や紅葉。冬ならは雪輪や星、ツリーやサンタ柄なども。
お茶席なのできちんと感を忘れず、着物と帯の格の釣り合いも考慮して臨みたいものですね。
大寄せのお茶会
大寄せのお茶会は茶事を簡略化したもの。
不特定多数の人々が参加できるので「大寄せ」の名があり、お寺や日本庭園のような広い場所で行われます。
お菓子と薄茶だけのお席と、点心という軽い食事にお菓子と薄茶、または濃茶の付いたお席などがあります。
多くの人が集まる気軽なお茶会ですので、装いは比較的カジュアルなものを。 落ち着いた色合いに、古典紋様などが散らされた飛び柄小紋、また江戸小紋などがよいでしょう。
帯は織りの名古屋帯や袋帯、また染めの名古屋帯や洒落袋を合わせて。
お茶は習っていないけれど、お誘いを受けて何を着ようか悩んだら、こうした装いがおすすめです。
仲間うちで集まる気軽なお茶会もカジュアルな装いで楽しみましょう。
お稽古
お稽古ならば普段の着物として着慣れているお手持ちの着物、また柔らかものの小紋や江戸小紋がおすすめです。
所作を身に付けるため立ち座りが頻繁なので、動きに沿う、滑りの良いものがよいでしょう。また水濡れが気になったり、水屋のお仕事の多い日などはポリや合繊の着物も便利です。
帯は織りの名古屋帯や袋帯、また季節感のある染帯を合わせると素敵です。
最初の一枚を選ぶなら
いろいろ例を挙げてみましたが、ではいざお茶会へとなった場合、 様子や勝手が判らないと何を着て良いか悩みますよね。
そんな時、一枚あると便利なのが色無地と江戸小紋です。
(詳しくは過去コラム「礼を尽くした装いで」をご覧ください)
色無地は生地に光沢のある綸子や緞子なら地紋が浮き立って華やかな印象になります。対して光を抑えた縮緬地や紋意匠なら華美を避け、控えめな印象になります。 色はお顔映りやご年齢を考慮してお選びになると良いでしょう。
江戸小紋は三役(鮫、行儀、角通し)や五役(三役に加えて大小霰、万筋)の定め柄がフォーマル度も高く便利です。一方で季節感や風物詩を文様にしたいわれ柄をシーンに応じて装うのもお洒落ですね。
このような着物の便利さは帯合わせで変化を楽しめることです。
お茶席では座って所作することが多いので、帯は案外目立つもの。 その帯を際立たせるのも地紋や柄が邪魔をしない色無地、江戸小紋の素晴らしいところです。
お茶の世界では有職文や名物裂などが大切にされますので、こうした柄付けのスタンダードな帯を合わせれば安心ですね。
また別途社交着として着用する場合は、お好みの帯を合わせてご自身の個性を際立たせてくださいませ。
また、色無地、江戸小紋ともに家紋を入れるとさらに格高になりますので、一つ紋を入れておくと 便利でしょう。
リユースのお着物の場合には、ご自身の家紋とは異なる紋が入っている場合が殆どかと存じます。
繍い紋の場合には付け直すことも可能ですが、母方父方、婚家等様々な紋の着物がございますので、 お茶の場面ではさほど気になさらなくてもよろしいかと思います。
※尚、リユースのお着物に時折みられる 「つぼつぼ」紋は紋許が必要ですので、こちらはお避けくださいませ。
流派や先生のお考えによっても装いの幅は異なってまいります。 基本的なところを押さえた上で、先生や社中の方にご相談なさることも大切ですね。
きもの青木 でもしばしばお問い合わせをいただく、お茶のきもの、あれこれ。
これからはコーディネートなどを取り入れながら様々な角度からご紹介してまいりたいと思います。
銀座きもの青木・オンラインショップや銀座店舗では、お茶席に安心してお使いいただける着物や帯、帯締め、帯揚げのほか、数寄屋袋、バッグ、草履などの小物もご用意してございます。
オンラインショップでは、お茶席におすすめの品々をこちらのページ《お茶席のきもの》で一堂に集めてご紹介しております。
ご自身のお茶ライフを満喫できますよう、ぜひきもの青木 をご利用くださいませ。
※2023年3月発行
※当サイト内の文章、画像等の内容の無断転載、及び複製等の行為は固くお断りいたします。
気持ちを届ける、青木セレクトの小物いろいろ
この春、きもの青木では新たにギフト包装サービスを始めます!
和装小物など「贈り物にしたいのだけど…」と以前から多くのご要望が寄せられていたので、少しづつ、少しづつ準備を整えておりました。
あくまで帯締めや帯揚げ、といった小物類のお品物に限りますが、新しい生活を始める新社会人の方や、感謝の気持ちを伝えたいお母さま、頑張っている大切な方へ…。
気持ちを届けるツールのひとつとして、あおきセレクトの和装小物を贈ってみませんか。
あおきセレクトの上質な小物
あおきセレクトの和装小物は使い心地のよい良質な品ばかりを厳選しております。小さな面積ながらも着姿をぐんと引き立たせてくれる帯締めや帯揚げ、着物を着る方でしたら少しでもバリエーションを豊富に揃えたいものです。
あおきの和装小物は比較的お手頃な価格帯でご用意しておりますので、贈り物としても、ご自分へのご褒美にもおすすめです。
*京都衿秀さんの帯締め・帯揚げ
定番の冠組
きものまわりの小物の老舗として定評ある京都衿秀さんのお品から、シンプルで使い易い無地の冠組を定番として取り揃えています。青木が選んだお色目は 色、どれをお選び頂いても失敗のない上品な彩りばかりです。絡まったり縮れたりの心配がない撚り房ですので、保管時も安心ですね。
二色暈しの畝打組
これまで何点かご紹介してまいりました二色暈かしの畝打組も、使い易い綺麗系の彩りを選んでオリジナルで組んで頂きました。金糸は入っておりませんが、程良いボリューム感のある平打ちの紐は、改まった感のある袋帯に載せて頂いても充分な存在感を見せてくれます。こちらも扱いの楽な撚り房の仕上げです。
フォーマル用帯揚げ
フォーマルな装いには、やはり淡い彩りや金彩を取り入れたお品が相応しいですね。縮緬ではややカジュアルと思われる場面のために、ぜひご用意下さいませ。
飛び絞りの帯揚げ
帯まわりに小さく色を添えてくれる飛び絞りの帯揚げは、装いに優しさを添えるはんなり上品な甘さが持ち味。今回のご紹介は青木が色出しをお願いしたオリジナルですので、例えば赤のいろも明るめと暗めの二色からお選びいただけます。装いの色や場面に合わせて、飛び絞りならではの女性らしい表情をお楽しみ下さいませ。
*定番ちりめん無地帯揚げ
きもの青木の定番商品、人気の縮緬帯揚げシリーズです。繊細な淡彩からこっくりと深みのある濃色まで、コーディネートを引き立てるオリジナルカラーをセレクトしています。また綺麗な淡色と中間色を組み合わせた二色暈かしは、それぞれを単色としてもお使い頂けますし、二色を少しずつ覗かせても素敵ですね。ふっくらとした上質な縮緬を使用していますので、胸元が綺麗にまとまります。そしてこれからの春夏の季節には、絽縮緬の無地シリーズも大活躍ですね。どれも長い間お客様からご好評いただいております人気の帯揚げです。
*定番の美しい彩り
あおきの帯揚げは現在22色で展開いたしておりますが、初夏のこの季節にお選びいただくならこちらがおすすめです。着物姿は帯揚げや帯締めの色選びでがらりと雰囲気が変わりますね。花のいろ、水のいろ、空のいろ... この時期らしい明るく透明感のある彩りを添えることで、いつもの装いにもふわりと季節感が生まれます。ぜひお試しになってみてくださいね。
これからの時季、つい惹かれてしまうのが淡彩の着物や帯。淡い彩りで全身を包むときには、ほんの少し小物に色を効かせると綺麗にまとまりますね。そんなときにはこのような挿し色がおすすめです。
小物コーディネート
*季節をテーマにコーディネート
はんなり優しい春のイメージで…
朗らかで穏やかな表情の染帯などを好む方には飛び絞りの帯揚げをいかがでしょうか。帯締めは無地の冠組ですっきりと。
参考商品番号
帯揚げ:R-606 ~ 610、帯締め:S-760 ~ 769
大人の夏はクールなイメージで…
モノトーンの着物や帯を好む方には寒色系の小物を挿し色に。シンプルで爽やかな小物遣いが夏素材の涼感を引き立ててくれますね。
参考商品番号
帯揚げ:G-1256 ~ 1260、帯締め:S-302 ~ S-322
品格を纏う秋のイメージで…
お祝いの会や観劇など、何かと催事が多くなる季節にはフォーマルな小物が重宝なもの。暈しの彩りが美しい小物合わせはいかがでしょうか。
参考商品番号
帯揚げ:G-1544 ~ 1595、帯締め:G-1564 ~ 1567、G-1576
ほっこり温かな冬のイメージで…
紬好きの方へは、程よい存在感と使いやすさでお墨付きの縮緬無地の帯揚げに、しなやかな締め心地の畝打組のセットが好相性です。
参考商品番号
帯揚げ:R-08 ~ 93、帯締め:G-1622 ~ 1626
あおきのギフト包装
*お箱は3種類の大きさをご用意しております
帯揚げや帯締めなどのプレゼントやちょっとしたお礼にお使いになりたい方、ぜひご利用くださいませ。
- ギフト包装可能な商品には、カートの上部に【贈答用のラッピング承ります】と明記してございます。こちらの明記のない商品の包装は対応いたしかねますのでご了承くださいませ。
- お箱代は有料となります。
- オンラインショップにてご注文の際、選ばれた商品とは別に【GIFT-A~C】という商品をカートに入れてご注文くださいませ。
詳しくはコチラのページをご覧くださいませ。
遠方にお住まいで直接お会いできない方にも、気持ちを届けるのに相応しい上質な和装小物、大切な方の喜びのお声を想像しながら選んでみてくださいね
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きれい色の単衣きもの
さわやかな風や明るい日差しに誘われて、花々や草木の蕾がほころび始めました。
着物を着てお出かけしたいな…という気持ちも日々募るばかりですね。
きもの青木 オンラインショップでは、単衣時期や夏に向けての着物や帯のご紹介がスタートいたしました。特にご注目いただきたいのは単衣のお着物。近年では、五月頃を過ぎると汗ばむほどの陽気の日も珍しくないことから、活躍の機会もぐんと広がってきていますね。
とはいえ、袷に比べて、単衣はつい手持ちのラインナップが寂しくなりがちに…
この春、きもの青木では、幅広いニーズにお応えできる単衣のきもの各種をお手頃価格でご用意させていただきました。
季節に合わせた着物をまず一枚揃えておきたい、という初心者の方から、お稽古ごとなどで着用機会が多く枚数を揃えたい、という方にもおすすめしたいラインナップです。ぜひご覧くださいませ。
単衣の江戸小紋
着回しの良さではいちばんの優等生ともいえる江戸小紋。
鮫、行儀などの改まったお席に対応できる柄ゆきのものから、普段着にもお楽しみいただけそうな少し洒落味のある色柄ゆきのものまで、様々な雰囲気のものをご用意しています。
単衣の江戸小紋はコチラ
着用シーンで迷った際は、こちらの記事も参考にしてくださいね。
特集「今日は着物で。 vol.1 江戸小紋を着る日」
単衣の色無地
とろりとした光沢のある生地感がエレガントな色無地です。お色目は淡いベージュや落ち着いた薄いピンク色、清々しいブルーなどいずれもごく上品な雰囲気の淡彩がお顔色も明るく、晴れやかな表情を引き立ててくれます。地紋は格高の吉祥文様である桐竹鳳凰文が入っていますので、改まった場面やお祝いのお席にも安心してお使い頂ける品物です。
帯合わせで気軽にTPOを調整でき、カジュアルなお出かけならば季節の染め帯などを、きちんと感が必要な場面にはフォーマルな帯も合わせられるのは無地感覚の着物の強みですね。
単衣の色無地はコチラ
参考記事:特集「礼を尽くした装いで -色無地・江戸小紋-」
単衣の小紋ー蛍暈かし
ふんわりと浮かび上がる暈かしが上品な華やぎを添え、女性らしい優しげな風情の漂う装いを演出してくれます。紋を付けて略礼装とする場合もある上記の2種類に比べるとややカジュアル性は増しますが、合わせる帯次第では少しフォーマル性の必要な場面にもお使いになれますので、無地っぽい着物ばかりではちょっと淋しいな...という方にもおすすめです。
単衣の小紋・蛍暈かしはコチラ
帯合わせで季節感をまとって
単衣は袷と比べますとお手持ちが少なめという方が多く、一枚を上手に着回すコツも知っておくことも大事ですね。春から夏へ、夏から秋へ、どちらも移り変わる季節の合間であるからこそ、その時期ならではの趣を大事にした帯や小物選びを心がけたいものです。
例えば画像(左)のように、明るい色目を組み合わせたコーディネートならばこれから夏に向かう季節らしい爽やかな印象になりますし、画像(右)のように帯をダークな色目や季節を先取りした柄ゆきに変えてみると徐々に秋の訪れを予感させる時期にぴったりの落ち着いた印象になります。 少しの工夫で印象が随分と変わるのが着物の楽しいところでもあり、着る方それぞれのセンスの見せどころでもありますね。
実際、これからの時期にはお出かけに際して何を着たらよいものか…と迷われる方も多いのではないでしょうか。改まった場面やお茶席などでは決まり事に沿った装いがベターですが、気軽なお出かけでしたらご自身が快適に過ごせるかどうかも重要視して、臨機応変に装いを選んでいきたいですね。
皆さまくれぐれも体調にはご注意の上、素敵なお着物ライフをお楽しみくださいませ。
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名古屋帯で過ごす、夏の装い
風薫る五月、気温もぐんぐんと上がってすっかり夏めいてきましたね。
まもなく夏支度!過去に当コラムでは縮や上布、ゆかたなどの夏きものについてご紹介させていただきましたが、今回は素材も織りも様々な夏の帯たちをご紹介いたします。
絹素材の夏帯
夏帯の素材と種類は本当に多種多様です。まずは夏の絹素材からみてみましょう。
絽
地に絽目の入った織りの帯で、袋帯・名古屋帯ともにつくられています。絽目とは経糸の一部を絡めて透き目をつくった織り目のこと。透き目の方向や柄によって竪絽や変わり絽などに区別されます。
絽塩瀬
染め帯の染め下地に良く使われる素材で、絹らしい光沢のある滑らかな風合い。薄手で絽目が入っており、その粗密で透け感も様々です。九寸名古屋帯に仕立てます。
絽綴れ
張りのあるしっかりとしたつづれ地に絽目がはいった素材で、芯の入らない八寸名古屋帯に仕立てます。袷時期の綴れと同様に、絽綴も金銀糸を用いた格調高い柄のお品は、八寸帯でもフォーマル対応が可能です。
紗
透け感の強い紗織りの地に唐織などが重ねられた織りで、フォーマル系の袋帯が多く見られます。 平織りすくい織りなどと組み合わせて柄を織り出す紋紗の名古屋帯などもございます。
粗紗
紗よりも太めの糸を用いたより隙間の大きい織りによる帯。幾何学的な柄や、豊かな個性で人気の高い西陣の帯屋帯屋捨松さんのお品など、カジュアルな八寸名古屋帯がよく見られます。
本羅
人間国宝の喜多川平朗さんや俵二さん、同じく人間国宝の北村武資さんの作品に代表される大変複雑な構造の織りで八寸名古屋帯のかたちです。似たものはあれど、本羅を製織なさる機屋さんは極少数です。
他にも生糸素材ではなく、紬糸を用いた手織りのお品や産地ものの夏バージョン(夏牛首や夏黄八丈、夏久米島など)もつくられています。
苧麻素材の夏帯
苧麻資材の帯は、用いられた糸質や太さ、織りの密度や布の薄さによって八寸名古屋帯も、芯の入った九寸名古屋帯もつくられています。麻素材特有のひんやりとした肌触りは暑い夏にはとても心地良いもの。芯の入った九寸は透け感も少なめですので気温の上がる早い時期から夏を通してその清涼感を楽しめます。また芯の入らない八寸は、素材そのものが確かな涼しさを約束してくれますね。
越後上布
国の重要無形文化財に指定されるお品は、経緯に稀少な手績みの苧麻糸を用いて地機で丹念に織り上げられます。八寸名古屋帯のかたちでは芯が入りませんので熱が籠もらず涼しく風を通し、盛夏にも快適な着心地を約束してくれます。
宮古上布
国の重要無形文化財に指定されるお品は、経緯に稀少な手績みの苧麻糸を用いて高機で織り上げられます。芯の入った九寸名古屋帯に仕立てられることが多く、草木染めの美しい彩りが盛夏の光に美しく映えます。
八重山上布
経糸には紡績の苧麻糸を、緯糸には手績みの苧麻糸が用いられる八重山上布は、苧麻独特のさらりとした風合いと島に自生する植物から得た草木染めによる美しい色が魅力。九寸名古屋帯に仕立てられたものが多く見られます。
能登上布
経緯とも紡績の苧麻糸が用いられ、高機で丹念に織り上げられます。深い藍色や整然と並ぶ絣模様が特徴の能登上布、芯の入った九寸帯が多く見られます。
その他 自然素材の夏帯
芭蕉布
沖縄の風土から生まれた芭蕉布は、バナナの一種である糸芭蕉から大変な手間暇をかけて取りだした繊維を用いて織り上げられる美しい布。水に強く熱を放出する能力に優れた素材で、こちらもその技術が国の重要無形文化財に指定されています。
他にも芭蕉布(糸芭蕉の繊維)、シナ布 (シナの木の樹皮)、藤布 (藤の蔓の繊維)、葛布 (葛の蔓の繊維)、楮布 (和紙の原料でもある楮の繊維)などの特殊な植物素材は、原始布或いは古代布と呼ばれ、縄文の頃から用いられてきたと言われる布です。 上記のような素材は、糸そのものに強い個性があり、ナチュラルで野趣豊かな布味が魅力ですね。
「特集コラム:芭蕉布を着こなす」 さっと見渡してみても、こんなにもバラエティに富んだ夏の帯、 今年はどんなお品をお選びになりますか?
夏帯の時期とは
夏帯を使う季節については、夏きものと同様にいろいろなきまりが気になりがち。でも改まった装いが必要な場面でなければ、そんなに気になさらなくても大丈夫です。 基本は、5月下旬あたりから9月一杯までを目安に。また何月何日等の細かい季節に合わせるのではなく、合わせる着物が「単衣や薄物」であること、でしょうか。
以前は例えば「麻は7月と8月に」と言われていましたが、近年はずいぶん気候が変わってきていますので、洒落着でしたら5月に単衣と合わせて芯の入った麻地の染九寸帯などをお締めになる方もいらっしゃるのでは?きものと同様に体感でお考え頂いて良いと思います。
特に最近の西陣の帯などでは、連休明けくらいから夏を通して秋口までお使い頂いても違和感のない、薄手で軽い透け感があるお品等、スリーシーズンお使い頂けるタイプの帯も増えています。
素材や織りのバリエーションが多いだけに難しく考えがちな夏の帯、ご自身の感覚で気軽に楽しんでくださいね。
涼やかに見せる 帯まわり
この時期にしか使えないけれど、独特の風情を備えた夏帯はとても魅力的です。
様々な素材や地風を知ることで夏きものもより幅広くお楽しみいただけるのではないでしょうか。
続いては、一点添えることで涼を運ぶ帯まわりの小物たちをご紹介いたします。
帯留めは夏帯との相性がとても好いですね。透明感のあるガラスや石、細工の凝ったアンティークの帯留めなど、確かな存在感のある夏らしい一品に拘ってみてはいかがでしょうか。装いに大人の気品を添えてくれることと思います。 こちらのお写真では、きもの青木銀座店のご近所、アンティークモールに入っていらっしゃる「夕顔」さんから素敵な帯留めをお借りいたしました。
繊細な絹糸の房がさらさらと涼しげなタッセルチャームは、夏小物で活躍する籠バッグや日傘、扇子などに結いてお洒落を楽しんでみてはいかがでしょうか。見た目の涼やかさだけでなく、ふとした時に肌を滑る房のやさしい触感に心もやすらぎ、小さなお守りのようです。
こちらは丁寧な手技で美しいお念珠を創られている「ひいらぎ」さんのお品。細部まで拘った洗練された表情が素敵ですね。
タッセルチャームはこちら
帯枕にも天然素材を取り入れて。こちらはへちまで作られた帯枕。へちま独特の質感と程よい柔らかさが夏帯ととても馴染みが良いのです。
へちまは軽くて吸湿性も高く、通気性にも大変優れていますので夏のお太鼓結びを快適に支えてくれます。ガーゼもへちまも水を通して洗えますので、汗の気になる季節にも気持ち良くお使いいただけますね。
へちまの帯枕はこちら
気軽なお出掛けでしたら帯枕も外してしまいましょう。銀座結びなどの変わり結びで少しでも熱の籠もらない涼やかな背中を維持したいですね。名古屋帯は半幅帯よりもボリュームがありますので、ヒップラインなどもカバーできるのが嬉しいところ。博多帯や麻の帯など、素材によってとても表情豊かになりますので、いろいろとチャレンジししてみてお気に入りの変わり結びを習得してみてくださいね。
きもの青木 おすすめの夏帯
栗山工房の夏帯
1952年、栗山吉三郎さんによって始められた型染めが栗山紅型です。和染紅型とも呼ばれ、沖縄の紅型の魅力を京都らしい洗練された感性を通して表現、型彫りから糊置き、彩色など全ての工程が工房内で手作業によって行われています。型染めの楽しさをたっぷり楽しんでくださいませ。
栗山工房の帯はこちら
本場筑前博多織 八寸名古屋帯
博多八寸名古屋帯は、紬や小紋、浴衣から夏織物、夏小紋など幅広い装いに合わせて、一年を通してお使い頂けるとても重宝なお品です。特に昔ながらの独鈷・華皿に縞を配した献上柄は、格調高くも独特の小粋な風情を備え、装いをきりりと引き締めてくれますね。涼しげにお使い頂ける綺麗な淡彩を取り揃えましたので、ぜひご覧くださいませ。
博多帯の商品はコチラ
きもの青木には日々多くの着物や帯が行き交い私たちもたくさんの素材に触れておりますが、やはり上布や芭蕉布など、この季節独特の織りには別格の魅力を感じます。自然素材のものは着込むほどに身体に馴染んでいきますし、織りの多様性や見事に季節を映し出した柄付けなども実に楽しいものが多いですね。
皆さまにも素敵な夏帯との出逢いがありますように。 ※2019年5月発行
※当サイト内の文章、画像等の内容の無断転載、及び複製等の行為は固くお断りいたします。
今日は着物で。vol.2 春のはんなり はおりもの
着物でお出かけする機会が増えてくると、どうしても必要となってくるはおりもの。寒さも秋口まではストールで何とかしのぐことが出来ますが、厳寒期にはやはり防寒コートが欲しくなりますし、梅雨時には雨コートも必需品。また気温の高い季節だからといっても、外出時には汚れの危険がいっぱい…大切なお召しものを護ってくれる塵よけも用意しておきたいですね。また風情ある羽織のお洒落に魅せられてしまう方も多いことと思います。 今回は、素材などに悩みがちなこれからの季節の羽織ものを中心に「はおりもの」のポイントをまとめてみました。
1. はおりものの種類や季節、素材につきまして
(1)種類:
さまざまな種類のはおりもの、どれも着物に重ねて着用するアイテムです。それぞれの特徴を簡単にまとめてみました。
① 道行
着物用のコートとしては最も基本的なもので、イラストでご覧頂けます通り、四角く開いた衿部分と打ち合わせ部分に特徴のあるかたちです。防寒・塵よけ用ですが、素材や色柄によってフォーマル性の高いものとカジュアルなものに分かれます。
② 道中着
衿が見頃の裾まで続いており、着物と同じような衿合わせのコートです。脇に付いた紐で留めますので、とても脱ぎ着し易いかたちです。防寒・塵よけ用ですが、基本的にはカジュアルな印象となります。
③ 羽織
裾まで続く衿を外側に折り返したかたちの羽織りもの。前部分は重ならず、乳(ち) と呼ばれる共布の輪に羽織紐を通し、左右の見頃を結び留めて着用します。基本的には洒落着の扱いですが、紋を入れてセミフォーマルな場面に対応できるお品も見られます。厳寒期には道行や道中着の下に重ねても。
④ その他 和装コート
他にも和装コートとしていくつかバリエーションがございます。道行に似ていますが角を円くした「都衿」、また「被布衿」や「千代田衿」、そして道中着と似ていますが衿に特徴がある「へちま衿」や「きもの衿」など、様々なお品が見られます。防寒・塵よけ用ですが、基本的にはカジュアルな印象となります。
⑤ ストールやマント
洋服用の大判ストールやマントなどを上記のコートの替わりになさる方も多いですね。防寒にはファーやカシミヤ、春先にはシルクシフォンやパシュミナなど素材や質感の選択肢も広く、脱ぎ着の手間も掛かりませんが、塵よけとしてはやや心配かもしれませんね。
⑥ 雨コート
文字通り、雨から着物や帯を護るためのコートで、道行型、道中着型、二部式など様々なかたちのものがあり、撥水加工を施した絹素材や、水に強い合繊素材が用いられています。
(2) はおりものの季節
着物や帯と同様に、羽織りものにも大まかな季節の括りがありますね。とりわけ春先から晩秋にかけては素材もめまぐるしく変わり、着用時期にはとかく悩みがちですが、現代では気候やお召しになる方の感覚に添ってお召し頂いてよろしいのではと思います。
- 袷 → 裏地の付いた仕立てのもので、素材は絹やウール、カシミヤなど
- 単衣 → 裏地を付けない仕立てのもので、素材は絹や木綿など
- 薄物 → 絽や紗、羅やレースなど透け感のある夏生地を単衣に仕立てたもので、素材は絹など
のように、ご自身の体感でお選び頂ければよいのではないでしょうか。○月○日からは「○○」といった決まり事で考えず、生地の風合いや質感、その日の気温、下に着る着物によって臨機応変に行ったり来たりしながら、ご自身の体感で温度調節してお召し下さいませ。
(3) はおりものの格
紋が入っていたり、華やかな絵羽模様のはおりものは、着用場面や合わせる着物に悩んでしまうことがありますね。着物とはおりものの格についても少し触れておきたいと思います。この場合の「格」は形や柄ゆきで決まりますので、縮緬や綸子、絽や紗などの生地質に拘わらず同様にお考え下さいませ。
□ 無地の道行
吉祥文の地紋が入ったものなど色無地の道行は、はおりものとしては最もフォーマル性が高く、留袖や訪問着など格高の着物から小紋など幅広い着物に合わせてお使い頂けます。
□ 紋付の羽織
女性の羽織は基本的には洒落着の扱いですが、紋付の場合には合わせる着物次第で入卒の式典、改まった訪問など略式ながら礼を必要とする装いの際にお召し頂けます。
□ 絵羽の道行
訪問着や付下げのように柄が繋がった絵羽の道行は、とても華やかで存在感がありますね。色柄にもよりますが、少し改まったお席やパーティなどへのお出かけにいかがでしょうか。
□ 絵羽の羽織
訪問着や付下げのように柄が繋がった絵羽の羽織は、礼装としての格を必要としない華やかなお席にぴったりです。個性あるお洒落をお楽しみになりたいときに、ぜひお召し下さいませ。
□ 小紋柄や紬の道行、道中着、羽織
小紋柄や紬地のはおりものはお買い物やお食事など、日常のお出かけに気軽にお召しいただけます。 サイズが合わなかったり汚れてお召しになれなくなったお着物も、羽織や道中着に仕立て直して楽しむこともできますので、季節や気分に合わせていくつかお手持ちのものを増やしておくとお洒落の幅がぐんと広がりますね。
(4) はおりものの着用マナー
はおりものの着用マナーは
・道行・道中着・和装コート・雨コートなどは屋内に入る前に脱ぐ→ よく言われるのがオーバーコート感覚
・羽織は屋内でも着用していて良い → よく言われるのがジャケット感覚 とされています。
羽織以外はお出かけ先に入る前に脱ぐことが前提です。例えば華やかな裾模様の留袖の上にカジュアルな小紋の道中着、などという場合には見た目にも違和感が出てしまいますが、全体を眺めて調和がとれていれば、さほど神経質にならなくて良いのではと思います。羽織りものも着物と同様、フォーマルとお茶席以外でしたら、先ずは好きなものを好きなように楽しむことが一番ですね。
2. サイズのポイント
はおりもののサイズのポイントといえば、やはり長さでしょうか。 道行、道中着、それぞれ裾までのたっぷりしたものから膝下長めのもの、膝すれすれくらいの長さ等々お好みもさまざまですね。
身長別サイズガイドをご参照頂きますと、初めての方にも大体のイメージを掴んでいただけるかと思いますのでご参照くださいませ。羽織は以前は短めのものもありましたが、現在では膝丈ほどの一般的な長さや膝下まである長羽織のどちらかをお選びになることが多いようです。こちらもお好みが大きく分かれるところですね。
きもの青木 で新しく仕立てたお品は、ご希望が多いため100cm〜103cm程の丈が中心です。このぐらいの丈がありますと、電車などで汚れ易い膝裏辺りまでをカバーできますので、塵よけとしても安心かと思います。
雨コートはなかなか裾ぴったりの長さに出会うのが難しいものですが、リユースでサイズが合うものに出会えましたらとてもラッキーですね。意外に重宝なものがポーチに入った二部式のお品。持ち運びも楽ですし、着付け方に合わせて裾が雨に当たらないよう調整できますので安心です。
3. 羽織紐のこと
羽織のもう一つの楽しみは胸元にちょこんと乗っかる小さな紐。
帯締めと同じくしっかりと組み上げられた組紐のお品や、ビーズや天然石を使ったアクセサリー感覚のものなどいろいろです。組紐でも長めのものは蝶結び、短めのものは固結び、同じ紐でもずいぶん雰囲気が変わりますね。きもの青木 では京都の衿秀さんのお品から、使い易いお色目で紐先が撚り房のお品と苧環(おだまき)のお品をご紹介しております。きりっとした固結びのシンプルな姿も素敵ですが、ゆったりとした蝶結びも女性らしく優しい印象ですね。
皆さまのお好みはどちらでしょうか。
衿秀さんの羽織紐はコチラでご確認くださいませ。
※時折、乳(ち) に通しにくい硬い紐もありますね。
引っ掛けるだけで紐を付けられるS鐶のご用意もございます。
4. 春夏のはおりもの いろいろ
暖かさやふっくらとした風合いなどに惹かれてしまう秋冬ものとは異なり、春夏のはおりものは透け感や色が創る「爽やかさ」が一番のポイント。着る人にとって実際に涼しいことはもちろん、見る側に伝わる清涼感も大切ですね。
お手入れの楽な合繊素材もありますが、やはり繊維が呼吸してくれる絹素材は、温度や湿度が高い季節にはとりわけ着心地が違います。紗や絽、羅やレース、夏織物…選択肢がぐんと増える夏素材、きっとお好みのお品が見つかることと思います。
大島紬や夏大島などでサイズの小さなものを見つけて、雨コートや薄物コートに仕立て替えをなさっても素敵ですね。
落ち着いた色目の無地の絽は礼装としてもお使いいただけるのでとても重宝します。
明るいパステルトーンの紋紗はお着物の色を透かして様々な表情をお楽しみくださいませ。
レースのような刺繍が美しいはおりもの。透明感のある陰影がエレガントですね。
竪絽の道中着は単衣から夏を通して使えますね。爽やかなお色目でスッキリとした印象に。
ほんのり甘さを添えた控えめな色柄の紋紗。江戸小紋や無地紬などに好相性ですね。
オーガンジーに華文が刺繍で施された羽織。濃色のお着物に軽やかな涼感を添えてくれます。
菱の紋紗にふわりと蛍暈かしが浮かぶ夏の羽織。淡色の夏着物に合わせてすっきりと。
さっくりとした透け感が軽やかな道行。シックなお色目が大人の品格を備えていますね。
着物の着用シーズンと僅かなずれがあるだけに迷ってしまいがちなはおりもの、あまり難しく考えず寒暖に合わせて柔軟にお楽しみ頂けたらと思います。 きもの青木 のはおりもの、こちらからご覧くださいませ。
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